黄色いヒヤシンス
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さて、エルに誕生日プレゼントを贈ると決めて、困った事がある。
彼に渡す予定のデータは問題ない。何処からも漏れない様にセキュリティを施して送ってしまえば良い。
問題は……チラリと、机の上を見る。懐かしい金平糖の小瓶が二つ並んでいる。
私も彼に何か送った方が良いのだろうか。ーーその、甘いものでも……
彼が今何処にいるかは分かっている。例えばケーキを贈るとして、滞在場所近くの菓子店などに依頼すれば、届けてもらう事も可能ではある。
だが、ワタリも、彼にケーキを用意するだろう。被らないだろうか?
そもそも、あの甘党の事だからケーキなど毎日食べているに違いない。
昨日食べたばかりのケーキが届いたとしたら、どう思うだろう。
「何も言わずに食べるか」
きっと彼なら何も考えずに平らげるだろう。それはよく知っているし、分かっていた事だ。ただ、そう考えると余計迷ってしまう。
かと言って、この金平糖の様に何処かからお取り寄せするにはもう時間が無かった。
さて、どうしたものか……
今から手作りするのも何だしなぁ…… 一人暮らしをする様になり、私の家事能力は格段に上がった。と、言っても普通レベルなんだろうけどね。
ローレンスの家にいた頃は、使用人やオリバーがしていてくれたから、あえてする事もなかったけれど、やってみると中々楽しい。
が、それとこれとはまた別問題。
延々と続く思考のループへ入りそうになった。
参ったなぁ、もっと早くから考えておくべきだった。失敗失敗。まあ、仕方ないから今回はこのデータとバースデーカードで勘弁してもらおう。
書斎に入って封筒とカードを選ぶ。ついつい便箋とかって、様々な種類を集めてしまう。まあ、選ぶの楽しいから良いんだけどね。
秋っぽい装飾のカードといかにも誕生日カードと言った柄のもの。そらから、金平糖柄のもの。さて、どれにしよう?
考え込んでいたから、来客を知らせるチャイムに気がつくのが遅れた。
慌てて玄関に駆けて行き、施錠を解除し始めて、ふと我にかえる。
今日は、ここに来る予定の人なんて誰も居ない。
しまった、油断していた。
ウィンチェスターの郊外はそれなりに治安が良いが、自分の素性を考えたら、用心してしすぎる事はない。
慌てて、鍵をかけ直そうとするも、時既に遅く、外側からドアが開けられる。
その急性さに恐怖を覚えつつ、後ずさる。
「こんにちはシキさん。というか、不用心ですよ。せめて誰か確認してから解除してください」
危機感がなさ過ぎます。なんて、開口一番こちらを叱る懐かしい声。
「久しぶり、エル」
彼に渡す予定のデータは問題ない。何処からも漏れない様にセキュリティを施して送ってしまえば良い。
問題は……チラリと、机の上を見る。懐かしい金平糖の小瓶が二つ並んでいる。
私も彼に何か送った方が良いのだろうか。ーーその、甘いものでも……
彼が今何処にいるかは分かっている。例えばケーキを贈るとして、滞在場所近くの菓子店などに依頼すれば、届けてもらう事も可能ではある。
だが、ワタリも、彼にケーキを用意するだろう。被らないだろうか?
そもそも、あの甘党の事だからケーキなど毎日食べているに違いない。
昨日食べたばかりのケーキが届いたとしたら、どう思うだろう。
「何も言わずに食べるか」
きっと彼なら何も考えずに平らげるだろう。それはよく知っているし、分かっていた事だ。ただ、そう考えると余計迷ってしまう。
かと言って、この金平糖の様に何処かからお取り寄せするにはもう時間が無かった。
さて、どうしたものか……
今から手作りするのも何だしなぁ…… 一人暮らしをする様になり、私の家事能力は格段に上がった。と、言っても普通レベルなんだろうけどね。
ローレンスの家にいた頃は、使用人やオリバーがしていてくれたから、あえてする事もなかったけれど、やってみると中々楽しい。
が、それとこれとはまた別問題。
延々と続く思考のループへ入りそうになった。
参ったなぁ、もっと早くから考えておくべきだった。失敗失敗。まあ、仕方ないから今回はこのデータとバースデーカードで勘弁してもらおう。
書斎に入って封筒とカードを選ぶ。ついつい便箋とかって、様々な種類を集めてしまう。まあ、選ぶの楽しいから良いんだけどね。
秋っぽい装飾のカードといかにも誕生日カードと言った柄のもの。そらから、金平糖柄のもの。さて、どれにしよう?
考え込んでいたから、来客を知らせるチャイムに気がつくのが遅れた。
慌てて玄関に駆けて行き、施錠を解除し始めて、ふと我にかえる。
今日は、ここに来る予定の人なんて誰も居ない。
しまった、油断していた。
ウィンチェスターの郊外はそれなりに治安が良いが、自分の素性を考えたら、用心してしすぎる事はない。
慌てて、鍵をかけ直そうとするも、時既に遅く、外側からドアが開けられる。
その急性さに恐怖を覚えつつ、後ずさる。
「こんにちはシキさん。というか、不用心ですよ。せめて誰か確認してから解除してください」
危機感がなさ過ぎます。なんて、開口一番こちらを叱る懐かしい声。
「久しぶり、エル」