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小春日和と称するに打って付けの良い陽気は、もしかしたら異常気象の影響なのかも知れないが、今の私たちには関係ない。
大学研究棟の屋上に立ち入れる事を聞いたシキが、頑張っている子供達にとピクニックを企画した。
近くのスーパーで購入した食べ物や甘味がシートの上に所狭しと並べられてゆく。研究室にあったアルコールランプとビーカーを勝手に拝借したのは内緒だ。
「あー気持ちいい」
両手を広げて伸びをする真希さんは年相応の笑顔だ。その隣で真希さんを見上げたboyもニコニコとしている。
「明日からまた検査が続きますよ」
私の言葉にも真希さんは笑顔で答えた。
「分かってる‼︎」
僅かに見え始めた希望が、真希さんを明るくさせているのは明白だった。
シキが私たちを呼ぶ。すっかり用意が終わったピクニックシートの上に上がり込む。
早速手を伸ばした私とboyを止めたのは真希さんの鋭い声と瞳だった。
「待って!」
そろそろと、摘んだものを下ろすと彼女は満足気に笑って両手を合わせた。
倣うように私たちも手を合わせる。
「いただきます」
「「いただきます」」
嬉しそうに笑って真希さんは食事に手をつけ始めた。隣でシキが淹れてくれている紅茶のいい香りが漂よう。
ドーナツに溶けたチョコを絡めて口に運ぶ。次はたい焼きにしよう。
「ねえ、何でエルは甘いものばっかり食べてるの?」
「脳にとっては糖分が一番重要で……」
「シキさん、そんなに食べてないよ? それにそんなに甘いものばっかり食べてると死んじゃうよ?」
真希さんの言葉が頭の中を回る。
……もしかしたら。いや、たとえ今分かったとしても、もう仕方のない事だ。
「頭を使うとすぐに消費されるので大丈夫です」
「エルはね、こう見えても割と健康体なの。糖尿病の気もないし……何でだろうね?」
「ですから、頭を使うことによって消費しているので問題ないと言っているではないですか」
私たちのやり取りに笑った真希さんは、フツーの人は絶対エルみたいにはなれないから無理だと言ってさらに笑った。
「大体、エルっていつもそんなに考え事してるの? 何考えてるの?」
無邪気に聞く真希さんに、シキが笑う。
「大人には色々有るんですよ? 考えるべき事が」
「えー? 嘘だあ、じゃあ、今何考えてるの?」
「今ですか? 今はシキの事を考えていましたが……」
私の言葉に一瞬止まった真希さんは目を丸くして言う。
「エルって、シキさんの事本当に好きなんだね」
「はい、好きです。 愛しています」
当然の事に即答すると真希さんはまた笑った。
「だって、シキさんは?」
あぁ、いつの時代も、どんなに幼くても少女とは色恋の話が好きな様だ。
「私も愛しているよ」
シキの言葉に満たされて私は、浮かれていたのかも知れない。
屋上の一角高くなっている場所(おそらく給水塔だろう)に上がった私は、シキ、真希さん、boyの視線を受けて、少しずつ背筋を伸ばす。
何年も伸ばしたことのなかった筋や関節が何とも言えない音を上げる。
背筋を伸ばし切ったところで下から拍手が湧き上がる。
シキが笑っている。真希さんは思いっきり手を叩きながらboyと笑い合っている。
すぐに元の姿勢に戻ると、真希さんから残念そうな声が上がったので、思わず振り向いてしまった。
シキの唇が音を発せずに動く。
『死ぬ前に面白いものが見れました』
思わず給水塔から飛び降りて、シキの前に降り立つ。
「望むのなら何度でも見せて差し上げます」
大学研究棟の屋上に立ち入れる事を聞いたシキが、頑張っている子供達にとピクニックを企画した。
近くのスーパーで購入した食べ物や甘味がシートの上に所狭しと並べられてゆく。研究室にあったアルコールランプとビーカーを勝手に拝借したのは内緒だ。
「あー気持ちいい」
両手を広げて伸びをする真希さんは年相応の笑顔だ。その隣で真希さんを見上げたboyもニコニコとしている。
「明日からまた検査が続きますよ」
私の言葉にも真希さんは笑顔で答えた。
「分かってる‼︎」
僅かに見え始めた希望が、真希さんを明るくさせているのは明白だった。
シキが私たちを呼ぶ。すっかり用意が終わったピクニックシートの上に上がり込む。
早速手を伸ばした私とboyを止めたのは真希さんの鋭い声と瞳だった。
「待って!」
そろそろと、摘んだものを下ろすと彼女は満足気に笑って両手を合わせた。
倣うように私たちも手を合わせる。
「いただきます」
「「いただきます」」
嬉しそうに笑って真希さんは食事に手をつけ始めた。隣でシキが淹れてくれている紅茶のいい香りが漂よう。
ドーナツに溶けたチョコを絡めて口に運ぶ。次はたい焼きにしよう。
「ねえ、何でエルは甘いものばっかり食べてるの?」
「脳にとっては糖分が一番重要で……」
「シキさん、そんなに食べてないよ? それにそんなに甘いものばっかり食べてると死んじゃうよ?」
真希さんの言葉が頭の中を回る。
……もしかしたら。いや、たとえ今分かったとしても、もう仕方のない事だ。
「頭を使うとすぐに消費されるので大丈夫です」
「エルはね、こう見えても割と健康体なの。糖尿病の気もないし……何でだろうね?」
「ですから、頭を使うことによって消費しているので問題ないと言っているではないですか」
私たちのやり取りに笑った真希さんは、フツーの人は絶対エルみたいにはなれないから無理だと言ってさらに笑った。
「大体、エルっていつもそんなに考え事してるの? 何考えてるの?」
無邪気に聞く真希さんに、シキが笑う。
「大人には色々有るんですよ? 考えるべき事が」
「えー? 嘘だあ、じゃあ、今何考えてるの?」
「今ですか? 今はシキの事を考えていましたが……」
私の言葉に一瞬止まった真希さんは目を丸くして言う。
「エルって、シキさんの事本当に好きなんだね」
「はい、好きです。 愛しています」
当然の事に即答すると真希さんはまた笑った。
「だって、シキさんは?」
あぁ、いつの時代も、どんなに幼くても少女とは色恋の話が好きな様だ。
「私も愛しているよ」
シキの言葉に満たされて私は、浮かれていたのかも知れない。
屋上の一角高くなっている場所(おそらく給水塔だろう)に上がった私は、シキ、真希さん、boyの視線を受けて、少しずつ背筋を伸ばす。
何年も伸ばしたことのなかった筋や関節が何とも言えない音を上げる。
背筋を伸ばし切ったところで下から拍手が湧き上がる。
シキが笑っている。真希さんは思いっきり手を叩きながらboyと笑い合っている。
すぐに元の姿勢に戻ると、真希さんから残念そうな声が上がったので、思わず振り向いてしまった。
シキの唇が音を発せずに動く。
『死ぬ前に面白いものが見れました』
思わず給水塔から飛び降りて、シキの前に降り立つ。
「望むのなら何度でも見せて差し上げます」