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ふわりと、春の暖かな風がカーテンを揺らす。
子供たちが、野から摘んできたスミレや白詰草が、陶器のコップの中で風にそよいでいる。
「シキ、起きていて平気ですか?」
「うん、風が心地いいね。エル」
シキが生き返ってから7日、シキは恐るべき努力で、以前の様に滑らかに話せる様になっていた。
それどころか、ゆっくりではあるが介助が有れば家の中を歩き回るまでになっている。
2日に一度、事情を知っている信頼できる医者が診察にやって来る。
子供の頃からのシキの主治医は既に老齢の域に達しているが、中々に信頼のできる人物である(因みに性別は女性、変な嫉妬心を見せる必要がないのは、私にとって僥倖である)。
「シキちゃん、頑張るのは良いけど、頑張りすぎるとそのうち寝込むかもしれないわね」
診察を終えた医師を見送るために、玄関まで連れ立って歩くと、穏やかに老いた顔には険しい色が滲んでいた。
ちなみに彼女にかかれば、シキも私も「ちゃん」呼ばわりである。
「本当はもう少しゆっくりと、身体を戻していくのが良いのだけど、シキちゃんもまだ若いから焦りがあるのねぇ」
そう言って肩をすくめた彼女は、何か変わったことがあればすぐに知らせなさいと言って帰っていった。
少しだけシキの回復に水を注された気分になったが仕方がない。幸いにして、時間は充分ある。5年間、恋焦がれても遠く届かない人だった事を思えばなんて言うことはない。
寝室に戻るとシキは私のノートパソコンを膝の上に置き、何かをじっと見ていた。
「何を見ているんです?」
「ん? ハウスの皆んなが顔を出さないと思ったら、エルが止めてたんだなぁと、思って」
シキの様子を尋ねるメールは既に50通以上の数に上っている。
「ワタリや駿河さんならともかく、メロやマットは煩いですし、ニアなんかが来た日にはこの部屋を占領してオモチャで遊び始めるでしょうから」
もう暫くは貴女を独占したいのだと、素直に告げても良かったが、天邪鬼な応えが口をついて出た。
「ワタリとロジャーからそろそろ一度会わせてやって欲しいって嘆願のメールが来てるけど?」
くすくすと笑いながら言うシキが上目遣いに此方を見て来る。
シキ、それは反則ですよ。これでも私我慢しているんですからね。
「お礼も言いたいしね……」
ぽつりと溢れた言葉に、ハッとする。
「シキ……私たちは確かにDEATHNOTEに関するある重要な記憶を失いましたが、それは些細なことです。もしまたDEATHNOTEによる犯罪が起きても、私たちには対処出来るだけの能力が有ります。私も、メロもニアも、そう判断したから死神との取引に応じました」
小さく頷くシキに口付けを落とし膝の上のノートパソコンを取り上げる。
でも、そうですね。そろそろ一部の事情を知るもの達には会わせてあげないといけない頃合いでしょうか……
子供たちが、野から摘んできたスミレや白詰草が、陶器のコップの中で風にそよいでいる。
「シキ、起きていて平気ですか?」
「うん、風が心地いいね。エル」
シキが生き返ってから7日、シキは恐るべき努力で、以前の様に滑らかに話せる様になっていた。
それどころか、ゆっくりではあるが介助が有れば家の中を歩き回るまでになっている。
2日に一度、事情を知っている信頼できる医者が診察にやって来る。
子供の頃からのシキの主治医は既に老齢の域に達しているが、中々に信頼のできる人物である(因みに性別は女性、変な嫉妬心を見せる必要がないのは、私にとって僥倖である)。
「シキちゃん、頑張るのは良いけど、頑張りすぎるとそのうち寝込むかもしれないわね」
診察を終えた医師を見送るために、玄関まで連れ立って歩くと、穏やかに老いた顔には険しい色が滲んでいた。
ちなみに彼女にかかれば、シキも私も「ちゃん」呼ばわりである。
「本当はもう少しゆっくりと、身体を戻していくのが良いのだけど、シキちゃんもまだ若いから焦りがあるのねぇ」
そう言って肩をすくめた彼女は、何か変わったことがあればすぐに知らせなさいと言って帰っていった。
少しだけシキの回復に水を注された気分になったが仕方がない。幸いにして、時間は充分ある。5年間、恋焦がれても遠く届かない人だった事を思えばなんて言うことはない。
寝室に戻るとシキは私のノートパソコンを膝の上に置き、何かをじっと見ていた。
「何を見ているんです?」
「ん? ハウスの皆んなが顔を出さないと思ったら、エルが止めてたんだなぁと、思って」
シキの様子を尋ねるメールは既に50通以上の数に上っている。
「ワタリや駿河さんならともかく、メロやマットは煩いですし、ニアなんかが来た日にはこの部屋を占領してオモチャで遊び始めるでしょうから」
もう暫くは貴女を独占したいのだと、素直に告げても良かったが、天邪鬼な応えが口をついて出た。
「ワタリとロジャーからそろそろ一度会わせてやって欲しいって嘆願のメールが来てるけど?」
くすくすと笑いながら言うシキが上目遣いに此方を見て来る。
シキ、それは反則ですよ。これでも私我慢しているんですからね。
「お礼も言いたいしね……」
ぽつりと溢れた言葉に、ハッとする。
「シキ……私たちは確かにDEATHNOTEに関するある重要な記憶を失いましたが、それは些細なことです。もしまたDEATHNOTEによる犯罪が起きても、私たちには対処出来るだけの能力が有ります。私も、メロもニアも、そう判断したから死神との取引に応じました」
小さく頷くシキに口付けを落とし膝の上のノートパソコンを取り上げる。
でも、そうですね。そろそろ一部の事情を知るもの達には会わせてあげないといけない頃合いでしょうか……