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死神から借り受けた消しゴムはなんの変哲もない消しゴムだった。
ワイミーズハウスの門に集ったワタリ、ロジャー、アイバー、夜神月、マット、メロ、ニアの7人が私が掲げている明かりを合図にシキの墓標まで歩いてくる。ワタリとロジャーが抱えているスコップが時折金属音を立てる他は異様に静かだ。
死神から借り受けた消しゴムでシキの名前を一文字ずつ消していく。最終的に私の元に戻ってきたそれに残る文字も全て消して、マットから借り受けたライターの火に焚べた。
「掘り起こしましょう」
ワタリとロジャーが抱えて来たスコップをそれぞれに手渡す。使い慣れているのだろうか、夜神月が土を掘るスピードは他のものの倍以上早い。
そして普段はこのような事には絶対に手を出さないニアまでもが頬を紅潮させながらスコップと格闘している。
合計8人もの男性が手をかければ墓を暴くのは案外簡単な事である。
ガッっと嫌な音を立ててスコップが何かを掘り当てた。
「ここからは慎重に掘り出して下さい」
その棺は5年間地中にあったとは思えないほど綺麗な状態で掘り出された。
死神の言うように不確定性原理が適応されているのだろうか?
棺が予想外に綺麗な状態で掘り出された事に対して、それぞれの口から安堵の息が漏れた。
釘打ちされている棺をワタリと私がバールでこじ開ける。
中には5年前のままに、眠り続けるシキの姿があった。
胸の上で組まれているままの腕を取り上げてその冷たさにゾッとしながらも脈を取ると微かに脈打っているのが感じられた。
「ゆっくりだけど呼吸も有るようですね」
ニアがまじまじと見つめながら言う。
私が棺から抱き起したシキにワタリがブランケットを巻いていく。
「エル。後始末は俺らに任せてシキをなんとかしてやれ」
「メロに言われるまでもありません、そうします。すみませんが皆さん後始末をお願いします。ワタリ」
ワタリが明かりを掲げて私たちの家への道を先導する。
その後をシキを抱きながら小走りに追う。
背後から彼らの夜中には不釣り合いな賑やかな声が聞こえていていた。
そして、黒い死神はいつのまにか姿を消していた。
ワイミーズハウスの門に集ったワタリ、ロジャー、アイバー、夜神月、マット、メロ、ニアの7人が私が掲げている明かりを合図にシキの墓標まで歩いてくる。ワタリとロジャーが抱えているスコップが時折金属音を立てる他は異様に静かだ。
死神から借り受けた消しゴムでシキの名前を一文字ずつ消していく。最終的に私の元に戻ってきたそれに残る文字も全て消して、マットから借り受けたライターの火に焚べた。
「掘り起こしましょう」
ワタリとロジャーが抱えて来たスコップをそれぞれに手渡す。使い慣れているのだろうか、夜神月が土を掘るスピードは他のものの倍以上早い。
そして普段はこのような事には絶対に手を出さないニアまでもが頬を紅潮させながらスコップと格闘している。
合計8人もの男性が手をかければ墓を暴くのは案外簡単な事である。
ガッっと嫌な音を立ててスコップが何かを掘り当てた。
「ここからは慎重に掘り出して下さい」
その棺は5年間地中にあったとは思えないほど綺麗な状態で掘り出された。
死神の言うように不確定性原理が適応されているのだろうか?
棺が予想外に綺麗な状態で掘り出された事に対して、それぞれの口から安堵の息が漏れた。
釘打ちされている棺をワタリと私がバールでこじ開ける。
中には5年前のままに、眠り続けるシキの姿があった。
胸の上で組まれているままの腕を取り上げてその冷たさにゾッとしながらも脈を取ると微かに脈打っているのが感じられた。
「ゆっくりだけど呼吸も有るようですね」
ニアがまじまじと見つめながら言う。
私が棺から抱き起したシキにワタリがブランケットを巻いていく。
「エル。後始末は俺らに任せてシキをなんとかしてやれ」
「メロに言われるまでもありません、そうします。すみませんが皆さん後始末をお願いします。ワタリ」
ワタリが明かりを掲げて私たちの家への道を先導する。
その後をシキを抱きながら小走りに追う。
背後から彼らの夜中には不釣り合いな賑やかな声が聞こえていていた。
そして、黒い死神はいつのまにか姿を消していた。