恋人、幼馴染み、同級生。いろんなシチュエーションあります。
手と耳と音
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「最近それずっと聴いてるよね」
右耳のイヤホンが外され耳元で聞こえてきた声にビクッと肩を揺らした。
『っっ!?え、あ、何急に!びっくりしたな!もう!』
「俺と一緒にいるのにイヤホンして動画なんて見てるからでしょ」
『それは…黛くんがゲームしてたから暇だったんだもんよ」
それはそうだけど…。なんて口籠る彼はどうやら私に構って欲しいらしい、珍しく。自分から来てくれる事なんて多くないからキュンとしてしまう。
「でさ。それ、そんなにいいの?」
私が聴いていたのはASMRの音声動画。流しっぱなしになっている動画を興味深そうにじっと見ている。
『気になる?』
「まあ、少しは。全く知らない訳じゃないけどなまえが熱心に聴いてたら気にはなってくるね」
『そう?あ、今流してるこの人の動画良いよー。手がね、綺麗』
「音じゃなくて手を褒めるんだ」
『………音も、良い』
「手だね。手を見に来てるね、これ」
手だけじゃないけど、綺麗で動作が美しいから見ちゃうんだ。仕方ない。なんて思ってると、「あ…」と呟いて何か思いたったのかその場からいなくなってしまった。かと思ったら寝室から「なまえちょっとこっち来てよ」と、お呼びがかかった。
『なになに?どした?』
ひょこっと顔を出すとベッドに正座して綿棒を持ってる黛くんの姿があった。
『なにを?してます?』
「リアルASMRしようかと思ったんだけど。手は見えないけどね」
『まだ手の事言うか。でも、そうだね、折角だし機長な経験させてもらおうかな』
ちょっと曲がった甘え方をする時の彼はとても可愛い。ポンポンと膝を叩いて「ほら、早く来なよ」って急かしてくる。
『お邪魔しまーす』
彼に顔を見られるのは恥ずかしいので背を向けて横になる。女の子よりは柔らかくないけど一般の成人男性より細い彼の膝は丁度良かった。めちゃくちゃ、良かった。
優しい手付きで頭を撫でてくるのが嬉しくてそれもまたキュンとする。髪の毛を耳にかけるとそのまま顔を近づけて「痛く、しないから」とかからかってくる。
立ち悪い。
「入れるよ」
『…黛くんわざとでしょ』
「まあ、たまにはね。彼女に悪戯するのも彼氏の特権だし」
普段の彼から想像出来ないくらい甘えてくるし距離が近いし触れられてる。とかぐるぐると色々考えてたら眠くなってきた。意外と上手いなあ、黛くん。
「なまえ。寝そうなら寝て良いよ」
って聞こえたような聞こえてないような。どんどん意識が薄れていって、その後の事は覚えてないけど、起きたら黛くんの足が痺れてて仕返しに悪戯したのはまた別のお話。