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asnotes

ムーディ「そういえばよ発信機をアスノーツにつけた理由もう1個あったんだわ」

トゥムル「なんだ?」

ムーディ「前にアスノーツが酔ったことがあるんだ」

予想外な回答にトゥムルはキョトンと何を言ったか理解できない顔をしていた。

ムーディ「酔うと言っても何かにうなされて吐き気がしたとかそういうのじゃない...酒を飲んだような暴れるような酔いだ」

トゥムル「...言い方的に酒は飲んでないということだな...酒を飲んだ人の真似事をしたとかではないのか?」

ムーディ「おそらくな...問題なのは私達が戦っていた時の人造人間パーフォスレベルの力を出して暴れる事...そして何で酔ったか分からない事だ」

トゥムル「ムーディ...何故今までそんな大事な事を言わなかった」

ムーディ「忘れてた」

トゥムル「人の記憶を奪えるのにか?」

ムーディは少し照れた表情で頭をかいた。

ムーディ「記憶を奪える能力だからって記憶の容量が他と違う訳じゃあねぇからなはっはっは」

トゥムル「...笑い事じゃないがお前がいなかった時期でアスノーツが暴れた事がないからこの話は妙に俺は信じ難い」

ムーディ「私も2度しか見た事がないから稀に起きるか何か要因があるとかかな...こんな話しながら酒場に着くと何故か怖いんだが...わかるか?」

トゥムル「...わかる」

話をしている内にアスノーツが先に来ている酒場の前に2人は着いた。中に入ると何を言っているか分からない声で楽しげに話す酔っぱらい達がそこかしこにいた。カウンターの方には隣には誰もいないのに笑いながら手を叩いているアスノーツがいた。2人はアスノーツの隣に座り声をかけた。

トゥムル「...上機嫌だねアスノーツ」

アスノーツ「エヘへ...エヴァさんって人が楽しくはなし聞いてくれたから...へ?」

トゥムル「そうか...エヴァ...?聞いたことない名だ」

名も知らない人を考えてるふりをしながらトゥムルはアスノーツの上機嫌な状態に少し違和感を感じ、眉をひそめながらアスノーツを観察していた。当のアスノーツは同じジュースをおかわりし、振り向き様にムーディがエヴァの座っていた席にいる事に意味もなく怒っていた。

アスノーツ「ムーディ、そこエヴァさんが座ってた所だから座っちゃダメ!!!」

ムーディ「いいじゃねぇかアスノーツ、戻ってきたら席変わればいいんだからよ」

アスノーツ「ダメなものはダメー!!!」

そう言いながらムーディを両手で突き飛ばした。ムーディは床に倒れるのではなく酒場の横壁の方に吹っ飛びながら隣の家まで破壊しながら飛んでいった。酒場と隣の家の木屑と雪に埋まりムーディの姿が見えなくなった。

アスノーツ「あはははははぁ!!!いつもよりムーディが飛んだ!!!なんで???あははは!!!」

酔っぱらいの客「おい嬢ちゃん!笑ってんだったら壁を早く直しやがれ!雪が入って来て寒いじゃねぇか!」

テーブルで楽しげに話していた酔っぱらいの1人がアスノーツに威勢よく文句を言ってきた。アスノーツは気に食わなかったかメンチを切りながら近づいていった。

アスノーツ「あぁん?!!ぶん殴るぞ!!!ゴラァ!!!」

いつもと違う気性の荒さによってどちらが酔っぱらいか分からないほどだった。アスノーツは酔っぱらいの1人を殴り、一緒に飲みあっていた酔っぱらいの仲間にも喧嘩をふっかけ酒場のそこかしこに穴を開けながら暴れていた。トゥムルはカウンターの方でアスノーツを眺めながらアスノーツが飲んでいた物を調べていた。

