返して平凡!
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いま、なんじ。
ベッドからもぞもぞと手を伸ばしてスマホを確認する。土曜だからと言って寝過ぎてしまった。
昨日は残業が長引いて、帰れたのは終電だった。
担当しているシステムの定期リリースが近いというのに、インシデントばかり起きるので最近とても忙しい。毎日8時間は寝たい派の自分には、平日は睡眠時間がまったく足りていない。
寝ぼけ眼のままふらふらとリビングに入ると、違和感を感じた。
寒い。
エアコンをつけたまま寝てしまったのかと思ったが違う。もう一度スマホをみるとしっかりと3月の文字が表示されていた。
今は8月のはずだった。昨日まで、連日36度だの37度だの、記録的猛暑を更新していた。
来月も再来月も平年より暑くなるだろうという気象予報士にうんざりしていたのだ。
寝ぼけているのか、いや、そんなことない、
記憶喪失?タイムスリップ?
スマホをもう一度覗きこむと、顔認証でロックは解除されている。
ええと、最後に連絡をとったのは誰だっけ?
ラインをひらいたが、誰の連絡先も入っていなかった。
あるのは、Unknownと表示されたトーク履歴がひとつ。
麗ちゃんへ
合格おめでとう。
制服は届いた?
せっかくの入学式なのに、日本にいられなくてごめんね。
保険証とか、大事なものは引き出しにまとめて入ってます。
何か困ったら連絡してください。
叔母さんより
「え、?」
部屋を見渡すが、いつもと変わらない。
会社に近いからという理由で選んだ1LDK。
家具もカーテンの色も、何も変わっていない。
ひとつだけ違ったのは、カーテンレールに制服がかけられている。
どこかで見覚えがあるような気がする。
テーブルのうえにある冊子に立海大附属中等部と書かれていた。
「うそ」
洗面所に駆け込んだ。
鏡を確認するためだ。
映っていたのは自分自身だった。
いや、…違う。幼い。
昔の自分に戻ったのではなく、今の自分をそのまま幼くしたかんじだったから一瞬気がつかなかった。
部活少女だったため高校卒業までずっとショートだった髪は、昨日までと同じセミロング。
なんなら新卒の頃90万のローンを組んで矯正した歯並びだって綺麗に維持されている。
でも、どうみても10代前半に見える。
幼い容姿。
あのラインの内容。
パンフレットにあった、立海大附属という文字。
タイムスリップや記憶喪失なんかじゃない。
混乱しながらも、ようやく状況を理解したのだった。
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