黄色いヒヤシンス
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さて、この所コイル、ドヌーヴの名前も軌道に乗ってきて非常に忙しい。
探偵コイルには、影武者がいる。
執事のオリバーの息子、ケリーだ。彼が依頼の請負や調査料の回収などてくれている。
危ない仕事なので最初は、Lの時みたいに匿名で始めようかと思ったけど、Lも、コイルも、ドヌーヴも匿名探偵では少々引っ掛かるものがある。
そこで、元刑事であり腕も立つケリーに協力を依頼したのだ。
顔が見える事の利点なのか、探偵コイルの人気はまずまずだ。
まあ、Lの時の様に事件選んで無いし。ケリーへの危険手当もあるから、どちらかと言うと金額で動く探偵となってしまっている。
対するドヌーヴはやはり匿名探偵とでも言うのか、素性は秘密にしている。流石に両方に影武者もとい、代理人を置くのはリスクも高い。
さて、このビヨンドからもらったメモをどう使うか。
「自作自演は好きじゃ無いけど」
どの道、探さねばならなかった人物。有効活用しようかなぁ。
「オリバー、コイルに依頼をしたいのだけど、家に呼んでもらえるかしら?」
「アレをですか?」
息子の事をアレって。
「そう、そのケリー。
私の叔父。父の弟のジェームズを探して、当主の座を譲るつもりだから。
コイルに依頼をかけたいの」
私が生まれる前に失踪した叔父が生きているらしい情報は、親族からチラホラと聞こえていた。
先日ビヨンドから貰ったメモには、ある町の名前と、伯父の名前、そして見知らぬ男の名前が書かれていた。そして一言、『見かけた』と言う走り書き。
「これで、コイルが叔父さんを発見して、連れ戻す事ができれば。コイルの名はとりあえず、確たるものになるだろうから」
貴族の依頼を受け、成功させる。それはこの国では一定の名声を得られる行為だ。
とりあえず、コイルの名はこれでLの名と並ぶだろう。
「お嬢様は、その後どうされるのです?」
「この家を出る。オリバーには申し訳ないけれど、ローレンスの家よりも大事なものが出来たの」
ビヨンドの、死期を予知する感の様なものが確かならば、私に残された時間は後どのぐらいだろう。先日、ビヨンドとバースデー夫妻が訪ねて来た日から、その思いは雨雲のごとく広がってゆき、いつの間にか心を占める。
あの幼き日のパーティー会場の光景を今でもしっかりと思い出せる。
「忘れるのが苦手なのも考えものよね」
「? 何か仰りましたか? お嬢様」
「いえ、独り言よ。それよりケリーに連絡よろしくね」
ビヨンドの“お礼”のおかげで、叔父は案外早く見つかった。メモにあった町で、別の名(ビヨンドのメモにあったもう一つの名前だ)を使って生活していた。一人で子供を育てている様で、生活環境も余り良いとは言えない様だ。
会ってみると、父と同じような、とにかく人の良い気弱な男性だった。
彼はローレンスの家に戻る事を中々承知しなかったが、何とか説き伏せて家に戻ってもらえることになった。
「大丈夫です。オリバーも居ますし、私もすぐに出て行く訳じゃ無いんです」
とりあえず、次の拠点となる家が建たるまでは、この家で暮らします。
それに暫くは、社交会に叔父を連れて出席しなければ……
「探偵コイルが見つけてくれたんです」
そう、吹聴しながらーー
お陰で、コイルは人探し専門などと言う噂も立つ様になったけど……とりあえず、コイルの名は売れて、今ケリーはとても忙しい様だ(多すぎる依頼を断るために金額を釣り上げていたら、依頼金が凄いことになって青い顔をしている)。
叔父を探すのと並行して、私はウィンチェスターのとある土地に一軒の家を建て始めた。コイルと、ドヌーヴの稼ぎで建てた家は、それほど大きくは無いが、四季の花が咲き乱れる庭や、書斎の仕様など拘り抜いた家を建て始めた為、完成までに少々時間が掛かっている。
