日日是好日
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「シキ起きてましたか……熱はどうですか? 子供たちは夕食を終えてますが、何か食べられそうですか?」
20時、ニアとメロ、マットに仕事を割り振りワイミーズハウスへ帰し、子供たちと夕食を終えた私は、シキの様子を見に寝室に戻って来た。つい一時間前に覗いた時にはまだ眠っていたが、流石に起きたようだった。
「今日は苺を沢山食べたからそんなにお腹減ってないかな? 随分寝てたから眠気が飛んじゃって」
なるほど……それで暇を持て余してたと言うわけですか。ベッドから抜け出して家具伝いに歩行練習でもしていたのか、それともリビングにでも顔を出すつもりだったのか、ドア付近の壁に片手をついたシキはそう言って、手を付き変えて身体の向きを変えた。
どうやらベッドに戻るつもりらしい。
「暖かいお茶でも飲みますか?」
シキの手を取って支えながらベッドに座らせる。隣に足を上げて座るとシキが遠慮がちに寄り掛かってきた。
「ワタリももう下がってるでしょう?」
「ええ、まあ。ですがシキが夕食を取っていない事を心配していましたし、まだこの時間なら起きているでしょう。それに私だってお茶ぐらい淹れられますよ?」
きょとんとした顔で、私を見上げるシキに堪らなくなって、その滑らかな頬に口付ける。
「じゃあ、エルの淹れてくれたお茶が飲みたいな」
「……少し待っていてください。あ、まだ夜は冷えます何か羽織るものを」
ブランケットをシキの肩に掛けて、紅茶を淹れにキッチンへ戻る。
ワタリが用意したのだろうティーカップとポット、山盛りの角砂糖とケトル、並んでいる茶葉の銘柄はどれもカフェインの含有量が少ないものばかり。ラップの掛けられた皿には、小さめにカットされたサンドウィッチとスコーンも置かれている。シキの好みそうな茶葉を選んでお茶を淹れると、寝室に戻った。
サイドテーブルに置いて、ティーカップに注ぎ入れる。
「まだ熱いですから、気をつけて下さい」
「ありがとう」
シキにお茶を手渡し隣に座ろうとして、思い立ってサイドテーブルを目の前まで引きずる。
シュガーポットを開けて角砂糖を鷲掴みにして、ふと思い直して一つだけ摘み自分用のティーカップに落とした。僅かにそこに澱んだそれは、やがて紅茶の熱で溶けて跡形もなく消えた。
一口飲んで物足りないなと思う。
「……エルどうしたの? 昼間までは砂糖いつもの量入れてたのに」
「Lを暫く休むことにします。頭を使わない分糖分の摂取量には気をつけた方が良いかと思いまして……」
シキの隣に座って膝を抱えると、シキが揺れる紅茶の水面に視線を落として小さく謝った。
「私がそうしたいと決めたんです。シキが謝ることではありません。それにニアやメロにも良い機会となるでしょう」
甘味の足りない紅茶を飲み干して、サイドテーブルに置き、シキの肩を抱き寄せた。
「5年前、シキに取っては5年前と言う感覚では無いのかもしれませんが、キラ事件を解決して、その間に溜まっていた膨大な量の依頼を片付けていた時、松田さんが訪ねて来た事がありましたね」
シキは突然の話に困惑しながらも頷いた。
「あの時、松田さんが言っていたように、旅行にいったり、久しく顔を見ていない知り合いを訪ねたり、そう言う事をした方が良かったのでは無いかと、この5年間悩んだ事もありました」
シキがまたもや申し訳なさそうに謝ろうとするのを遮って、話を続ける。
「なので、暫くLを休んで、そう言った事をして見ようと言う気になりました。貴女も、失ってしまった5年分の、子供たちとの時間を取り戻したいでしょうし。たまには、何もせずゆっくり過ごすと言う生き方もして見ませんか?」
ニートという奴です。と告げると目を丸くして驚き、やがて笑うシキ。
「エルとなら、楽しそうだね」
