Wの不在
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ほぼ不眠不休で、依頼を片付けていた私たちにも流石に限界は訪れる。
やることの無くなった私たちはソファーの上で、お互いを支えに、眠りの淵へと落ちていた。
ワタリのパソコンに着信が入る。ワイミーズ本部からのそれは、Fに与えられた回線からワタリへの電話が入っていると告げた。
ぼんやりとそれを見つめていたシキが頷く。
私は回線を繋ぐ様指示した。
「F 1225 F 1225 F1225」
幼い子供の声が必死に繰り返す。
「「 Fからの贈り物 」」
私とシキの声が重なった。
「「その贈り物は、私たちが受け取ります」」
タイの感染症発生地域に居たと言う少年は、どうした訳か全くの健康体だった。病院での検査を終えた彼は怯えた様に私にしがみついて来た。
……私がワタリの様子を見に行って、シキをこちらに残した方が良かったのでは……?
幸いな事にワタリの意識は回復している。
まあ、年齢が年齢なので、リハビリなどはゆっくり進める事になっている。当然仕事復帰は退院後で、それまでは私たちにはノータッチの予定だ。
少年を引き取りに来たついでに、お見舞いができる事をシキは事のほか喜んでいたから、仕方がない。
ワタリの元から帰ってきたシキと少年を連れて本部へ戻る。
少年は英語を理解している様だか、自分をboyと名乗ったきり、何も喋らない。
boyでは、通称か何かである。おそらくFが拾った孤児か何かなのだろう。
ワタリの執務室に駆け込む少年の後をゆっくりと追う。
目ざとく、甘味部屋を見つけて駆け込んでゆく少年。
最近のお気に入りのお菓子の串刺しタワーを作って少年に差し出し、首に下げているペンダントを見せてくれる様に頼むも、彼は叫び声を上げて離れて行ってしまった。
「うちの子達の様には行きませんね……どうやら子守は苦手な様です」
ころころと楽しそうにシキが笑う。
笑ったシキはポテトチップの袋を少年の前に掲げて見せた。
少年は勢いよく袋を破き思いっきり頬張った。
口から溢れたかけらを、そっと拭ってやる。暫くこちらをじっと見つめていたboyは首にかけたペンダントをそっと差し出した。
ペンダントの中から出てきたマイクロチップ。
「Fからのメッセージ?」
「おそらく、見てみましょう」
タイの伝染病が生物兵器である事。村はそのウイルスの実験の為に使用され、滅んだ事。そして、その背後に的場と言う男の存在がある事を告げるFからのメッセージ。
シキが背後の本棚に向かい感染症研究の専門書に手を伸ばす。残念ながら少しだけ届かないシキに本を取ってあげて、boyの様子を伺う。
ポテトチップで満足したのか、壁に数字を書いて遊んでいる。
……中々やりますねboy。
マイクロチップと少年その両方が贈り物だったようだ。
やることの無くなった私たちはソファーの上で、お互いを支えに、眠りの淵へと落ちていた。
ワタリのパソコンに着信が入る。ワイミーズ本部からのそれは、Fに与えられた回線からワタリへの電話が入っていると告げた。
ぼんやりとそれを見つめていたシキが頷く。
私は回線を繋ぐ様指示した。
「F 1225 F 1225 F1225」
幼い子供の声が必死に繰り返す。
「「 Fからの贈り物 」」
私とシキの声が重なった。
「「その贈り物は、私たちが受け取ります」」
タイの感染症発生地域に居たと言う少年は、どうした訳か全くの健康体だった。病院での検査を終えた彼は怯えた様に私にしがみついて来た。
……私がワタリの様子を見に行って、シキをこちらに残した方が良かったのでは……?
幸いな事にワタリの意識は回復している。
まあ、年齢が年齢なので、リハビリなどはゆっくり進める事になっている。当然仕事復帰は退院後で、それまでは私たちにはノータッチの予定だ。
少年を引き取りに来たついでに、お見舞いができる事をシキは事のほか喜んでいたから、仕方がない。
ワタリの元から帰ってきたシキと少年を連れて本部へ戻る。
少年は英語を理解している様だか、自分をboyと名乗ったきり、何も喋らない。
boyでは、通称か何かである。おそらくFが拾った孤児か何かなのだろう。
ワタリの執務室に駆け込む少年の後をゆっくりと追う。
目ざとく、甘味部屋を見つけて駆け込んでゆく少年。
最近のお気に入りのお菓子の串刺しタワーを作って少年に差し出し、首に下げているペンダントを見せてくれる様に頼むも、彼は叫び声を上げて離れて行ってしまった。
「うちの子達の様には行きませんね……どうやら子守は苦手な様です」
ころころと楽しそうにシキが笑う。
笑ったシキはポテトチップの袋を少年の前に掲げて見せた。
少年は勢いよく袋を破き思いっきり頬張った。
口から溢れたかけらを、そっと拭ってやる。暫くこちらをじっと見つめていたboyは首にかけたペンダントをそっと差し出した。
ペンダントの中から出てきたマイクロチップ。
「Fからのメッセージ?」
「おそらく、見てみましょう」
タイの伝染病が生物兵器である事。村はそのウイルスの実験の為に使用され、滅んだ事。そして、その背後に的場と言う男の存在がある事を告げるFからのメッセージ。
シキが背後の本棚に向かい感染症研究の専門書に手を伸ばす。残念ながら少しだけ届かないシキに本を取ってあげて、boyの様子を伺う。
ポテトチップで満足したのか、壁に数字を書いて遊んでいる。
……中々やりますねboy。
マイクロチップと少年その両方が贈り物だったようだ。