𣜿葉
あなたのお名前
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
シキさんの親族の少年は、早くもハウスの中で頭角を現しているらしい。
もともと、それなりの名家の生まれで有る。必要最低限以上の教育は、積んでいるのだろう。
「あの、貴方は?」
見てはいけないものを見た様な視線。
シキさんと同じ黒い髪。ーー瞳の色は違いますね。
というか、
「似てませんね。B」
「まあ、仕方がないでしょう。シキさんとは随分遠縁のようですし」
取りなすようにワタリが言う。
残念です。がっかりです。想像以上に打ちのめされました。
こちらの態度に、更に顔を顰めたBがもう一度問う。
私とワタリとBを見て、ロジャーが困ったように腰を浮かせた。
「私はキルシュ・ワイミー。このハウスの創設者ですよ。それから、こちらは貴方が来る少し前までハウスで暮らしていたーー」
「竜崎です。シキさんの友人です」
「日本人には、見えないけど?」
「あちこち混ざってますので、何人と聞かれても困ります。
しかし、随分頑張っているようですね。テストの順位も常に上位だとか」
とりあえず、会話を……と思って、当たり障りのない話題を振ってみたが、途端に赤面するB。
「どうしました? 顔が赤いです。暑いですか? この部屋」
「だって、カッコ悪い所は見せられないだろ。シキに。竜崎も友達だって言うなら知ってるだろ、シキが凄いの。負けてられないじゃん」
む、呼び捨てとは気に入りません。
お茶請けに出されていたスコーンに、たっぷりのいちごジャムを付けて胃に収める。
む、甘みが足りません。
「年長者には、敬称をつけなさい」
「はいはい」
本当にこの少年は、あのシキさんの親戚何ですか? 物凄く疑わしいです。
私、数年前のシキさんを、そのまま少年にしたような子供だと思い込んでいました。
思い込みとは恐ろしいものです。
「ロジャー、私と竜崎は暫くハウスに滞在します。この際です、Bの他にも優秀なものが居れば会って行きましょう。いずれ、Lを継ぐかもしれない者達ですからね。宜しいですか竜崎?」
「私は、もう良いです。興味がないので……ロジャー電話です」
ロジャーの部屋の電話が鳴り響く。近くにある事務室の電話は、鳴っていないので、ロジャーに直接かけて来たのだろう。
ロジャーに直接繋がるこの部屋の電話番号を、知っている者は少ない。
ワタリがBに静かにするよう目配せしたのを確認して、ロジャーが電話にでる。
ロジャーの視線がチラリと、こちらを向いた。
すかさず私は、電話のスピーカー機能をオンにする。
『早速だけど、ビヨンドはどう? 問題起こしてないかしら?』
やっぱりシキさんでしたか。
頬が緩むのを止められない。聴きたくて仕方のない声が、他人の名を優しく呼ぶのは気に入らないが……
ロジャーが、Bは成績優秀で、特に問題も起こしていないとシキさんに告げている。
私は近くのメモ用紙に『生意気』と書いてロジャーに見せた。横目でそれを見たロジャーが、当たり障りのない会話を続けるのを見て、今度は『礼儀知らず』と書く。先ほどから声を上げようとしているBの口をしっかりと塞いで、もう一度、ロジャーの目の前に突き出す。
「その、特に問題と言うほどでもないんだが、もう少し年長者を敬う様にした方が良いかもしれない。そのぐらいだよ、報告できるのは」
電話の向こうで、楽しそうに笑うシキさんの声が聞こえて来た。
こうして、Bの観察を始めて気が付いた事がある。彼はシキさんに好意を寄せている。しかも並々ならぬ好意だ。
そして、驚いたことに私はそれが気に入らないらしい。シキさんと特に仲が良かったエマには、こんな感情は抱かなかった。
B、目障りです。
もともと、それなりの名家の生まれで有る。必要最低限以上の教育は、積んでいるのだろう。
「あの、貴方は?」
見てはいけないものを見た様な視線。
シキさんと同じ黒い髪。ーー瞳の色は違いますね。
というか、
「似てませんね。B」
「まあ、仕方がないでしょう。シキさんとは随分遠縁のようですし」
取りなすようにワタリが言う。
残念です。がっかりです。想像以上に打ちのめされました。
こちらの態度に、更に顔を顰めたBがもう一度問う。
私とワタリとBを見て、ロジャーが困ったように腰を浮かせた。
「私はキルシュ・ワイミー。このハウスの創設者ですよ。それから、こちらは貴方が来る少し前までハウスで暮らしていたーー」
「竜崎です。シキさんの友人です」
「日本人には、見えないけど?」
「あちこち混ざってますので、何人と聞かれても困ります。
しかし、随分頑張っているようですね。テストの順位も常に上位だとか」
とりあえず、会話を……と思って、当たり障りのない話題を振ってみたが、途端に赤面するB。
「どうしました? 顔が赤いです。暑いですか? この部屋」
「だって、カッコ悪い所は見せられないだろ。シキに。竜崎も友達だって言うなら知ってるだろ、シキが凄いの。負けてられないじゃん」
む、呼び捨てとは気に入りません。
お茶請けに出されていたスコーンに、たっぷりのいちごジャムを付けて胃に収める。
む、甘みが足りません。
「年長者には、敬称をつけなさい」
「はいはい」
本当にこの少年は、あのシキさんの親戚何ですか? 物凄く疑わしいです。
私、数年前のシキさんを、そのまま少年にしたような子供だと思い込んでいました。
思い込みとは恐ろしいものです。
「ロジャー、私と竜崎は暫くハウスに滞在します。この際です、Bの他にも優秀なものが居れば会って行きましょう。いずれ、Lを継ぐかもしれない者達ですからね。宜しいですか竜崎?」
「私は、もう良いです。興味がないので……ロジャー電話です」
ロジャーの部屋の電話が鳴り響く。近くにある事務室の電話は、鳴っていないので、ロジャーに直接かけて来たのだろう。
ロジャーに直接繋がるこの部屋の電話番号を、知っている者は少ない。
ワタリがBに静かにするよう目配せしたのを確認して、ロジャーが電話にでる。
ロジャーの視線がチラリと、こちらを向いた。
すかさず私は、電話のスピーカー機能をオンにする。
『早速だけど、ビヨンドはどう? 問題起こしてないかしら?』
やっぱりシキさんでしたか。
頬が緩むのを止められない。聴きたくて仕方のない声が、他人の名を優しく呼ぶのは気に入らないが……
ロジャーが、Bは成績優秀で、特に問題も起こしていないとシキさんに告げている。
私は近くのメモ用紙に『生意気』と書いてロジャーに見せた。横目でそれを見たロジャーが、当たり障りのない会話を続けるのを見て、今度は『礼儀知らず』と書く。先ほどから声を上げようとしているBの口をしっかりと塞いで、もう一度、ロジャーの目の前に突き出す。
「その、特に問題と言うほどでもないんだが、もう少し年長者を敬う様にした方が良いかもしれない。そのぐらいだよ、報告できるのは」
電話の向こうで、楽しそうに笑うシキさんの声が聞こえて来た。
こうして、Bの観察を始めて気が付いた事がある。彼はシキさんに好意を寄せている。しかも並々ならぬ好意だ。
そして、驚いたことに私はそれが気に入らないらしい。シキさんと特に仲が良かったエマには、こんな感情は抱かなかった。
B、目障りです。