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『全く、俺らが大変な目に遭ってる間にティータイムとは随分呑気だな……ニア』
すっかり忘れていたメロからの連絡が入ったのはシキがお代わりの苺を全て平らげた頃だった。
「メロ、お疲れ様。どう、何かわかった?」
ニアに代わって声をかけたシキに、メロの口調が少し柔らかくなる。
『坑道の地図らしき物を見つけた、画像を送る。あと、人質にされた奴らは、最近アメリカで問題になってる新しい薬の開発者か製造者だろうな』
メロの話によると坑道の奥深く一見わかりにくい場所に大量の粉末が隠されていたそうだ。また、そこからさらに下部へと降る道があり、少しひらけた場所となっているそこには薬の製造に必要な道具が揃っていたと言う。
「まさかとは思いますが、その薬……メルトと呼ばれている物ですか?」
ニアが僅かな驚きを乗せてメロに尋ねる。
「「メルト……溶ける?」」
シキと月君が首を傾げる。無理もない、ここ半年ほどの間に市場に出回る様になった違法な薬だ。
「ええ、溶けます。人肌の温度で溶けて気化すると言う性質が有ります。扱いが難しいですが効きがいい様でかなりの額の取引が日々行われています。
それにしても使われていない坑道ですか……あの辺りは乾いた土地ですし気温も地上部よりは低い、考えましたね」
『関心してる場合じゃないだろ、このままだと逃げられるぞ』
メロが送ってきた坑道の地図にはいくつかの縦穴が示されている。通気口の為のものだろうが、逃げようと思えば地上に出ることも出来そうだ。
「……ニア」
「手配は済ませましたが、正直警官だけでは心許ないですね……」
一度逃げられている以上ニアの言うことにも一理ありますね。
「岩盤が脆い以上、慎重に移動するだろうから、まだ坑道内から出られてはいないと思うよ」
メロから送られてきた地図を見つめるシキ。私と月君もそれをじっと眺める。
「ちょっとパソコン借りてもいいかな。3Dの地図を作成してみるよ」
月君の申し出に私は隣の書斎からもう一台のパソコンを持ち出して貸し与えた。
立体的な坑道を平面的に書き記したそれは、傾斜の角度や高低差が書き込まれている。それらの情報を読み取り立体へと換算してゆく作業は頭の中で考えた方が早い。
「ここと、ここ、それからこの縦穴は物理的に塞いで……鉄板を敷いてその上に重石を置く程度で大丈夫だと思う。出来そう?」
「こちらもいけそうです。こことこの二箇所」
私たちの指し示す地点を確認したニアが目を細める。
「となると残りは二箇所ですね。夜神月、作業が遅いですよ」
ニア何気に月君に対する当たりがキツイですね。
「竜崎やシキさんは頭の中で図が展開できてるから問題ないよ。コレは寧ろ現場で働く警官達のためのものだからな、犯人確保に向かう時までに終われば問題なし!
……本当に入り組んでるな、竜崎ちょっと確認してくれ。こんな感じでいいと思うんだが……」
そう言って月君が差し出した3D化された坑道の図を見る。5年前と変わらない几帳面さと確かな仕事。隣から覗き込んだシキが感嘆の声を漏らした。
「完璧ですね。ニア、データで送りますので現場の警官と共有してください」
するりと脇から伸びたシキの手が塞ぐ予定の通気口にマークを付けていく。
「さて、どの道を通らせようか」
シキの細い指が一本の道筋を描き出した。
すっかり忘れていたメロからの連絡が入ったのはシキがお代わりの苺を全て平らげた頃だった。
「メロ、お疲れ様。どう、何かわかった?」
ニアに代わって声をかけたシキに、メロの口調が少し柔らかくなる。
『坑道の地図らしき物を見つけた、画像を送る。あと、人質にされた奴らは、最近アメリカで問題になってる新しい薬の開発者か製造者だろうな』
メロの話によると坑道の奥深く一見わかりにくい場所に大量の粉末が隠されていたそうだ。また、そこからさらに下部へと降る道があり、少しひらけた場所となっているそこには薬の製造に必要な道具が揃っていたと言う。
「まさかとは思いますが、その薬……メルトと呼ばれている物ですか?」
ニアが僅かな驚きを乗せてメロに尋ねる。
「「メルト……溶ける?」」
シキと月君が首を傾げる。無理もない、ここ半年ほどの間に市場に出回る様になった違法な薬だ。
「ええ、溶けます。人肌の温度で溶けて気化すると言う性質が有ります。扱いが難しいですが効きがいい様でかなりの額の取引が日々行われています。
それにしても使われていない坑道ですか……あの辺りは乾いた土地ですし気温も地上部よりは低い、考えましたね」
『関心してる場合じゃないだろ、このままだと逃げられるぞ』
メロが送ってきた坑道の地図にはいくつかの縦穴が示されている。通気口の為のものだろうが、逃げようと思えば地上に出ることも出来そうだ。
「……ニア」
「手配は済ませましたが、正直警官だけでは心許ないですね……」
一度逃げられている以上ニアの言うことにも一理ありますね。
「岩盤が脆い以上、慎重に移動するだろうから、まだ坑道内から出られてはいないと思うよ」
メロから送られてきた地図を見つめるシキ。私と月君もそれをじっと眺める。
「ちょっとパソコン借りてもいいかな。3Dの地図を作成してみるよ」
月君の申し出に私は隣の書斎からもう一台のパソコンを持ち出して貸し与えた。
立体的な坑道を平面的に書き記したそれは、傾斜の角度や高低差が書き込まれている。それらの情報を読み取り立体へと換算してゆく作業は頭の中で考えた方が早い。
「ここと、ここ、それからこの縦穴は物理的に塞いで……鉄板を敷いてその上に重石を置く程度で大丈夫だと思う。出来そう?」
「こちらもいけそうです。こことこの二箇所」
私たちの指し示す地点を確認したニアが目を細める。
「となると残りは二箇所ですね。夜神月、作業が遅いですよ」
ニア何気に月君に対する当たりがキツイですね。
「竜崎やシキさんは頭の中で図が展開できてるから問題ないよ。コレは寧ろ現場で働く警官達のためのものだからな、犯人確保に向かう時までに終われば問題なし!
……本当に入り組んでるな、竜崎ちょっと確認してくれ。こんな感じでいいと思うんだが……」
そう言って月君が差し出した3D化された坑道の図を見る。5年前と変わらない几帳面さと確かな仕事。隣から覗き込んだシキが感嘆の声を漏らした。
「完璧ですね。ニア、データで送りますので現場の警官と共有してください」
するりと脇から伸びたシキの手が塞ぐ予定の通気口にマークを付けていく。
「さて、どの道を通らせようか」
シキの細い指が一本の道筋を描き出した。