節黒仙翁
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「現状変わりなしか」
「ええ、ここで犯罪者殺しを躊躇うようならば、キラはもっと早く捕まえられてます、まあ内心荒れ狂ってはいるでしょうけれど」
その精神的な攻撃もどこまで効いているか……
「南空さんのお陰で第二のキラの特定は出来たよ。弥海砂、売り出し始めたモデル」
付箋を付けてあった雑誌をエルの前に置く。南空さんも細かい仕事まで良くしてくれる。
付箋の隣にはクリップで止められた弥海砂の隠し撮り写真まで付いている。
「……今の流行りなんでしょうかね。そう言えば、もうずいぶん昔の事になりますが、アイドルのコンサートに行ったことがありました。あの時のファッションも奇抜でした」
「え? 初めて聞くよ?」
いたずらが見つかった子供のように、ふいっと顔を逸らすエル。
「シキと離れていた頃の話です」
くるくると、キャスター付きの椅子を回しながら顔を見せようとしないエル。
「楽しめた?」
「前の人たちが立ち上がって鑑賞していたのでほとんど見えませんでした。歌もファンの歓声で全く聞こえなかったですし」
それ、行く意味あった?
「ワタリが心配して、手配してくれたんです。 あの頃からシキしか見えていなかったので。もう少し広い視野を持つようにと勧められたのですが、未だに私にとっては、美しいと思えるのも、欲しいと心から望むのもシキだけです」
ピタリと回転の止まった椅子の上からエルの視線が注がれる。
「準備ができ次第弥海砂を確保しましょう。その間大学で夜神月の気を引いておきます」
「弥海砂は、夜神月の周辺に何度も出没しているから危険だよ」
「対策はします。が、もしかしたら死んでしまうかもしれません。もしもの時は、よろしくお願いします」
左手でひょっとこのお面を掴んで、ぷらぷらと揺らすエル。
それが対策なのね……
長い指でお面をテーブルに置いたエルは、トンと軽やかな音を立てて椅子から飛び降りた。
「シキ、死ぬかもしれない私に餞を下さい」
そう言うなり重なる唇。
いつもより少し長い口付けを終えたエルは何処となく機嫌が良さそうだ。
「エル」
彼の名を呼んで、少し背伸びをしてもう一度唇を重ねる。
「餞ではなくて、お守りです」
無事でいられるためのお守りを、頬や額に降らせる。
「今初めてキラ事件の捜査をして良かったと、思っています」
まるで子供のような笑顔を浮かべてエルが言った。
2日後、弥海砂ーー無事確保。
エルは何事もなかったかのように帰ってきて、「お守りが効きました」と、穏やかな顔で宣った。
「ええ、ここで犯罪者殺しを躊躇うようならば、キラはもっと早く捕まえられてます、まあ内心荒れ狂ってはいるでしょうけれど」
その精神的な攻撃もどこまで効いているか……
「南空さんのお陰で第二のキラの特定は出来たよ。弥海砂、売り出し始めたモデル」
付箋を付けてあった雑誌をエルの前に置く。南空さんも細かい仕事まで良くしてくれる。
付箋の隣にはクリップで止められた弥海砂の隠し撮り写真まで付いている。
「……今の流行りなんでしょうかね。そう言えば、もうずいぶん昔の事になりますが、アイドルのコンサートに行ったことがありました。あの時のファッションも奇抜でした」
「え? 初めて聞くよ?」
いたずらが見つかった子供のように、ふいっと顔を逸らすエル。
「シキと離れていた頃の話です」
くるくると、キャスター付きの椅子を回しながら顔を見せようとしないエル。
「楽しめた?」
「前の人たちが立ち上がって鑑賞していたのでほとんど見えませんでした。歌もファンの歓声で全く聞こえなかったですし」
それ、行く意味あった?
「ワタリが心配して、手配してくれたんです。 あの頃からシキしか見えていなかったので。もう少し広い視野を持つようにと勧められたのですが、未だに私にとっては、美しいと思えるのも、欲しいと心から望むのもシキだけです」
ピタリと回転の止まった椅子の上からエルの視線が注がれる。
「準備ができ次第弥海砂を確保しましょう。その間大学で夜神月の気を引いておきます」
「弥海砂は、夜神月の周辺に何度も出没しているから危険だよ」
「対策はします。が、もしかしたら死んでしまうかもしれません。もしもの時は、よろしくお願いします」
左手でひょっとこのお面を掴んで、ぷらぷらと揺らすエル。
それが対策なのね……
長い指でお面をテーブルに置いたエルは、トンと軽やかな音を立てて椅子から飛び降りた。
「シキ、死ぬかもしれない私に餞を下さい」
そう言うなり重なる唇。
いつもより少し長い口付けを終えたエルは何処となく機嫌が良さそうだ。
「エル」
彼の名を呼んで、少し背伸びをしてもう一度唇を重ねる。
「餞ではなくて、お守りです」
無事でいられるためのお守りを、頬や額に降らせる。
「今初めてキラ事件の捜査をして良かったと、思っています」
まるで子供のような笑顔を浮かべてエルが言った。
2日後、弥海砂ーー無事確保。
エルは何事もなかったかのように帰ってきて、「お守りが効きました」と、穏やかな顔で宣った。