おじちゃんが泣くから私もギャン泣きした。
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「____という昔話があってだね。だから私たちの親父は凄いんだぞ」
「嘘つけ。クソ阿婆擦れ女」
悪態を付きつつ、ふいっと、そっぽを向いた弟。
ニコリと微笑んだ私は、ソバカスが目立つ弟の頬っぺたを掴む。
そして_____思いっきり横に引っ張った。
「イッッッ!?!?!?なにすんだこのクソババア!!!」
「あぁん???誰がクソババアだ!!この可愛い弟め!!!」
「だから貶してないって言ってんだよ!!!このブラコンが!!」
ギャイギャイと騒ぐと、後ろからやってきたダダンという山賊女に「やかましい!!!姉弟喧嘩は他でやってきな!!」と怒鳴られた。
おかしい。何故私がこんなにも可愛がっているのに弟は全然懐かないんだ。
「何故だレイリー……」
そう呟いた言葉は空に消えていった。
何はともあれ、私は転生した。
なんと今世はおっかなびっくり、ロジャーの娘であった。
隣で鼻くそをほじろうとしてるコイツは双子の弟のエースである。
汚いから、やめろ。
赤子の頃から記憶がある私は夜泣きはしないせいで、母親であるルージュには心配をさせてしまったが、ロジャーの子供探しをしている海軍の目を欺くことは出来た。
ルージュはロジャーと子供の名前を決めていたらしい。「女の子ならアン。男の子ならエースを名付ける」と。
だから私の名前は……今はアンと言う。
そんなルージュは今は亡き母親である。
エースを産んだ直後に死んでしまった。だからといってエースを憎む訳でもない。それがルージュの寿命だったのだろう。
母親が死んでしまった日、私とエースはガープに抱えられて引き取られた。
これはガープの独り言だが、どうやらロジャーとガープは約束をしたらしい。
ロジャーらしい約束を。「産まれてくる子供に罪はない」ってさ。だからガープに私たち姉弟を託したんだって。
なあ、ロジャー。
それは私にも当てはまるのか?
そんな疑問はレイリーやロジャーが解決してくれる訳でもなく、吐息と共に消えていった。
ガープに連れてこられた場所は、森だった。
詳しく言えば、森の中に住んでいる山賊の家だった。
ダダンと言われた巨体の女が出てきては「アタシがこのクソガキ共を育てるってのかい!?!?」と悲鳴をあげられたものである。
分かる分かる。子供を育てるのって最初は戸惑うよな。でも育てると案外可愛いものだぜ?
ロジャーは……私が産まれる前に死んでいた。
そのことに気づいたのは、ダダンが私に隠れて捨てようとしていた新聞を拾ったからである。
新聞で見た時は驚いた。だってあのロジャーが、である。
何かの嘘かと思った。
だって、あいつが……あのクソ親父が海軍ごときに捕まるなんて有り得ない。ゴッドバレーの戦争以降、伝説の英雄と言われたガープにすら負けないロジャーがだぞ。
私が最初で最後に憧れた海賊王だったのに。
それが今や…………子供のエースに嫌われてる父親になって死ぬなんて、なぁ。
……親父の方が、馬鹿野郎じゃないか。
あの世でロジャーが笑った気がした。