おじちゃんが泣くから私もギャン泣きした。
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シャンクスは甘えん坊だった。
甘えん坊だったが、成長するにつれて少しずつ私に冷たくなっていった。
近づけば「女は来るな」「俺の事に口出しするな」などと口を酸っぱくして言われたものである。
レイリーに「どうしたら、また懐いてくれるかなあ……」と聞いてみたら「あれは反抗期ってやつだ。……つまり、お前よりガキって事だよ」と教えられた。
そっかあ……。
レイリーに「赤太郎の行動は愛情の裏返し」と聞いてからは、シャンクスに冷たくされながらも、私は愛情を注げることにした。例えそれが見返りが無くても。
私は……最初からシャンクスのことが大切だ。
だから見返りは求めていない。
ロジャーに呆れられながらも『シャンクス、ばか可愛ええ』と顔をニヤけさせて言ったものである。
そんなこんなでシャンクスもバギーも少しずつ少年になってきた頃だ。
______私は、やらかした。
降りた島には、最悪なことに天竜人が居た。どうやらお忍びで来てたらしく、ロジャー海賊団はもちろんその事を知らなかった。
私は……馬鹿なことに、自分が戦えるからってシャンクスとバギーと私だけの3人だけで単独行動を取ってしまっていた。
無論___先日、ゴッドバレーの戦争にて海賊王となったロジャーのその船員も有名になっていた訳で……。
分かりやすく言えば、ロジャー海賊団の船員という肩書きは天竜人に襲われた。
ロジャー海賊団は珍しいからって、弱っちい見習いだからこそ天竜人に狙われて襲われかけて。
必死こいてシャンクスとバギー抱えて走ったけど、天竜人の奴隷に巨人族が居てさ……正直、もうダメだったんだ。
肝心な時に覇王色の覇気は出てこないし、私が走ってコケた拍子にシャンクスを奪われるし。
何もかもダメかもしれない……って諦めかけたんだけどさ。
「……ッあ!!」
シャンクスの泣きそうな顔を見たら、私が動かない訳にはいかないじゃん?
だから全力で走ったよ。全力で巨人族と戦ったよ。
それでね、結論を言うとシャンクスは取り返した。でも私は、後ろから拳銃で心臓を撃ち抜かれちまってさ……。
私が、だえだえ鳴くクソどもに負けるなんてさ。
馬鹿みたいだよね。
でも、私は私の行動を馬鹿だとは思ってないよ。
だってシャンクスのこと守れたもん。
ボロボロの体にムチを打って、ちゃんとレイリーの所まで走って死に間際までには預けられたもん。もちろんバギーも。
走っていた時、「やめろバカ!!!そんな体で走るな……ッ!!」ってシャンクスとバギーに言われたけど、私は聞かなかったよ。
偉いでしょ?ロジャー。
銃声音に連れられてやってきたレイリーには「バカもの」って怒られた。「親より先に死ぬやつがあるか」ってね。私はビックリしたよ。あのレイリーが私の目の前で泣いたんだぜ?
ロジャーにも怒られたんだ。「親は子が生きてることが何よりの幸せなんだぞ」って。
だから、その言葉を聞いてから物凄い後悔が押し寄せてきてね。
瀕死状態なのに目の前がボヤけてさ。
もっと頭が良ければ、違う方法で助けられたのかな、って。
そしたらシャンクスも私もバギーも、ずっと笑っていられたのかなって。
ロジャーには拳骨貰って、それを見たレイリーがロジャーの代わりに甘やかしてくれたりして。
シャンクスは甘えん坊に戻って、バギーはそれを見てシャンクスのことを馬鹿にしたりして、2人して喧嘩したりして。
それを見て笑ってる私がさ……夢に見えた。
そんな夢みたいなことがずっと続いたのかな、って。
心残りがあるとすれば______、
「シャンクスの……結婚式、見たかった……なあ」
泣くなよ、親父。レイリーも泣くな。
それにシャンクス。
お前は、何をされても笑って生きるんだぞ。
太陽みたいにカッコイイ男なんだから。
でも友達や家族が馬鹿にされた時は怒ってね。
ゲホゲホと血を吐きながら言うと、シャンクスはポロポロと涙を零した。
心臓を打たれただけなのに、血を吐くとは思わなかった。
恐らく巨人族と戦った時に逆流したのだろう。
____君に、幸あれ。
その日は、赤毛の男の子が酷く泣いた日だった。