トゥムル「...ただの炭酸オレンジだよな?マスター」

マスター「当店は酒場ですが"ムーディさん"のオーダーは絶対なので誓って酒を含めたジュースではないです、後あなたのツレを早く止めてくれませんか?」

トゥムル「...そうだよなただのジュースだよな...じゃあこのアスノーツの状態が実はアラレ計画なのか?」

そういえばムーディが戻ってこないなと思うと、マスターの言葉に違和感を感じた。

トゥムル「マスター、さっき"ムーディさん"と言ってなかったか?ムーディってのはそこで隣の家までギャグかとばかりに飛んでったやつの名だぞ」

マスター「私の言っているムーディさんはあなたのツレの男性の事ではありませんが先程トイレに行った...」

アスノーツ「トゥムル...??!」

マスターとの話を遮り名前を呼ぶアスノーツのいる場を見ると、いつの間にか酒場にいたアスノーツ以外の全員が倒れており、アスノーツは不敵な笑みを浮かべながらトゥムルを見ていた。

アスノーツ「久しぶりにぃ!組手しよ!!!」

トゥムル「アスノーツ...場を考えろここは酒場であって組手していい場所じゃない...と言うかこの状況は何だ」

横たわって倒れている者は何処かから来た指名手配犯の筈だが皆1発で伸びているのが視認で分かるほど力強く打たれたアザのような跡になっており、トゥムルは少し驚いていた。

アスノーツ「うるさーい!!!私がははっ!!!したいからするの!!!」

飛び掛るかのような勢いでアスノーツはトゥムルに迫り攻撃をしてきた。トゥムルはすんでのところで躱しながらアスノーツの目を見て落ち着いた口調で話をした。

トゥムル「アスノーツ...落ち着いて...いつもはムーディの悪ノリにのる以外こんなに元気にならないじゃないか」

アスノーツは目をグルグルと回し笑いながら拳をだし続けトゥムルの話は耳に入ってなかったようだ。トゥムルは少し呆れと怒りを感じて少し下を向いていた。

トゥムル「はぁ...アスノーツ...今日は初めて俺の言うことを2度も聞かなかったね...1度はトラックから勝手に降りた事と...そして今俺の言う事を聞かない事」

目は再び見つめうっすらと青く目が光った。

トゥムル「お仕置きだよアスノーツ...頭でも冷やしな」

アスノーツはパキパキと言う擬音と共に動きが止まり、表面は昼の盗賊と同じように冷たく凍って気絶していた。それと同時にトイレがある奥の廊下から女性が歩いてきた。

エヴァ「この状況は...お嬢ちゃん!立ち止まってどうした?...冷たっ!...氷魔法か」

トゥムル「あなたがエヴァさんか」

エヴァはトゥムルのほうを振り向きながら一連の流れを察した。

エヴァ「青く長いツンツンした毛...ホッグニーヅレイス、あなたが旦那が言っていたトゥムル・グローリアね、それにしてもここまでやる必要無かったんじゃないの?いくら戦争してなくって力が有り余ってるっていってもねぇ」

トゥムル「暴れたのはアスノーツだ…俺は止めただけ」

エヴァ「うそっ?!お嬢ちゃんがかい?」

トゥムルはコクリと頷きエヴァは驚いた。

トゥムル「...本題に入りたい、何故俺達を呼んだ?」

エヴァ「本題に入る前に自己紹介するのが筋ってもんじゃないの?...というよりツレはどうしたの?」

トゥムル「...そこで伸びている」

指さした方はエヴァがアスノーツに最初紹介していた自分の家だった。

エヴァ「話とかの前にとりあえず起こしにいかない?」

トゥムル「そうだった...忘れていた」

トゥムルはアスノーツを背負ってエヴァと2人でムーディを起こしにいった。アスノーツはエヴァの家の一室に寝かせとき、リビングで3人は話す事になった。

エヴァ「私の家なら酒場が見えるほどボロボロだなぁ、帰る前に修理しろよお前ら」

トゥムル「...そうします」

いつもなら軽快な口調で誰にでも言葉を返すムーディだが起きてからエヴァを見るや一言も喋らず目を逸らしていた。それこそトゥムルに「おはよう」の1つも言わなかった。

トゥムル「俺達を呼んだ理由は何なんだ」

エヴァ「それは私よりそこの一言も喋ってないツレの方が知ってるはずよ...まぁ何も喋らないなら私から話を進めるよ、まず私の名前は"ムーディ・エヴァグレイン"、5年前までリベラハーブ軍に所属していた」

