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眠れない夜の出来事
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眠気を含んだ脳も早く寝てくれと言わんばかりに目蓋を重くしてくるが、それとは正反対に目が冴えてしまっている。寝れない。
この家の住人は私以外にもう一人居るが、まあ…この時間は配信してるから出てこないだろうと物音を立てずにそっとベッドから出ると薄暗く誰も居ないリビングに向かいソファへと腰掛けた。
『ふぅ…』と口から溢れ出た溜息は誰にも聞かれる事なく静かな空間に溶けていった。
(暇だなぁ…)
ソファにもたれ掛かると、見たいものなんてないのにスマホを手にとり適当にSNSを開きスワイプ、スワイプ。
すると普段は閉じられているドアが不意にカチャリと音を立てて開かれると同時に聴きなれた声が聞こえた。
「どうしたの」
驚いて慌てて後ろを振り返ると無表情に近い顔が私をじっと見ていた。めちゃくちゃ見ていた。
『えー、と、その。眠れなくて』
なんてヘラヘラと笑ってると「ふーん」なんて短く返事してちょこちょこと私の隣にやってきた。
隣に座るなんて滅多にない事だからドキドキする。
「なまえ」
『え、あの、はい。なんでしょう?黛くん』
「……」
呼ばれた。ただ、呼ばれた。
暖房もついてない寒い部屋の中での静寂は思った以上に心臓に悪い。
(なにこれ、どうしたらいいの。この沈黙…!)
真っ直ぐ前を向いてた視線をチラッと彼へと移すと目が合ってしまった。慌てて逸らしてしまうと隣から溜息が聞こえた。
「寝れないんでしょ。今日は配信も早く終わったし、一緒に…寝れるけど」
『じゃあ、お言葉に甘えちゃおうかな。黛くん』
一緒に寝るなんて何ヶ月ぶりかな?とか、最近は配信忙しくて時間合わなかったもんなぁとか眠気が残ってる頭で独り言を呟く。
「そう。機材とか多いしなまえの部屋で寝るよ」
言い終わらない内に急に立ち上がると私の頭を優しく、壊れ物でも扱ってるんじゃないかって位に優しく撫でてくれた。急にそんな事するもんだから心臓が跳ね上がる。
『なに、もう。子供じゃないんだぞー…』
嬉しいような恥ずかしいような感情をぐるぐると持ち合わせて顔を上げると配信で滅多に見せないような柔らかく愛おしそうに微笑んだ顔、を見てしまった。
「……」
バッチリと目が合わさってしまった。彼は頭を撫でる仕草をやめ引きこもりの象徴である白い顔を赤く染め、何事もなかったかのようにスタスタと私の部屋へと向かっていった。
『え…あの、ちょ、っと…!」
慌てて後を追いながら、今日はぐっすり眠れそうだなぁ、なんて考えた。
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