日日是好日
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誰のどう言う意図が働いたのか目に見えて分かる食卓に既にみんな座って待っていた。
流石に夜神君が可哀想になってきた。彼の目の前に置かれているのは海砂さんが作った料理の山。所々焦げていたり、生だったり、体に良いものなんだろうけれど組み合わせ的に合わなそうな取り合わせだったり……
当の海砂さんの席には、ありえない量のサラダと温野菜が並べられているし……
オパールとオニキスはワタリが作っただろう皿を自らの目の前にキープしている状態だ。
エルと席に着くと私たちの前にもワタリ作の料理が並べられた。夜神君の視線がどこか羨ましそうに見えるのは、気のせいでは無いと思う。
「竜崎おっそーい、せっかくの料理が冷めちゃう所だったよ。さ。早く食べよう? 頂きまーす」
ニコニコと海砂さんが食事の挨拶をしてからサラダに手を伸ばす。釣られるようにして私たちも「頂きます」の挨拶をして目の前の料理に手を伸ばす。
「海砂さんって、野菜しか食べないのモデルになってから?」
「うん、そうだよー。ミサ小さい頃はお肉とか好きですんごい食べてたもん。でも、モデルを始めた当時のマネージャーが厳しくて、それからはお肉もササミとか? そう言うのしか食べてない。
あ、でも、お仕事では食べるよ?」
オパールとにこやかに話しながらも海砂さんは夜神君の方をチラリと見ては、彼が食事を口に運ぶたびに花が咲いたように笑う。
対する夜神君は禅僧のように全てを削ぎ落とした表情で、ひたすらに箸を進めていた。
「月おじさん、それ美味しいの?」
難しいことを考えている時のエルと同じ表情で、オニキスが、問う。その顔にはよく食べれるね、と言う言葉がありありと浮かんでいる。
「オニキス、食べ物を粗末にするのは良くありませんからね。それに愛する海砂さんの手料理を中々食べる機会がない月君にとっては、ご馳走でしょう」
ニヤリと意地の悪い笑みを浮かべてエルが言う。
ワタリから聞いたところによると、席に着く前、食卓に並んだ料理を見た夜神君は、ワタリに胃薬の用意を頼んだらしい。
元々それほど量を食べる性質でない私と、やはり普通の食事は少量しか摂らないエルが全てを食べ終えても、夜神君の目の前の料理は半分ほどしか消えていない。
「海砂さん、流石に量が多いんじゃない? 月おじさんもう若くないからそんなに食べれないよ?」
オパールの言葉に眉を寄せながらも、どこかホッとしたように一旦箸を置く夜神君。
「えー月は普段力仕事してるからこれぐらい食べれるでしょう?
大体、月はまだ若いってば」
「いや、流石に僕も高校生の頃のようにはもう食べられないよ。僕のために作ってくれたのは嬉しいけどな」
爽やかに笑って海砂さんを宥める夜神君。
「えー? じゃあ残りは明日の朝食べてね」
語尾にハートマーク付きで海砂さんが夜神君にウインクする。
「そうですね、月君は食事を粗末にするような人ではないので、明日の朝食べてくれるでしょう。シキとワタリも一人分の仕事が減ればその分楽出来ますしね」
無駄にキラキラとした表情でエルが夜神君に畳み掛ける。
「「ドンマイ、月おじさん」」
ちゃっかりワタリ手製の美味しい食事を食べ終えた子供達が笑って席を立つ。夜神君は残った海砂さんの手料理を前に大きくため息を付いていた。
食事の片付けをしながら紅茶を入れる。リビングではぐったりした夜神君にニコニコ話しかける海砂さんと、エルと2対1で、チェスをしている子供達がくつろいでいる。
不意にワタリの持つ端末の着信音が鳴る。
「おやおや、休暇中のはずなんですが……何事か起きたようですね。少し確認して参ります」
キッチンを出て行くワタリの後ろ姿を見送る。ふと視線を感じて振り返ると、エルが同じようにワタリの出て行った扉を凝視していた。
