恵
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私の彼氏、伏黒恵くんは世でいうツンデレだと私は思う。
教室や外で抱きつこうとすれば、「いちいちくっつくな」と絶対に抱きつかせてはくれないし、手だって繋いでくれない。それに、人前では絶対に名字で呼べ、と耳にタコができる程言われている。
そんな私たちを見て野薔薇ちゃんは、「あんな無愛想な男のどこがいいわけ?あんた付き合ってて楽しいの?」と、怪訝そうな顔をして何度か聞いてきた。
「楽しいよ。伏黒くんのこと大好きだもん」
私はいつもそう答える。だって本心だもの。
私は彼のことが本当に大好きで大好きで仕方がない。
それに、野薔薇ちゃんは全然わかってない。無愛想なんて事ないのに。
確かに彼は、クールだし同期の私たちより少し大人びて見えるけれど、何だかんだで他人思いで優しくて。それでいて可愛いんだから。
「はーあ、あっそ。ごちそうさま」
聞いてられるか、と野薔薇ちゃんはそう言って立ち去ろうとする。
最近は、野薔薇ちゃんには何もかもバレててやっぱり彼女に、隠し事なんか出来ないんじゃないかと思ってきた。
「私ね、伏黒くんと一緒にいると心があったかくなって幸せな気持ちになるの」
「だそうよ、伏黒」
にやにや、なんて擬音が聞こえできそうなくらいの笑顔で野薔薇ちゃんは恵くんを見た。恵くんは、顔色をひとつも変えることなく、「そうか」と一言。
それを見た野薔薇ちゃんはまた烈火の如く怒っていて、私はまあまあ、とまた笑った。
「お前、ああ言うのいちいち言わなくていいだろ」
「ああ言うの?」
夜。恵くんの部屋に2人きり。
彼の足の間に座る私と、後ろから私を抱き締めて座る恵くん。2人きりで過ごす時はいつからかこの体勢がお決まりになっていた。私の肩に恵くんの顎が乗って吐息がダイレクトに耳に伝わる。ちょっとくすぐったい。
「今日、釘崎と話してたやつ」
「あぁ、あれね。別にいいじゃん。本心だもん」
「人前でわざわざ言うことじゃねえって言ってんだよ……」
はぁ、とため息をつく恵が可愛くてふふ、と笑えば、「笑い事じゃない」と頭を軽く叩かれた。
私だって、もし恵くんが本当に嫌がってたらあんな風に言ったりしない。
恵くんは無愛想じゃないし、みんなの前では見せないけど、私のことが大好きでちょっぴり甘えた。今回のも、決して怒ってるわけじゃなくて、ただ恥ずかしいだけと私は知ってる。
恵くんのそういう所が、可愛くて大好き。
「喉乾いたね。お茶いれて、」
お茶入れてくるね、とした言葉は伏黒くんの唇に飲み込まれていった。
「え、どういうタイミング、」
「……してなかったから」
「え?」
首を後ろにまわして恵くんの顔を見れば、頬を赤く染めながら私から視線を逸らしていて。また薄く口を開いた。
「……今日まだ1回もしてなかった、だろ」
そう、恥ずかしそうにぽつりと呟いた恵くん。
「か、かわいい……!!」
「っ!かわいくねーだろ……」
ふん、と拗ねた恵くんに抱きつけば彼も同じように私を抱き締めてくれた。
「もっかい、ちゅーして」
「ん、」
おねだりをすれば、ちゅ、と唇に可愛い音が鳴った。
きっと明日の教室ではいつも通りの塩対応な恵くんがいるんだろう。
でも、それでいいかな、なんて思う。こんなに可愛くて砂糖菓子のように甘い恵くんは私だけが知っていればいい。
そう思いながら、また唇を合わせた。
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