「はい、身体も焦らずに元に戻していきましょう。何たって私たち、ニートですから。時間はたっぷりあります」
20時、ニアとメロ、マットに仕事を割り振りワイミーズハウスへ帰し、子供たちと夕食を終えた私は、シキの様子を見に寝室に戻って来た。つい一時間前に覗いた時にはまだ眠っていたが、流石に起きたようだった。
「今日は苺を沢山食べたからそんなにお腹減ってないかな? 随分寝てたから眠気が飛んじゃって」
なるほど……それで暇を持て余してたと言うわけですか。ベッドから抜け出して家具伝いに歩行練習でもしていたのか、それともリビングにでも顔を出すつもりだったのか、ドア付近の壁に片手をついたシキはそう言って、手を付き変えて身体の向きを変えた。
どうやらベッドに戻るつもりらしい。
「暖かいお茶でも飲みますか?」
シキの手を取って支えながらベッドに座らせる。隣に足を上げて座るとシキが遠慮がちに寄り掛かってきた。
「ワタリももう下がってるでしょう?」
「ええ、まあ。ですがシキが夕食を取っていない事を心配していましたし、まだこの時間なら起きているでしょう。それに私だってお茶ぐらい淹れられますよ?」
きょとんとした顔で、私を見上げるシキに堪らなくなって、その滑らかな頬に口付ける。
「じゃあ、エルの淹れてくれたお茶が飲みたいな」
「……少し待っていてください。あ、まだ夜は冷えます何か羽織るものを」
ブランケットをシキの肩に掛けて、紅茶を淹れにキッチンへ戻る。
ワタリが用意したのだろうティーカップとポット、山盛りの角砂糖とケトル、並んでいる茶葉の銘柄はどれもカフェインの含有量が少ないものばかり。ラップの掛けられた皿には、小さめにカットされたサンドウィッチとスコーンも置かれている。シキの好みそうな茶葉を選んでお茶を淹れると、寝室に戻った。
サイドテーブルに置いて、ティーカップに注ぎ入れる。
「まだ熱いですから、気をつけて下さい」
「ありがとう」
シキにお茶を手渡し隣に座ろうとして、思い立ってサイドテーブルを目の前まで引きずる。
シュガーポットを開けて角砂糖を鷲掴みにして、ふと思い直して一つだけ摘み自分用のティーカップに落とした。僅かにそこに澱んだそれは、やがて紅茶の熱で溶けて跡形もなく消えた。
一口飲んで物足りないなと思う。
「……エルどうしたの? 昼間までは砂糖いつもの量入れてたのに」
「Lを暫く休むことにします。頭を使わない分糖分の摂取量には気をつけた方が良いかと思いまして……」
シキの隣に座って膝を抱えると、シキが揺れる紅茶の水面に視線を落として小さく謝った。
「私がそうしたいと決めたんです。シキが謝ることではありません。それにニアやメロにも良い機会となるでしょう」
甘味の足りない紅茶を飲み干して、サイドテーブルに置き、シキの肩を抱き寄せた。
「5年前、シキに取っては5年前と言う感覚では無いのかもしれませんが、キラ事件を解決して、その間に溜まっていた膨大な量の依頼を片付けていた時、松田さんが訪ねて来た事がありましたね」
シキは突然の話に困惑しながらも頷いた。
「あの時、松田さんが言っていたように、旅行にいったり、久しく顔を見ていない知り合いを訪ねたり、そう言う事をした方が良かったのでは無いかと、この5年間悩んだ事もありました」
シキがまたもや申し訳なさそうに謝ろうとするのを遮って、話を続ける。
「なので、暫くLを休んで、そう言った事をして見ようと言う気になりました。貴女も、失ってしまった5年分の、子供たちとの時間を取り戻したいでしょうし。たまには、何もせずゆっくり過ごすと言う生き方もして見ませんか?」
ニートという奴です。と告げると目を丸くして驚き、やがて笑うシキ。
「エルとなら、楽しそうだね」
「はい、身体も焦らずに元に戻していきましょう。何たって私たち、ニートですから。時間はたっぷりあります」