トゥムル「俺達の元先輩だったのか...いやそれよりもムーディって名前」

エヴァ「君のツレの名前と一緒なんでしょ?苗字は変えてるみたいだけど、私は5年前記憶を失ったの今まで生きてきた記憶全部を」

トゥムル「記憶を...まさか!」

一斉にムーディは見つめられ話を振ってきたと思いため息をついて話しはじめた。

ムーディ「ここからは私が説明する」

話は5年前まで遡る、帝国リベラハーブ領内にて軍服を着ているが隊列を組まず仲良さげに歩いている軍がいた。

ヒュウマ「今回の任務楽勝だったなぁ!はやく帰って飯行かねぇ?」

彼は大きく角を生やし所々の皮膚にある鱗が特徴的な竜人族ドラゴンレイスの青年だ。

隊員「ヒュウマ以外動いてないようなもんだったしな、お前の頑張りに免じて奢ってやるよ、今日は」

ヒュウマ「まじでか!嬉しいわぁ」

隊長「お前ら気を抜きすぎだ領内だからって列まで乱す必要ないだろ、遠足かお前らは」

ヒュウマ・隊員「遠足です!」

和気あいあいと話していると隊員全員の目がいくほど近くで雷が落ちた。

隊長「自然現象じゃあないな」

ヒュウマ「雷落とす魔法ってのは自身から出すわけじゃあ無いですから相当魔力高い人が振らせたと見ていい...つまり!」

ムーディ「大魔法使いに会えるかもね!行きましょ!」

ヒュウマ「お前!俺の言いたい事先に言いやがって!」

「てへっ」と照れながらヒュウマを見つめた。

隊長「人造人間パーフォスがいる可能性もある...よく注意して行くぞ」

軍隊は道を逸れて雷が落ちた方向に向かった。着いた先には雷によって土がえぐれており、真ん中で少年とも青年とも言える容姿の男性が虚空を眺めながら座っていた。軍隊が近づいても見ている所を変えず手もだらけきっていた。

ヒュウマ「あれは人間か...他には誰もいないな」

ムーディ「もしもーし?見えてる?」

近づいて手を目の前にかざしても反応しない。

ヒュウマ「どうするよ」

隊員「このままここに居たら風邪ひくよな」

ムーディ「軍で保護した方がいいんじゃない?立派に育てば即戦力になるしさ」

隊員「軍隊に入れる気じゃねぇか」

ヒュウマ「俺が鍛えてやるから安心するんだな!」

ヒュウマは高らかに笑い、ムーディは少年を担ごうと触れると、意識を取られたかのように気を失い倒れ込んだ。

ヒュウマ「どうした?!ムーディ!...隊長これは新手の人造人間パーフォスの仕業か?!」

隊長「その人間の能力と見ていいだろう...が迂闊に触るな、ムーディだけ持ってこい」

隊員「どうなってる?!」

隊員達は混乱していた。ヒュウマは言われた通りムーディだけを触れながら抱きあげた。

ヒュウマ「こいつはどうする!」

涙を流し目の前にいる少年を睨みながらヒュウマは叫んでいた。

隊長「殺すのもいいが人間の能力は殺したから解除されるものじゃない、触れたらムーディと同じようになるかもしれないしれない...無視して撤退するぞ」

ヒュウマ「くっそ...なんでムーディが...」

軍隊は少年の傍を離れていった。

???「ん...んん?...はっ...あの少年は...いない...あれ?ヒュウマは隊長は何処に」

???が辺りを見渡すとムーディを抱きかかえるヒュウマと軍隊が遠くに行ってるのが見える。???から唐突に涙がこぼれていった。

???「なんで...あそこに私が?!...待って...行かないで...ヒュウマ!私はここに...」

大声をあげ皆を呼ぶも誰も振り返る事はなかった。
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