桜
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ワタリの部屋を辞してすぐ、エルに右手を掴まれてそのまま部屋まで無言で引っ張られて来た。
「シキ、何故相談もなく……いえ、もう良いです」
そう言ったきり、押し黙って椅子の上で膝を抱えている。
どうやら完全に拗ねてしまった様だ。
二冊になった黒いノートをテーブルの上に置き、エルの座っている椅子の前に同じ様に膝を抱えて座る。
下から見上げる様にすれば、隠された顔も覗き込める。
「怒ってる? それとも拗ねてる?」
「どちらもです」
エルの黒目がちな瞳が静かに隠されゆく。
「ーーこの事件を終わらせる為の有効な手段である事は理解しています。シキの言う通り、私やワタリの方が先に消されてしまう可能性も否定しません」
膝を抱える手が白くなるほど力を込めて、それでも前を向いたエルはしっかりと私と目を合わせた。
「やっぱり、あの時ビヨンドに会いに行かせなければ良かったと、そう思ってしまうんです。もしも、なんて言う言葉は無意味だと分かっています、分かっていますが、もしもあの時ビヨンドに会わなければ、シキは、こんな方法取らなかった筈です。私たちが考えれば幾らでも別の手は打てた筈です」
それでもこれが現状、最良の一手であり、私としては23日間も延命出来ているつもりなのだけど、エルの気持ちは複雑なんだろうなぁ。
「まだ、23日もあるよ。ね、エル。気持ちを立て直して、先ずはキラを確実に捕まえる事、そしてもう一冊のDEATHNOTEを確保する事。後のことはそれから考えれば良いんだから」
エルの長い指をそっと膝から離し、両手で握り込む。
触れ合っている所からお互いの温度が混じり合う。
「シキ、休んで下さい。私も隣で休ませて貰います」
そう宣言したエルは椅子を降りると、私を抱え上げてベットに横たえる。そしてそのすぐ隣に潜り込むと、膝を抱えてくるりと丸まって眠ってしまった。
11月3日午前5時
「では、手筈通りに」
朝まで隣で睡眠をとっていたエルが捜査本部の方へと消えて行く。
6時にアイバー、ウェディ、南空ナオミに連絡を入れた私は、このビル付近のホテルの一室へ集まる様指示を出す。
既にワタリがホテルの方に待機しており、必要な機材などの細かなサポートをしてくれる事になっている。
主人不在のワタリの執務室で、捜査本部の映像を見ていると、夜神月が起きて来た様だ。
「おはようございます。竜崎今日はどうする?」
「今日は海砂さんがここを出て行く日なので、お見送りや荷物運びなどのお手伝いをしてあげて下さい。海砂さんの事です、誰かがチェックを入れないと忘れ物が段ボール一杯とか、ありそうなので」
エルの言葉に声を出して笑った夜神月が同意する。
「でも、そう言う事なら同性のシキさんのほうが海砂も良いんじゃないか? そう言えばシキさんは? 死神の姿も見えないし……」
「シキ、何故相談もなく……いえ、もう良いです」
そう言ったきり、押し黙って椅子の上で膝を抱えている。
どうやら完全に拗ねてしまった様だ。
二冊になった黒いノートをテーブルの上に置き、エルの座っている椅子の前に同じ様に膝を抱えて座る。
下から見上げる様にすれば、隠された顔も覗き込める。
「怒ってる? それとも拗ねてる?」
「どちらもです」
エルの黒目がちな瞳が静かに隠されゆく。
「ーーこの事件を終わらせる為の有効な手段である事は理解しています。シキの言う通り、私やワタリの方が先に消されてしまう可能性も否定しません」
膝を抱える手が白くなるほど力を込めて、それでも前を向いたエルはしっかりと私と目を合わせた。
「やっぱり、あの時ビヨンドに会いに行かせなければ良かったと、そう思ってしまうんです。もしも、なんて言う言葉は無意味だと分かっています、分かっていますが、もしもあの時ビヨンドに会わなければ、シキは、こんな方法取らなかった筈です。私たちが考えれば幾らでも別の手は打てた筈です」
それでもこれが現状、最良の一手であり、私としては23日間も延命出来ているつもりなのだけど、エルの気持ちは複雑なんだろうなぁ。
「まだ、23日もあるよ。ね、エル。気持ちを立て直して、先ずはキラを確実に捕まえる事、そしてもう一冊のDEATHNOTEを確保する事。後のことはそれから考えれば良いんだから」
エルの長い指をそっと膝から離し、両手で握り込む。
触れ合っている所からお互いの温度が混じり合う。
「シキ、休んで下さい。私も隣で休ませて貰います」
そう宣言したエルは椅子を降りると、私を抱え上げてベットに横たえる。そしてそのすぐ隣に潜り込むと、膝を抱えてくるりと丸まって眠ってしまった。
11月3日午前5時
「では、手筈通りに」
朝まで隣で睡眠をとっていたエルが捜査本部の方へと消えて行く。
6時にアイバー、ウェディ、南空ナオミに連絡を入れた私は、このビル付近のホテルの一室へ集まる様指示を出す。
既にワタリがホテルの方に待機しており、必要な機材などの細かなサポートをしてくれる事になっている。
主人不在のワタリの執務室で、捜査本部の映像を見ていると、夜神月が起きて来た様だ。
「おはようございます。竜崎今日はどうする?」
「今日は海砂さんがここを出て行く日なので、お見送りや荷物運びなどのお手伝いをしてあげて下さい。海砂さんの事です、誰かがチェックを入れないと忘れ物が段ボール一杯とか、ありそうなので」
エルの言葉に声を出して笑った夜神月が同意する。
「でも、そう言う事なら同性のシキさんのほうが海砂も良いんじゃないか? そう言えばシキさんは? 死神の姿も見えないし……」