小さなプロローグ
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sideL
「エル、シキさんと仲良くなられたのですね」
ワイミーさんがにこやかに問う。
「仲良く……仲良くなったのでしょか?」
昼食のパンに蜂蜜を塗りながら問い返す。
向かいではシキがトマトスープに手を付けて居た。
ここはシキの部屋だ、何故かワイミーさんもシキも、私の部屋で昼食を取ることに、首を横に振った。なので、隣のシキの部屋へわざわざ移動してのお昼となった。
ちなみに、私、そのトマトスープ飲む気になれません。
「エマ達とは違うかなぁ、Lは」
「ほぅ、どのように?」
シキのその言葉にわざとらしく問い返すワイミーさん。
「Lとは、同じ場所に居ても何も話さなくても大丈夫、気まずくならない。そんな感じだと思う」
ちょっと言葉は違うけれど、と前置きをしたシキは、理解し合える事が多いのだと思うと、静かに言った。
それを聞いたワイミーさんは、ほっほっほと、嬉しそうに笑い声をあけた。
私は一言も仲良くなったとは言ってないのですが、どうやらシキとは友人になった様です。
「ワイミーさん、シキさんはどんな人ですか?」
食後少し休むと言うシキさんを部屋に残して、自室に帰り着くなり、私は疑問を投げかけた。
「やはり、興味を持った様ですね」
どこか、してやったり、とでも言うワイミーさん。
「そうですね、彼女は本物のお嬢様ですよ。ローレンス家と言う貴族の本家の一人娘です。
家族を二年前に不慮の事故で亡くしてからは、使用人とは一緒ですが、一人で大きなお屋敷で暮らして居ます。
彼女の祖父と私が仲が良かったので、後見人となってはいますが、名ばかりですね……
シキさんは、あの歳で家の仕事も全てお一人でこなしていて、正直私の出番は有りませんから。
ーー年齢はエルと一緒ですね」
いえ、知りたいのはそう言う情報では無いのですが……
「由緒ある貴族の後継として、幼い頃より教育を受けていましたよ。家庭教師や、講師などを招いて様々な事を学んでいました。
頭の良い子です。
エル、あなたの様に本も沢山読んでいましたよ。ただ、身体があまり丈夫ではないので、気をつけてあげてください」
私とはあまりに違う生い立ちに、躊躇いが生まれた。
果たして、私はシキと仲良くなる事が出来るのだろうか?
「心配しなくても大丈夫です。シキさんは、その辺上手な方ですよ。人との距離の取り方、接し方。
それに、コレは私の感ですが……エル、貴方は彼女から、沢山のものを得られる人だと思います」
今まで他人に興味を持たなかった私が、人に興味を持った事が嬉しいと、笑うワイミーさん。
それからと言うもの、私は暇ができるとシキさんを探し、彼女の後をついて回った。
シキさんは、嫌な顔一つせず、輪の中に私を迎えてくれた。
数日も経てば、カルガモ親子と言う、変なあだ名がついた。
そして、シキさんが家に帰る日、私は見送りが出来なかった。
顔を合わせれば、いかないで欲しいと、我儘を言ってしまいそうで。ドア一枚隔てたところから、聞こえた別れの挨拶に、何も返す事ができなかった。
「また冬に、来るね」
穏やかなその声だけが、何度も何度も頭の中で繰り返される。
ゆっくりと、ほんとうにゆっくりと季節が流れてゆく。カレンダーを見ると、ようやく秋が終わりそうだった。
「エル、シキさんと仲良くなられたのですね」
ワイミーさんがにこやかに問う。
「仲良く……仲良くなったのでしょか?」
昼食のパンに蜂蜜を塗りながら問い返す。
向かいではシキがトマトスープに手を付けて居た。
ここはシキの部屋だ、何故かワイミーさんもシキも、私の部屋で昼食を取ることに、首を横に振った。なので、隣のシキの部屋へわざわざ移動してのお昼となった。
ちなみに、私、そのトマトスープ飲む気になれません。
「エマ達とは違うかなぁ、Lは」
「ほぅ、どのように?」
シキのその言葉にわざとらしく問い返すワイミーさん。
「Lとは、同じ場所に居ても何も話さなくても大丈夫、気まずくならない。そんな感じだと思う」
ちょっと言葉は違うけれど、と前置きをしたシキは、理解し合える事が多いのだと思うと、静かに言った。
それを聞いたワイミーさんは、ほっほっほと、嬉しそうに笑い声をあけた。
私は一言も仲良くなったとは言ってないのですが、どうやらシキとは友人になった様です。
「ワイミーさん、シキさんはどんな人ですか?」
食後少し休むと言うシキさんを部屋に残して、自室に帰り着くなり、私は疑問を投げかけた。
「やはり、興味を持った様ですね」
どこか、してやったり、とでも言うワイミーさん。
「そうですね、彼女は本物のお嬢様ですよ。ローレンス家と言う貴族の本家の一人娘です。
家族を二年前に不慮の事故で亡くしてからは、使用人とは一緒ですが、一人で大きなお屋敷で暮らして居ます。
彼女の祖父と私が仲が良かったので、後見人となってはいますが、名ばかりですね……
シキさんは、あの歳で家の仕事も全てお一人でこなしていて、正直私の出番は有りませんから。
ーー年齢はエルと一緒ですね」
いえ、知りたいのはそう言う情報では無いのですが……
「由緒ある貴族の後継として、幼い頃より教育を受けていましたよ。家庭教師や、講師などを招いて様々な事を学んでいました。
頭の良い子です。
エル、あなたの様に本も沢山読んでいましたよ。ただ、身体があまり丈夫ではないので、気をつけてあげてください」
私とはあまりに違う生い立ちに、躊躇いが生まれた。
果たして、私はシキと仲良くなる事が出来るのだろうか?
「心配しなくても大丈夫です。シキさんは、その辺上手な方ですよ。人との距離の取り方、接し方。
それに、コレは私の感ですが……エル、貴方は彼女から、沢山のものを得られる人だと思います」
今まで他人に興味を持たなかった私が、人に興味を持った事が嬉しいと、笑うワイミーさん。
それからと言うもの、私は暇ができるとシキさんを探し、彼女の後をついて回った。
シキさんは、嫌な顔一つせず、輪の中に私を迎えてくれた。
数日も経てば、カルガモ親子と言う、変なあだ名がついた。
そして、シキさんが家に帰る日、私は見送りが出来なかった。
顔を合わせれば、いかないで欲しいと、我儘を言ってしまいそうで。ドア一枚隔てたところから、聞こえた別れの挨拶に、何も返す事ができなかった。
「また冬に、来るね」
穏やかなその声だけが、何度も何度も頭の中で繰り返される。
ゆっくりと、ほんとうにゆっくりと季節が流れてゆく。カレンダーを見ると、ようやく秋が終わりそうだった。