案の定 シキは次の日に熱を出した。
　 シキを彼らに合わせるのが早かったのでは無く、彼らが騒がしいのが原因だと私は確信している。
「ワタリ、医者に連絡を！」
「エル、氷嚢持って来たぞ」
「ありがとうございます。駿河さん、済みませんが子供達の朝食をお願いします。私はちょっと行けそうに有りませんから……」
「分かった、朝飯食べさせてワイミーズハウスの授業に連れて行くから心配するな」
　周りがバタバタとしているにも関わらず、ぐったりとしている シキの様子から、かなり熱が高い事が伺える。
　いつもは白い シキの肌は熱によって紅潮している。そっとその頬に触れる。
　熱い。
　既に成人している シキにとって、これほどの熱は堪えるだろう。そっと頭を持ち上げて、氷嚢を差し入れてやる。
　肌に触れた冷たさに シキの瞳が一瞬持ち上がる。
「医者を呼びましたから、直ぐにでも診てもらえると思います。解熱剤を処方して貰えば、楽になるでしょう」
　全てを聞き終える前に シキは意識を手放した様だ。
　




　ぽたり……ぽたり……ぽたり
　規則正しい間隔で点滴が落ちている。私は静かに シキの顔を眺めている。
　請け負っていた事件が佳境ではあったが、メロとニアに押し付けて来たので問題無いでしょう。
　メロは思考の深さに、ニアは行動力に難点があり、彼らに仕事を振る場合、それぞれの得意な分野の仕事を割り当てて来ましたが、今回は2人で協力してやって貰うつもりなので、まあ、問題無いでしょう。ニアとメロも周りが思うほど犬猿の仲でも無いですし。
オパールはニアに仕事を押し付けた事を怒るかもしれませんが……こればかりは仕方ありません。
　解熱剤の効果か シキの顔色もほぼ平常時のものとなり、呼吸にも苦しそうな所は見当たらない。
　ほっと息を吐き出した私は、もう何時間か前にワタリが淹れてくれた冷め切った紅茶に手を出した。
　死神も、生き返ったとしても元の性質や体質が変わるわけでは無いと言っていました。
　
　 シキの体調管理には、暫く気を配る必要がありそうです。