小さなプロローグ
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次の朝、着替えに部屋に戻るも隣の部屋は至って静かなまま。人がいるのか居ないのかさえ分からない。
朝食の時間も彼を見かける事は無かった。食後に部屋に戻り、窓を開ける。天気のいい一日だ。ワイミーさんから借りた新聞三部にざっとと目を通す。近頃世間を騒がせて居る通り魔は、昨夜も仕事をしたようで、全ての新聞の一面記事が通り魔の事を報じていた。
うちの使用人達は平気かしら、通り魔好みの美女揃いだ。楽しい夏休みを送ってくれていれば良いのだけど。
「さて、Lの所に新聞を持っていかないと」
ワイミーさんから頼まれたのだ。Lも毎朝新聞をチェックして居るらしい。順番を先に譲ってもらえたのは、Lの所に持っていった新聞はまともな形で返って来ないから? だそうだ。どんな読み方をして居るのだろう?
隣の部屋のドアをノックする。
しばらくしてから、内側からゆっくりとドアが開く。Lは眠って居ないのか、目の下に薄らと隈を作っていた。
「おはようございますL。ワイミーさんから新聞を預かっています」
「ありがとうございます」
新聞を受け取ったまま、立ち尽くすL。
「……甘いもの、です」
突拍子もないLの言葉に思考を巡らせる。
「それは、昨日言いかけていた欲しい物の事?」
甘いものならば、昨日も部屋にあったのに、まだ必要なのだろうか。
「頭を使うと、甘いものが食べたくなります」
「なら、昨日部屋を間違えたお詫びに持ってきたコレは丁度いいかな」
色とりどりの金平糖の詰まった小瓶を差し出す。一度受け取ったLは物を摘む様な独特な持ち方で小瓶を目の高さに掲げて眺めて居る。
「金平糖だよ。日本という国の京都と言う場所のお店のもの」
早速小瓶を開けて手のひらにコロコロと金平糖を転がすLは、一粒を口に入れると目を瞬いた。
「甘くて、味があります。美味しいです。日本と言う国……の事を、シキ、もっと教えてください」
それから私たちは長いこといろいろな事を話した。
私も、日本と言う国のことはそれほど知っているわけでは無かったが、父方の祖母がその国の出身だった事、祖父が当時の日本で見た古い街並みや、草花の庭を気に入り、イギリスの自宅に日本から輸入した桜の木を植えた事。毎年春に花をつけるその木がお気に入りである事。
京都の金平糖のお店は祖母が生まれた家である事。
Lは、時折質問を挟みながら興味深そうに私の話を聞いていた。
お昼になっても一向に現れない私たちを心配したワイミーさんが探しに来るまでそれは続いた。
朝食の時間も彼を見かける事は無かった。食後に部屋に戻り、窓を開ける。天気のいい一日だ。ワイミーさんから借りた新聞三部にざっとと目を通す。近頃世間を騒がせて居る通り魔は、昨夜も仕事をしたようで、全ての新聞の一面記事が通り魔の事を報じていた。
うちの使用人達は平気かしら、通り魔好みの美女揃いだ。楽しい夏休みを送ってくれていれば良いのだけど。
「さて、Lの所に新聞を持っていかないと」
ワイミーさんから頼まれたのだ。Lも毎朝新聞をチェックして居るらしい。順番を先に譲ってもらえたのは、Lの所に持っていった新聞はまともな形で返って来ないから? だそうだ。どんな読み方をして居るのだろう?
隣の部屋のドアをノックする。
しばらくしてから、内側からゆっくりとドアが開く。Lは眠って居ないのか、目の下に薄らと隈を作っていた。
「おはようございますL。ワイミーさんから新聞を預かっています」
「ありがとうございます」
新聞を受け取ったまま、立ち尽くすL。
「……甘いもの、です」
突拍子もないLの言葉に思考を巡らせる。
「それは、昨日言いかけていた欲しい物の事?」
甘いものならば、昨日も部屋にあったのに、まだ必要なのだろうか。
「頭を使うと、甘いものが食べたくなります」
「なら、昨日部屋を間違えたお詫びに持ってきたコレは丁度いいかな」
色とりどりの金平糖の詰まった小瓶を差し出す。一度受け取ったLは物を摘む様な独特な持ち方で小瓶を目の高さに掲げて眺めて居る。
「金平糖だよ。日本という国の京都と言う場所のお店のもの」
早速小瓶を開けて手のひらにコロコロと金平糖を転がすLは、一粒を口に入れると目を瞬いた。
「甘くて、味があります。美味しいです。日本と言う国……の事を、シキ、もっと教えてください」
それから私たちは長いこといろいろな事を話した。
私も、日本と言う国のことはそれほど知っているわけでは無かったが、父方の祖母がその国の出身だった事、祖父が当時の日本で見た古い街並みや、草花の庭を気に入り、イギリスの自宅に日本から輸入した桜の木を植えた事。毎年春に花をつけるその木がお気に入りである事。
京都の金平糖のお店は祖母が生まれた家である事。
Lは、時折質問を挟みながら興味深そうに私の話を聞いていた。
お昼になっても一向に現れない私たちを心配したワイミーさんが探しに来るまでそれは続いた。