節黒仙翁
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東応大学の入学式の前日、捜査員には休暇をだして、捜査本部には、エルとワタリと私の三人だけだ。
久しぶりに肩の力がぬける。エルも普段、注意深く彼方此方を観察する目を休めて、椅子の上で微睡んでいる。
4月に入ってだいぶ暖かくなってきた。今いるホテルの窓から、桜の花が満開になっている様がみえる。
「散歩にでも行きませんか」
「起きた?」
「寝てません、休んでただけです」
椅子から飛び降りたエルが、ペタペタとこちらへ歩いて来る。
「昔、一緒に桜の花を見る約束をしました」
差し出される手に手を重ねる。デートです。なんて言うエルに微笑んで、ワタリにも声をかける。
「若い方達のお邪魔は出来ません」
ウインクするワタリに送り出されて、エルと二人で外に出た。
「今度は、家族で見ましょう。ハウスと家の間にある丘を買い取って、桜の木でも植えましょうか。そうすればハウスの子供達も見れますね」
今日のエルは饒舌だ。
暖かい風が通りぬける。新聞や雑誌、テレビの報道でキラの名前を聞かない日は無いと言っても過言では無い中でも、人々は今まで通り生きていく。
善良に生きている人間にとっては、キラは脅威では無いからだろうか?
殺された犯罪者の中にはもう少しで刑期を終え、社会復帰する予定の者もいた。犯した罪を償いながら生きることを心に決めていたと言う。
キラにはそれが見えていない。悪は、あくまでも悪の一括り。白か黒か、そのどちらかしか持たないキラ。
「シキ、今日は何も考えず過ごしましょう。私たちにも、たまにはそんな1日が必要です」
思考に沈んでいた顔を、エルの両手が挟んでいる。猫背の背中をさらにかがめて、顔を覗き込んでくるエルと視線が合った。
ふわりと優しい口付けが降りてくる。
「お花見と言ったら、三色団子ですね」
「桜餅じゃ無いの?」
「嫌なんです。アレが」
本当に嫌そうな顔をしたエルが桜餅の書かれた旗を指さす。指先を辿って、小さく笑う。
「桜の葉の塩漬け?」
「はい。なんであんな物を巻くのでしょう。無くても、いえ、無い方が完璧です」
エルの言い方に、また笑ってしまう。つられたようにエルも口角を引き上げて笑う。
東応大学の入学式を終えて、夜神月と交流を持ち始めた頃、それは起こった。
久しぶりに肩の力がぬける。エルも普段、注意深く彼方此方を観察する目を休めて、椅子の上で微睡んでいる。
4月に入ってだいぶ暖かくなってきた。今いるホテルの窓から、桜の花が満開になっている様がみえる。
「散歩にでも行きませんか」
「起きた?」
「寝てません、休んでただけです」
椅子から飛び降りたエルが、ペタペタとこちらへ歩いて来る。
「昔、一緒に桜の花を見る約束をしました」
差し出される手に手を重ねる。デートです。なんて言うエルに微笑んで、ワタリにも声をかける。
「若い方達のお邪魔は出来ません」
ウインクするワタリに送り出されて、エルと二人で外に出た。
「今度は、家族で見ましょう。ハウスと家の間にある丘を買い取って、桜の木でも植えましょうか。そうすればハウスの子供達も見れますね」
今日のエルは饒舌だ。
暖かい風が通りぬける。新聞や雑誌、テレビの報道でキラの名前を聞かない日は無いと言っても過言では無い中でも、人々は今まで通り生きていく。
善良に生きている人間にとっては、キラは脅威では無いからだろうか?
殺された犯罪者の中にはもう少しで刑期を終え、社会復帰する予定の者もいた。犯した罪を償いながら生きることを心に決めていたと言う。
キラにはそれが見えていない。悪は、あくまでも悪の一括り。白か黒か、そのどちらかしか持たないキラ。
「シキ、今日は何も考えず過ごしましょう。私たちにも、たまにはそんな1日が必要です」
思考に沈んでいた顔を、エルの両手が挟んでいる。猫背の背中をさらにかがめて、顔を覗き込んでくるエルと視線が合った。
ふわりと優しい口付けが降りてくる。
「お花見と言ったら、三色団子ですね」
「桜餅じゃ無いの?」
「嫌なんです。アレが」
本当に嫌そうな顔をしたエルが桜餅の書かれた旗を指さす。指先を辿って、小さく笑う。
「桜の葉の塩漬け?」
「はい。なんであんな物を巻くのでしょう。無くても、いえ、無い方が完璧です」
エルの言い方に、また笑ってしまう。つられたようにエルも口角を引き上げて笑う。
東応大学の入学式を終えて、夜神月と交流を持ち始めた頃、それは起こった。