節黒仙翁
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「報告がされてないのは地元県警の怠慢ではないか?」
「竜崎でも、共犯を捕まえるのは無理なのか?」
スッとエルの瞳が細められる。
「無理ですね。私は今キラ事件で手一杯ですし、その事件には興味がありません」
「それは無いだろう、竜崎。人が亡くなっている事件じゃないか。だか、そうなると余罪がありそうな者とか、別件の事件の重要な鍵を握る犯罪者は報道しないようにしないといけないな」
考えるそぶりを見せながらそう言う夜神月。
「キラに殺されるからですか?」
「当たり前だろう、竜崎」
何を言っているんだと言う表情で、エルを見る夜神月。
「そもそも、キラがこの犯罪者を殺さなければ、別件の共犯者の供述は簡単に取れたはずです」
「……それはそうだな。結局の所キラが悪い」
ふぅ、とため息をついてコーヒーに手をつける夜神月は、役者になれるだろう。
内心のあらゆる感情に蓋をして、尚更早くキラを捕まえないとな、などと嘯いている。
「ところで。月君、この事実を公表したら、キラは殺すのを躊躇ってくれるでしょうかね?」
「え? いや分からないな。キラは犯罪者を憎んでいる節があるとは思っていたけれどーー自分のせいでその犯罪者が炙り出せなくなったとなれば、もう少し慎重に殺すようになるかもしれないが……」
「そうですか……」
「ただ、警察の対応も良くなかったとは思うな。
犯罪者がキラに裁かれているって言うのは既に世の中に浸透して来ている。そんな中犯罪者として報道されれば殺されると分かっているようなものだと思う。
必要な情報を引き出す前に安易に公表するようなのは良くないよ」
饒舌な夜神月に、彼の父が深く頷く。
「私の方から、注意しておこう。余罪や別件に関わりがありそうな者達の公表に関しては注意を払うようにする事を」
「そうだね、父さん」
私とエルの掛け合いも中々に白々しい物だったけれど、此方の会話はさらに白々しいと言うか、なんと言うか……
ただ、内心腑が煮え繰り返っているだろうなぁ、と思いながら静かに観察する。
「面白かったですね、今日の彼ら」
深夜、捜査員達が帰った本部にエルの笑いを含む声が響く。
「言葉は最もだけど、表面上というか、血が通っていないよね」
「ええ、非常に薄っぺらい御託でした」
「まあ、夜神さんは悪い人では無いんだけどね……局長まで上り詰めた人だしそれなりに苦労もしているだろうし」
ただ、報告が無いのが怠慢だとか、キラを折り込んで動けなどと簡単に彼らは言うが、そんなに簡単なものではないのだ。
「キラを織り込んで動けばそれは警察の負けを認めるようなものです」
そう、そしてLの負けでもある。
それはキラを容認すると言うようなものなのだ。
犯罪者の報道をどのように行うかは、Lが捜査を始めた頃に議論した。
報道しない事も含め検討したのだ。
彼らはそれを知らない。私たちがどれだけの覚悟で犠牲者を出し続けているのかも、彼らは知らない。
キラが殺した犯罪者は、私たちが背負うべき死でもあるのだ。
人の命を踏み台にして、私たちは今戦っている。
だからこそ、救える命があると信じて。
「竜崎でも、共犯を捕まえるのは無理なのか?」
スッとエルの瞳が細められる。
「無理ですね。私は今キラ事件で手一杯ですし、その事件には興味がありません」
「それは無いだろう、竜崎。人が亡くなっている事件じゃないか。だか、そうなると余罪がありそうな者とか、別件の事件の重要な鍵を握る犯罪者は報道しないようにしないといけないな」
考えるそぶりを見せながらそう言う夜神月。
「キラに殺されるからですか?」
「当たり前だろう、竜崎」
何を言っているんだと言う表情で、エルを見る夜神月。
「そもそも、キラがこの犯罪者を殺さなければ、別件の共犯者の供述は簡単に取れたはずです」
「……それはそうだな。結局の所キラが悪い」
ふぅ、とため息をついてコーヒーに手をつける夜神月は、役者になれるだろう。
内心のあらゆる感情に蓋をして、尚更早くキラを捕まえないとな、などと嘯いている。
「ところで。月君、この事実を公表したら、キラは殺すのを躊躇ってくれるでしょうかね?」
「え? いや分からないな。キラは犯罪者を憎んでいる節があるとは思っていたけれどーー自分のせいでその犯罪者が炙り出せなくなったとなれば、もう少し慎重に殺すようになるかもしれないが……」
「そうですか……」
「ただ、警察の対応も良くなかったとは思うな。
犯罪者がキラに裁かれているって言うのは既に世の中に浸透して来ている。そんな中犯罪者として報道されれば殺されると分かっているようなものだと思う。
必要な情報を引き出す前に安易に公表するようなのは良くないよ」
饒舌な夜神月に、彼の父が深く頷く。
「私の方から、注意しておこう。余罪や別件に関わりがありそうな者達の公表に関しては注意を払うようにする事を」
「そうだね、父さん」
私とエルの掛け合いも中々に白々しい物だったけれど、此方の会話はさらに白々しいと言うか、なんと言うか……
ただ、内心腑が煮え繰り返っているだろうなぁ、と思いながら静かに観察する。
「面白かったですね、今日の彼ら」
深夜、捜査員達が帰った本部にエルの笑いを含む声が響く。
「言葉は最もだけど、表面上というか、血が通っていないよね」
「ええ、非常に薄っぺらい御託でした」
「まあ、夜神さんは悪い人では無いんだけどね……局長まで上り詰めた人だしそれなりに苦労もしているだろうし」
ただ、報告が無いのが怠慢だとか、キラを折り込んで動けなどと簡単に彼らは言うが、そんなに簡単なものではないのだ。
「キラを織り込んで動けばそれは警察の負けを認めるようなものです」
そう、そしてLの負けでもある。
それはキラを容認すると言うようなものなのだ。
犯罪者の報道をどのように行うかは、Lが捜査を始めた頃に議論した。
報道しない事も含め検討したのだ。
彼らはそれを知らない。私たちがどれだけの覚悟で犠牲者を出し続けているのかも、彼らは知らない。
キラが殺した犯罪者は、私たちが背負うべき死でもあるのだ。
人の命を踏み台にして、私たちは今戦っている。
だからこそ、救える命があると信じて。