イベリス
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結論から言うと、エルの願いは叶えられた。
あれほどの思いを向けてもらって否やは無い。
付き合いもそれなりに長い、よく見知った相手。そして、恋かと訊かれれば是とは答えられないけれど、確かに私の中にもエルに対する情はあった。
それでも最初は、躊躇ったのだ。何となく……余りに急な気がして。
そんな私にトドメを刺したのはエルでは無く、ワイミーさんだった。
10時半、頃合いを見計らっていたかの様に鳴り響いた電話は、ワタリこと、ワイミーさんからで。今日は、ワイミーズハウスの事務処理のため、ワイミーズハウスに泊まるから、エルの事を泊めて欲しい事。先程ロジャーに頼んで、エルの着替えなど一式をここに届けるよう手配してある事を告げられる。
そこまで言われてしまえば、エルを泊めることは、ほぼ決定事項と言っても良い。
「お二人の邪魔にならないように、荷物は玄関先に置いて来るよう頼んでありますので、ご確認をお願いします」
ニコニコと笑っているのが分かるような、楽しそうな口調でそう告げると、good nightと言って電話を切るワイミーさん。
電話口から漏れ聞こえていたのだろう、エルが玄関先を確認して、趣味の良い鞄を一つぶら下げて戻って来た。
中身はお馴染みのエルの服。
「あぁ、流石ワタリ」
鞄の中をガサガサと漁っていたエルは、一言溢すと小さな紙袋を摘み上げた。そこにはワタリの字で『配慮をお忘れなきよう』と走り書きされていた。
彼が紙袋に直接走り書きなど珍しいと思い、見ていた私は中から出て来たものに目を丸くした。
「エル、もしかして仕込んだ?」
「いいえ全く。そもそも今日ワタリがワイミーズハウスに行くのは知っていましたが、事務作業に一晩費やすとは聞いていませんでした。誓って言いますが本当のことです。コレはワタリからの、純然たる好意です」
掌の上の物を摘み上げ、数を確認したエル。
「5回は出来ます。さあ、シキさん。覚悟を決めて下さい」
飄々と言うエル。
「そういえば、日本の諺にこんなものがありましたね。『据え膳食わぬは男の恥』と、。さあ、シキさん私に恥をかかせないでください。」
エル、その諺。使う状況違いますよ。
違いませんよ、ワタリが据えてくれたお膳です。
まるで、子供のように言い合いながら、どちらからとも無く、口付けを交わした。
後にこの事を思い出し、エルと2人ワタリに問うたことがある。
ニッコリと笑った彼は
「アレは私の渾身のジョークでございます」
そう宣った。
あれほどの思いを向けてもらって否やは無い。
付き合いもそれなりに長い、よく見知った相手。そして、恋かと訊かれれば是とは答えられないけれど、確かに私の中にもエルに対する情はあった。
それでも最初は、躊躇ったのだ。何となく……余りに急な気がして。
そんな私にトドメを刺したのはエルでは無く、ワイミーさんだった。
10時半、頃合いを見計らっていたかの様に鳴り響いた電話は、ワタリこと、ワイミーさんからで。今日は、ワイミーズハウスの事務処理のため、ワイミーズハウスに泊まるから、エルの事を泊めて欲しい事。先程ロジャーに頼んで、エルの着替えなど一式をここに届けるよう手配してある事を告げられる。
そこまで言われてしまえば、エルを泊めることは、ほぼ決定事項と言っても良い。
「お二人の邪魔にならないように、荷物は玄関先に置いて来るよう頼んでありますので、ご確認をお願いします」
ニコニコと笑っているのが分かるような、楽しそうな口調でそう告げると、good nightと言って電話を切るワイミーさん。
電話口から漏れ聞こえていたのだろう、エルが玄関先を確認して、趣味の良い鞄を一つぶら下げて戻って来た。
中身はお馴染みのエルの服。
「あぁ、流石ワタリ」
鞄の中をガサガサと漁っていたエルは、一言溢すと小さな紙袋を摘み上げた。そこにはワタリの字で『配慮をお忘れなきよう』と走り書きされていた。
彼が紙袋に直接走り書きなど珍しいと思い、見ていた私は中から出て来たものに目を丸くした。
「エル、もしかして仕込んだ?」
「いいえ全く。そもそも今日ワタリがワイミーズハウスに行くのは知っていましたが、事務作業に一晩費やすとは聞いていませんでした。誓って言いますが本当のことです。コレはワタリからの、純然たる好意です」
掌の上の物を摘み上げ、数を確認したエル。
「5回は出来ます。さあ、シキさん。覚悟を決めて下さい」
飄々と言うエル。
「そういえば、日本の諺にこんなものがありましたね。『据え膳食わぬは男の恥』と、。さあ、シキさん私に恥をかかせないでください。」
エル、その諺。使う状況違いますよ。
違いませんよ、ワタリが据えてくれたお膳です。
まるで、子供のように言い合いながら、どちらからとも無く、口付けを交わした。
後にこの事を思い出し、エルと2人ワタリに問うたことがある。
ニッコリと笑った彼は
「アレは私の渾身のジョークでございます」
そう宣った。