節黒仙翁
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増えた監視カメラの映像を眺めて、ため息を吐く。
「気に入らない」
「シキも、ですか」
「うん、キラの策に乗せられている気がする」
モニターの向こうでは、弥海砂、夜神月、そして夜神さんが静かに眠っている。
「自覚がなくて、殺人なんか出来るのでしょうか?」
「無理だと思う。少なくともキラの殺人は無自覚では出来ないと思ってる」
「それは、同姓同名の人物が死なないからですか?」
「それだけじゃ無いけれど、そっちは漠然としたもので言葉で言い表すのは……
そうだね、納得出来る言い方だとそうなるかな。少なくとも殺す人間を認識していなければ、殺せない。報道だけでなく警察のデータベースからも犯罪者を探したりしているあたり無自覚と言うには無理があると思う」
「はい、そうだとすれば月君の今回の申し出、何か裏があるはずです。弥海砂を確保した日に申し出が有ったのならばまだしも、ここまでの時間差も気に入りません」
包み紙からチョコレートを取り出したエルが、ちょいちょいと指先だけで近寄るように指し示す。
エルの隣へと移動して、肩に寄りかかりながら目を閉じる。
「この監視、長引けば不利になるのはこっちかもしれないね」
夜神月を監禁して暫く、犯罪者の不審死がピタリと止んだ。
それは一見此方が優位に立ったように見せかけるためのまやかしだ。エルもそれに気がついている。
さらに言うならば、完全黙秘と言った程をとっていた弥海砂が、突然人が変わったように此方をストーカーなどと言い出していた。
「……これじゃあまるで」
「はい、キラだった記憶を失っている可能性が高いです」
となると、夜神月も記憶を失うのだろうが。
ここまで手探りな捜査は初めてだ。
「まるで、死神がキラに手を貸しているかのようですね」
「居ると思う? 死神」
「まだ見たことはないので、居るとは断定できませんが、居ないとも断定出来ません」
「リンゴしか食べない死神と、お互いの死神を見せ合う……」
「死神が取り憑いてキラの力を得たと考えれば筋が通ることもあります。まあ、死神などと言うとファンタジーの世界ですが」
そして、弥海砂よりも持ち堪えた日数は長かったものの、夜神月までもが人が変わったように、監禁の無意味を主張し始めた。キラに嵌められているのだと彼は言う。
そのキラは記憶を無くす前の自分自身だと言うのに……
長期間の監禁は、捜査員達の同情を買う。夜神親子などは特にそうだ。上司とその息子であり、以前から多少なりとも交流がある者もいるようだ。
捜査員達の不満がエルへと向けられる。
「では、あなた達は弥海砂を確保するに至った物証は何だったと思っているのです? それさえも第二のキラの偽証だと? また、夜神親子は自ら望んで監禁されたのですよ。夜神さんはともかく、息子の夜神月があれほど急に態度を変えるのはおかしくはありませんか?」
エルが何か言う前にこちらからたたみかける。
「だが、いくら何でもこのままでは倒れてしまう。アンタ達と違って彼らは一般人だ、長期の監禁生活など精神的ダメージを考えたら終わりにするべきだ。そもそも俺には竜崎が自分の推理に固執しているようにしか見えない、現にこうしてキラは動き出している、こんな無意味な監禁はやめて此方のキラを追うべきではないのか?」
正論ではあるけれど……
口々に主張するこ彼らを見ながら、新たに動き出したキラの事を考える。
何故一度犯罪者殺しは止まった? 何故彼らキラと第二のキラは人が変わったようにキラであった事を忘れてしまった?
