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シキの青い瞳がこちらを見上げている。
ベットに寝かせてしばらく、暖房や毛布によって温められた身体が生者の色を取り戻し始めていた。
「シキ私が分かりますか?」
薄っすらと開かれた口から言葉が出る事は無かった。代わりに瞳が一度閉じられて、またすぐに開いた。
シキの瞳に問うような色は見当たらなかった。まるで全てを知っているかのように、困った様に笑おうとしたのだろう瞳が眇められる。
「身体が思うように動きませんか?」
私の問いにもう一度、返事をする様に瞳が閉じられた。ワタリが用意してくれたホットタオルで顔や腕を拭ってやると気持ちよさそうに、目を細めるシキ。
私は次にベットの上に投げ出されているシキの手を取り、ゆっくりと摩りながらマッサージを施す。
ゆっくりとだが、使い出せば身体は元に戻るだろう。デジタル表示の時計を見れば後3時間で夜が明ける。
すうすうと、寝息を立てて寝始めたシキの横に潜り込み実に5年ぶりにシキの存在を感じながら僅かな仮眠を取った。
意識が浮上したのは寝室の扉をノックする音を聞いてからだった。
腕の中にある微かな重みに自分の口角が上がるのを感じる。
「エル朝食の時間だ。子供達はもう起きているから、一度顔を出してくれ」
ニアがハウスに滞在している時は、我が家の家事担当へと早変わりする駿河さんの声に私は時計を見る。
午前7時。思ったよりも深く眠っていた様だ。
ごく弱い力で袖口が引っ張られる。目を覚ましたシキが視線だけで何かを訴えている。
背中にクッションを挟み上体を起こしてやりながら、枕元にあった水指の水を煽りシキに少しづつ口移しで飲ませてゆく。
シキの喉がこくりと鳴った。
「エ、ル」
5年ぶりのシキの声。僅かに掠れてはいるものの優しく美しいシキの声だった。
「子供たちに朝の挨拶をしてきます。後で顔を見せてあげましょう。きっと喜びます。
それと、何か消化に良さそうなものを少し食べた方が良いですね、駿河さんに頼んでみましょう」
じわりと込み上げるものを無視してシキに言葉をかけつつベットから降りてドアへと向かう。
ドアノブに手をかけて、ふと、考えてしまう。これは夢や幻の類ではないのかと。次にこの部屋に入った時に果たしてそこに生きたシキがいるのかと……くるりと向きを変えてベット脇に戻った私。
「エル、大じょう、ぶ。わたしは、生きて、ここにいます」
先ほどよりずっと滑らかにシキが諭す。
焦ったい程ゆっくりと持ち上がった手が優しく私の頭を撫でた。
ベットに寝かせてしばらく、暖房や毛布によって温められた身体が生者の色を取り戻し始めていた。
「シキ私が分かりますか?」
薄っすらと開かれた口から言葉が出る事は無かった。代わりに瞳が一度閉じられて、またすぐに開いた。
シキの瞳に問うような色は見当たらなかった。まるで全てを知っているかのように、困った様に笑おうとしたのだろう瞳が眇められる。
「身体が思うように動きませんか?」
私の問いにもう一度、返事をする様に瞳が閉じられた。ワタリが用意してくれたホットタオルで顔や腕を拭ってやると気持ちよさそうに、目を細めるシキ。
私は次にベットの上に投げ出されているシキの手を取り、ゆっくりと摩りながらマッサージを施す。
ゆっくりとだが、使い出せば身体は元に戻るだろう。デジタル表示の時計を見れば後3時間で夜が明ける。
すうすうと、寝息を立てて寝始めたシキの横に潜り込み実に5年ぶりにシキの存在を感じながら僅かな仮眠を取った。
意識が浮上したのは寝室の扉をノックする音を聞いてからだった。
腕の中にある微かな重みに自分の口角が上がるのを感じる。
「エル朝食の時間だ。子供達はもう起きているから、一度顔を出してくれ」
ニアがハウスに滞在している時は、我が家の家事担当へと早変わりする駿河さんの声に私は時計を見る。
午前7時。思ったよりも深く眠っていた様だ。
ごく弱い力で袖口が引っ張られる。目を覚ましたシキが視線だけで何かを訴えている。
背中にクッションを挟み上体を起こしてやりながら、枕元にあった水指の水を煽りシキに少しづつ口移しで飲ませてゆく。
シキの喉がこくりと鳴った。
「エ、ル」
5年ぶりのシキの声。僅かに掠れてはいるものの優しく美しいシキの声だった。
「子供たちに朝の挨拶をしてきます。後で顔を見せてあげましょう。きっと喜びます。
それと、何か消化に良さそうなものを少し食べた方が良いですね、駿河さんに頼んでみましょう」
じわりと込み上げるものを無視してシキに言葉をかけつつベットから降りてドアへと向かう。
ドアノブに手をかけて、ふと、考えてしまう。これは夢や幻の類ではないのかと。次にこの部屋に入った時に果たしてそこに生きたシキがいるのかと……くるりと向きを変えてベット脇に戻った私。
「エル、大じょう、ぶ。わたしは、生きて、ここにいます」
先ほどよりずっと滑らかにシキが諭す。
焦ったい程ゆっくりと持ち上がった手が優しく私の頭を撫でた。