side Ｌ

「エル、先程ロジャーからの定期連絡がありました。変わったことはなにもありませんでした。それと、どうやら、シキさんの親族の少年がハウスに入った様です。Bと呼ばれていて、成績表は大変優秀だとか」
「……コレが片付いたら、一旦ハウスに戻ります」
　ワタリに、帰国の準備を始める様、指示を出す。犯人は特定出来た。あとは、現行犯で逮捕するか、自白させるかだ。
　すぐにでも、動けるだろう。
「おや、もうシキさんが恋しいですか？」
「 確かに、シキさんに会いたいですが、今それをしてしまったら、元も子もないです。暫くは接触を避けるべきだ」
　意地の悪い質問ですよ、ワタリ。
「観察しに行くんです、その親族の少年とやらを。この所、依頼が落ち着いて来ましたから、じっくり観察出来そうです」
　どうやら、この時の私の顔は、相当悪い顔をしていたらしく、ワタリに嗜められてしまった。
　それにしても、最近本当に依頼が落ち着いてきましたね……
まあ、関わる事件を選り好みしているので仕方がないですが……
　おかげで動ける時間が増えました、帰国ついでにシキさんの住んでいるーー
「シキさんの顔がちらつくのは、どうしてでしょう」
　少なくとも一年は接触を控えようと、思っていたのに。
「ワタリ、そのBについて調べておいて下さい。あと、角砂糖のおかわりも下さい」
　いっそのこと、シキさんの住まいに、監視カメラと盗聴器をつけた方が良いかも知れない。執事の買収だけでは甘かっただろうか？
　シキさんの事が気になり出したら、止まらなくなりました。
「いや、流石に気がつくかシキさんなら」
「何がです？」
　角砂糖を運んできたワタリが私の私の独り言を掬い上げる。
　シキさんの家に、監視カメラと盗聴器を付けたら、気がつくかどうか……ワタリに疑問を投げかけてみる。
「ストーカーは犯罪ですよエル。
先程、FBIより犯人確保の連絡が来ました。1番早い便で、四時間後に此処をでる事が可能ですが」
「今度、自家用ジェットでも買いましょう。私は今猛烈に、イギリスの空気を吸いたいです」