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「前に話していたでしょう。あの丘を買い取って、桜の木を植えようって。子どもたちが遊べる様に、どんぐりの木や、果樹を植えるのも良いよね」
いつのまにか隣に来ていたシキが、私を見上げて笑う。
「はい、そんな事も話しましたね。もう随分昔の事に思えます」
「植えて直ぐはそれほどでもないだろうけど、5年10年経てばワイミーズの子供たちもお花見が出来るぐらいになると思う。そして、その頃にはメロやニアが一人前になっているかなぁ」
まるで子供の様に無邪気に夢想するシキ。
「……苗木の手配をしなくてはいけませんね」
「冬の終わり頃に移植するのが良い様ですね、品種にご希望は有りますか?」
ワタリがさっと取り出した図鑑には、およそ三百に上ると言う桜の品種が網羅されていた。
相変わらず、なんでも出てくる部屋だ。シキと2人であれが良い、これが良いと他愛もない話をする。
メモを取ったワタリがそれを懐に仕舞うのを見て私は声をかけた。
「ワタリ、手配は駿河さんに任せましょう」
「あ、ごめん。駿河さんには別のことを頼んである。そろそろ真希ちゃんも面会が叶う頃だから」
……大概シキも人使いが荒いようです。
「二階堂真希さんですね。松戸夫妻が引き取りを希望していると伺っています」
苗木の注文は私が責任を持って、とメモをしっかり懐に仕舞ったワタリが言う。
もう、二階堂真希のその後の情報も得ているのか、ワタリの情報収集能力は相変わらず衰えていない様だ。
「お母様を随分前に亡くされているみたいで、今回お父様も目の前で失っているからね……暫くはカウンセリングとかも必要かもしれないね」
「シキは随分と懐かれて居ましたね」
エルも懐かれて居たよ? とシキは言うが、きっと私はシキのついでみたいなものだ。
駿河さんに渡した番号からのコールが響いたのはその時だった。
「大変だL。真希さんが病院を抜け出した」
駿河さんの話を要約すると、シキに頼まれたクマのぬいぐるみとリュックサックを真希さんの元に届けに行ったらしい。真希さんはもう普通病棟で生活しており、元気そうに見えたと言う話だった。
クマのぬいぐるみの音声を聴いていた真希さんが、喉が渇いたから何か買ってきて欲しいと駿河さんに頼んだそうだ。
人の良い駿河さんは言われた通り飲み物を買いに行き、病室に戻るも真希さんの姿がない。検査か何か入ったのだろうかと、待つこと暫し、漸く真希さんの脱走に気がついたとの事だった。
「最後の最後まで、やってくれるね真希ちゃん」
「はあ、ここに来て人探し……ですか」
いつのまにか隣に来ていたシキが、私を見上げて笑う。
「はい、そんな事も話しましたね。もう随分昔の事に思えます」
「植えて直ぐはそれほどでもないだろうけど、5年10年経てばワイミーズの子供たちもお花見が出来るぐらいになると思う。そして、その頃にはメロやニアが一人前になっているかなぁ」
まるで子供の様に無邪気に夢想するシキ。
「……苗木の手配をしなくてはいけませんね」
「冬の終わり頃に移植するのが良い様ですね、品種にご希望は有りますか?」
ワタリがさっと取り出した図鑑には、およそ三百に上ると言う桜の品種が網羅されていた。
相変わらず、なんでも出てくる部屋だ。シキと2人であれが良い、これが良いと他愛もない話をする。
メモを取ったワタリがそれを懐に仕舞うのを見て私は声をかけた。
「ワタリ、手配は駿河さんに任せましょう」
「あ、ごめん。駿河さんには別のことを頼んである。そろそろ真希ちゃんも面会が叶う頃だから」
……大概シキも人使いが荒いようです。
「二階堂真希さんですね。松戸夫妻が引き取りを希望していると伺っています」
苗木の注文は私が責任を持って、とメモをしっかり懐に仕舞ったワタリが言う。
もう、二階堂真希のその後の情報も得ているのか、ワタリの情報収集能力は相変わらず衰えていない様だ。
「お母様を随分前に亡くされているみたいで、今回お父様も目の前で失っているからね……暫くはカウンセリングとかも必要かもしれないね」
「シキは随分と懐かれて居ましたね」
エルも懐かれて居たよ? とシキは言うが、きっと私はシキのついでみたいなものだ。
駿河さんに渡した番号からのコールが響いたのはその時だった。
「大変だL。真希さんが病院を抜け出した」
駿河さんの話を要約すると、シキに頼まれたクマのぬいぐるみとリュックサックを真希さんの元に届けに行ったらしい。真希さんはもう普通病棟で生活しており、元気そうに見えたと言う話だった。
クマのぬいぐるみの音声を聴いていた真希さんが、喉が渇いたから何か買ってきて欲しいと駿河さんに頼んだそうだ。
人の良い駿河さんは言われた通り飲み物を買いに行き、病室に戻るも真希さんの姿がない。検査か何か入ったのだろうかと、待つこと暫し、漸く真希さんの脱走に気がついたとの事だった。
「最後の最後まで、やってくれるね真希ちゃん」
「はあ、ここに来て人探し……ですか」