一瞬交わった視線は既にLの視線へと変わっていた。
「シキ、今は休暇中ですよ」
「エルもね……」
流石に夜神君が可哀想になってきた。彼の目の前に置かれているのは海砂さんが作った料理の山。所々焦げていたり、生だったり、体に良いものなんだろうけれど組み合わせ的に合わなそうな取り合わせだったり……
当の海砂さんの席には、ありえない量のサラダと温野菜が並べられているし……
オパールとオニキスはワタリが作っただろう皿を自らの目の前にキープしている状態だ。
エルと席に着くと私たちの前にもワタリ作の料理が並べられた。夜神君の視線がどこか羨ましそうに見えるのは、気のせいでは無いと思う。
「竜崎おっそーい、せっかくの料理が冷めちゃう所だったよ。さ。早く食べよう? 頂きまーす」
ニコニコと海砂さんが食事の挨拶をしてからサラダに手を伸ばす。釣られるようにして私たちも「頂きます」の挨拶をして目の前の料理に手を伸ばす。
「海砂さんって、野菜しか食べないのモデルになってから?」
「うん、そうだよー。ミサ小さい頃はお肉とか好きですんごい食べてたもん。でも、モデルを始めた当時のマネージャーが厳しくて、それからはお肉もササミとか? そう言うのしか食べてない。
あ、でも、お仕事では食べるよ?」
オパールとにこやかに話しながらも海砂さんは夜神君の方をチラリと見ては、彼が食事を口に運ぶたびに花が咲いたように笑う。
対する夜神君は禅僧のように全てを削ぎ落とした表情で、ひたすらに箸を進めていた。
「月おじさん、それ美味しいの?」
難しいことを考えている時のエルと同じ表情で、オニキスが、問う。その顔にはよく食べれるね、と言う言葉がありありと浮かんでいる。
「オニキス、食べ物を粗末にするのは良くありませんからね。それに愛する海砂さんの手料理を中々食べる機会がない月君にとっては、ご馳走でしょう」
ニヤリと意地の悪い笑みを浮かべてエルが言う。
ワタリから聞いたところによると、席に着く前、食卓に並んだ料理を見た夜神君は、ワタリに胃薬の用意を頼んだらしい。
元々それほど量を食べる性質でない私と、やはり普通の食事は少量しか摂らないエルが全てを食べ終えても、夜神君の目の前の料理は半分ほどしか消えていない。
「海砂さん、流石に量が多いんじゃない? 月おじさんもう若くないからそんなに食べれないよ?」
オパールの言葉に眉を寄せながらも、どこかホッとしたように一旦箸を置く夜神君。
「えー月は普段力仕事してるからこれぐらい食べれるでしょう?
大体、月はまだ若いってば」
「いや、流石に僕も高校生の頃のようにはもう食べられないよ。僕のために作ってくれたのは嬉しいけどな」
爽やかに笑って海砂さんを宥める夜神君。
「えー? じゃあ残りは明日の朝食べてね」
語尾にハートマーク付きで海砂さんが夜神君にウインクする。
「そうですね、月君は食事を粗末にするような人ではないので、明日の朝食べてくれるでしょう。シキとワタリも一人分の仕事が減ればその分楽出来ますしね」
無駄にキラキラとした表情でエルが夜神君に畳み掛ける。
「「ドンマイ、月おじさん」」
ちゃっかりワタリ手製の美味しい食事を食べ終えた子供達が笑って席を立つ。夜神君は残った海砂さんの手料理を前に大きくため息を付いていた。
食事の片付けをしながら紅茶を入れる。リビングではぐったりした夜神君にニコニコ話しかける海砂さんと、エルと2対1で、チェスをしている子供達がくつろいでいる。
不意にワタリの持つ端末の着信音が鳴る。
「おやおや、休暇中のはずなんですが……何事か起きたようですね。少し確認して参ります」
キッチンを出て行くワタリの後ろ姿を見送る。ふと視線を感じて振り返ると、エルが同じようにワタリの出て行った扉を凝視していた。
一瞬交わった視線は既にLの視線へと変わっていた。
「シキ、今は休暇中ですよ」
「エルもね……」