エルの黒い瞳と視線がぶつかる。
しばし無言のまま見つめ合う。
「正直、この手は取りたくないんだけれど」
「はい、私も彼らはこのままにして、キラを追うべきかと……ただ、そうすると彼らは死んでしまいそうですね」
「では、やはり一芝居打ってもらいますか?」
「それしかないでしょうね……」
「気に入らない」
「シキも、ですか」
「うん、キラの策に乗せられている気がする」
モニターの向こうでは、弥海砂、夜神月、そして夜神さんが静かに眠っている。
「自覚がなくて、殺人なんか出来るのでしょうか?」
「無理だと思う。少なくともキラの殺人は無自覚では出来ないと思ってる」
「それは、同姓同名の人物が死なないからですか?」
「それだけじゃ無いけれど、そっちは漠然としたもので言葉で言い表すのは……
そうだね、納得出来る言い方だとそうなるかな。少なくとも殺す人間を認識していなければ、殺せない。報道だけでなく警察のデータベースからも犯罪者を探したりしているあたり無自覚と言うには無理があると思う」
「はい、そうだとすれば月君の今回の申し出、何か裏があるはずです。弥海砂を確保した日に申し出が有ったのならばまだしも、ここまでの時間差も気に入りません」
包み紙からチョコレートを取り出したエルが、ちょいちょいと指先だけで近寄るように指し示す。
エルの隣へと移動して、肩に寄りかかりながら目を閉じる。
「この監視、長引けば不利になるのはこっちかもしれないね」
夜神月を監禁して暫く、犯罪者の不審死がピタリと止んだ。
それは一見此方が優位に立ったように見せかけるためのまやかしだ。エルもそれに気がついている。
さらに言うならば、完全黙秘と言った程をとっていた弥海砂が、突然人が変わったように此方をストーカーなどと言い出していた。
「……これじゃあまるで」
「はい、キラだった記憶を失っている可能性が高いです」
となると、夜神月も記憶を失うのだろうが。
ここまで手探りな捜査は初めてだ。
「まるで、死神がキラに手を貸しているかのようですね」
「居ると思う? 死神」
「まだ見たことはないので、居るとは断定できませんが、居ないとも断定出来ません」
「リンゴしか食べない死神と、お互いの死神を見せ合う……」
「死神が取り憑いてキラの力を得たと考えれば筋が通ることもあります。まあ、死神などと言うとファンタジーの世界ですが」
そして、弥海砂よりも持ち堪えた日数は長かったものの、夜神月までもが人が変わったように、監禁の無意味を主張し始めた。キラに嵌められているのだと彼は言う。
そのキラは記憶を無くす前の自分自身だと言うのに……
長期間の監禁は、捜査員達の同情を買う。夜神親子などは特にそうだ。上司とその息子であり、以前から多少なりとも交流がある者もいるようだ。
捜査員達の不満がエルへと向けられる。
「では、あなた達は弥海砂を確保するに至った物証は何だったと思っているのです? それさえも第二のキラの偽証だと? また、夜神親子は自ら望んで監禁されたのですよ。夜神さんはともかく、息子の夜神月があれほど急に態度を変えるのはおかしくはありませんか?」
エルが何か言う前にこちらからたたみかける。
「だが、いくら何でもこのままでは倒れてしまう。アンタ達と違って彼らは一般人だ、長期の監禁生活など精神的ダメージを考えたら終わりにするべきだ。そもそも俺には竜崎が自分の推理に固執しているようにしか見えない、現にこうしてキラは動き出している、こんな無意味な監禁はやめて此方のキラを追うべきではないのか?」
正論ではあるけれど……
口々に主張するこ彼らを見ながら、新たに動き出したキラの事を考える。
何故一度犯罪者殺しは止まった? 何故彼らキラと第二のキラは人が変わったようにキラであった事を忘れてしまった?
エルの黒い瞳と視線がぶつかる。
しばし無言のまま見つめ合う。
「正直、この手は取りたくないんだけれど」
「はい、私も彼らはこのままにして、キラを追うべきかと……ただ、そうすると彼らは死んでしまいそうですね」
「では、やはり一芝居打ってもらいますか?」
「それしかないでしょうね……」