探偵コイルには、影武者がいる。
執事のオリバーの息子、ケリーだ。彼が依頼の請負や調査料の回収などてくれている。
危ない仕事なので最初は、Lの時みたいに匿名で始めようかと思ったけど、Lも、コイルも、ドヌーヴも匿名探偵では少々引っ掛かるものがある。
そこで、元刑事であり腕も立つケリーに協力を依頼したのだ。
顔が見える事の利点なのか、探偵コイルの人気はまずまずだ。
まあ、Lの時の様に事件選んで無いし。ケリーへの危険手当もあるから、どちらかと言うと金額で動く探偵となってしまっている。
対するドヌーヴはやはり匿名探偵とでも言うのか、素性は秘密にしている。流石に両方に影武者もとい、代理人を置くのはリスクも高い。
さて、このビヨンドからもらったメモをどう使うか。
「自作自演は好きじゃ無いけど」
どの道、探さねばならなかった人物。有効活用しようかなぁ。
「オリバー、コイルに依頼をしたいのだけど、家に呼んでもらえるかしら?」
「アレをですか?」
息子の事をアレって。
「そう、そのケリー。
私の叔父。父の弟のジェームズを探して、当主の座を譲るつもりだから。
コイルに依頼をかけたいの」
私が生まれる前に失踪した叔父が生きているらしい情報は、親族からチラホラと聞こえていた。
先日ビヨンドから貰ったメモには、ある町の名前と、伯父の名前、そして見知らぬ男の名前が書かれていた。そして一言、『見かけた』と言う走り書き。
「これで、コイルが叔父さんを発見して、連れ戻す事ができれば。コイルの名はとりあえず、確たるものになるだろうから」
貴族の依頼を受け、成功させる。それはこの国では一定の名声を得られる行為だ。
とりあえず、コイルの名はこれでLの名と並ぶだろう。
「お嬢様は、その後どうされるのです?」
「この家を出る。オリバーには申し訳ないけれど、ローレンスの家よりも大事なものが出来たの」
ビヨンドの、死期を予知する感の様なものが確かならば、私に残された時間は後どのぐらいだろう。先日、ビヨンドとバースデー夫妻が訪ねて来た日から、その思いは雨雲のごとく広がってゆき、いつの間にか心を占める。
あの幼き日のパーティー会場の光景を今でもしっかりと思い出せる。
「忘れるのが苦手なのも考えものよね」
「? 何か仰りましたか? お嬢様」
「いえ、独り言よ。それよりケリーに連絡よろしくね」
ビヨンドの“お礼”のおかげで、叔父は案外早く見つかった。メモにあった町で、別の名(ビヨンドのメモにあったもう一つの名前だ)を使って生活していた。一人で子供を育てている様で、生活環境も余り良いとは言えない様だ。
会ってみると、父と同じような、とにかく人の良い気弱な男性だった。
彼はローレンスの家に戻る事を中々承知しなかったが、何とか説き伏せて家に戻ってもらえることになった。
「大丈夫です。オリバーも居ますし、私もすぐに出て行く訳じゃ無いんです」
とりあえず、次の拠点となる家が建たるまでは、この家で暮らします。
それに暫くは、社交会に叔父を連れて出席しなければ……
「探偵コイルが見つけてくれたんです」
そう、吹聴しながらーー
お陰で、コイルは人探し専門などと言う噂も立つ様になったけど……とりあえず、コイルの名は売れて、今ケリーはとても忙しい様だ(多すぎる依頼を断るために金額を釣り上げていたら、依頼金が凄いことになって青い顔をしている)。
叔父を探すのと並行して、私はウィンチェスターのとある土地に一軒の家を建て始めた。コイルと、ドヌーヴの稼ぎで建てた家は、それほど大きくは無いが、四季の花が咲き乱れる庭や、書斎の仕様など拘り抜いた家を建て始めた為、完成までに少々時間が掛かっている。