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屋上を片付けた私たちが研究室に戻ろうと廊下を曲がる。
「私ちょっとトイレ行ってくる」
そう言って、駆けて行った真希さん。
その身軽な様子と、いつも背負っているリュックにクマのぬいぐるみが入っている事を知っていた私たちは、少し気を抜いていたのかもしれなかった。
秋の日暮れはつるべ落としとはよく言ったものだ。さっきまで明るかった外はもう薄闇に包まれている。
boyと簡単なゲームをして遊んでやりながら隣でぼんやりと外を見つめていたシキを見る。
視線を感じたのか、振り返ったシキの瞳と目が合う。何? とでも問う様に細められた瞳が、ふと、時計へ向かう。
シキが研究室を見渡す。
「真希ちゃん?」
どうやら私たちは彼女の行動力を見くびっていた様だ。
クレープ車から持ち出した一台の携帯端末で、真希さんのクマに仕込んだ発信機のデータを拾う。
松戸さんにboyを託したシキが、真希さんの赤いコートを掴んで走り出した。
「カッターが一本無くなっていました」
シキに追いついて、声をかける。カッター1本で何ができると言うのか。
「……真希ちゃんでは、Kには敵わない」
夜の港には漁から帰った漁船が幾つか停泊していた。地面にぽつりと置かれた見覚えのあるリュック。
私たちの息はすでに上がっている。それでもリュックまで全力で駆ける。
中には、発信機を仕込んでおいたクマのぬいぐるみが。真希さんがKの手に渡ってしまった。
Kは要領も良い、きっとわざわざこのリュックを置いて行ったのだろう。
研究室に戻って、真希さんがKに攫われた事を松戸さんとboyに告げる。
……駿河さんにも合流してもらう必要がありそうです。
「松戸さんは、抗ウイルス薬の開発をお願いします。真希さんは私たちが探し出します。大丈夫です。考えがありますから」
シキは、boyの手を取ってしゃがみ込むと、お願いねと声をかけて、抱きしめていた。
駿河さんと合流すべく、研究室を後にしようとした私たちに松戸さんの声が掛かる。
「まだ、テストはしてないがな」
そう言って彼が白衣のポケットから取り出したのは抗ウイルス薬。
「出来ていたんですね……きっとこれから大量に必要になります」
「ああ、……出来るだけ増産して見るよ」
どうやら風向きが変わり始めた様です。
ワタリのためにも、これ以上Kが悪事に手を染めるのを防がねばなりません。
まだ、彼女は誰も殺していない。
だが、それはいつまでも保証されている事ではない。このままでは、彼女はたくさんの命を奪う。
真希さんも、いつまでも無事とは言えまい。低血糖症が発症を抑えてるとは言え、そろそろ時間的にも限界だろう。
「私ちょっとトイレ行ってくる」
そう言って、駆けて行った真希さん。
その身軽な様子と、いつも背負っているリュックにクマのぬいぐるみが入っている事を知っていた私たちは、少し気を抜いていたのかもしれなかった。
秋の日暮れはつるべ落としとはよく言ったものだ。さっきまで明るかった外はもう薄闇に包まれている。
boyと簡単なゲームをして遊んでやりながら隣でぼんやりと外を見つめていたシキを見る。
視線を感じたのか、振り返ったシキの瞳と目が合う。何? とでも問う様に細められた瞳が、ふと、時計へ向かう。
シキが研究室を見渡す。
「真希ちゃん?」
どうやら私たちは彼女の行動力を見くびっていた様だ。
クレープ車から持ち出した一台の携帯端末で、真希さんのクマに仕込んだ発信機のデータを拾う。
松戸さんにboyを託したシキが、真希さんの赤いコートを掴んで走り出した。
「カッターが一本無くなっていました」
シキに追いついて、声をかける。カッター1本で何ができると言うのか。
「……真希ちゃんでは、Kには敵わない」
夜の港には漁から帰った漁船が幾つか停泊していた。地面にぽつりと置かれた見覚えのあるリュック。
私たちの息はすでに上がっている。それでもリュックまで全力で駆ける。
中には、発信機を仕込んでおいたクマのぬいぐるみが。真希さんがKの手に渡ってしまった。
Kは要領も良い、きっとわざわざこのリュックを置いて行ったのだろう。
研究室に戻って、真希さんがKに攫われた事を松戸さんとboyに告げる。
……駿河さんにも合流してもらう必要がありそうです。
「松戸さんは、抗ウイルス薬の開発をお願いします。真希さんは私たちが探し出します。大丈夫です。考えがありますから」
シキは、boyの手を取ってしゃがみ込むと、お願いねと声をかけて、抱きしめていた。
駿河さんと合流すべく、研究室を後にしようとした私たちに松戸さんの声が掛かる。
「まだ、テストはしてないがな」
そう言って彼が白衣のポケットから取り出したのは抗ウイルス薬。
「出来ていたんですね……きっとこれから大量に必要になります」
「ああ、……出来るだけ増産して見るよ」
どうやら風向きが変わり始めた様です。
ワタリのためにも、これ以上Kが悪事に手を染めるのを防がねばなりません。
まだ、彼女は誰も殺していない。
だが、それはいつまでも保証されている事ではない。このままでは、彼女はたくさんの命を奪う。
真希さんも、いつまでも無事とは言えまい。低血糖症が発症を抑えてるとは言え、そろそろ時間的にも限界だろう。