おじちゃんが泣くから私もギャン泣きした。
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少し、昔話をしようか。
戦闘経験が少ない自分でも分かる……あの人はとてもセンスのある人だって。あの人に着いていけば私も強くなれるって。
という訳でロジャーさんに、消しゴムみたいに床に頭を削るほど下げて見習いにしてもらった女の子_____それが私である。
最初は女ってことでダメだし食らってたけど、目の前でギャン泣きしたら、なんだかよく分からないけど目をカッ開いた船長に『“はおうしょく”を持ってるのか!?』とのことで、「ピェッ」って返事したらOKもらった。
チョロいぜ……!!!って顔が出てたらしい私はすぐに頭を引っぱたかれたが。
ロジャーとの冒険は、山あり谷ありで飽きることは無かった。
戦闘経験の浅い私はレイリーに稽古を付けてもらいつつ、数日ごとにロジャーがお試しで稽古の成果を見てくれる。
たまに他の海賊団と会っては、「戦ってこい」とロジャーに投げ出されたものだ。
肉食獣を前にした草食動物の私は、最初の頃なんて、海賊との戦いにピェェェェ!!!!と泣きながら戦ったものである。それでもボロボロになりながらも勝ったけれども。
怪我なんてものは、生きてるならば差程気にはならない。
無事に帰ってくると、ロジャーは私を抱き抱えて我が子のように喜んでくれた。レイリーもそれを見て笑っていた。
だけど顔に傷を作った時は「バカヤロウ!!!」と顔を般若にして怒られたものである。あれはチビりそうになった。怖かった。
たま〜に白ひげと会っては、遊び半分で戦ったりして宴を開いたりして、私もその中に混ざった。
お酒は苦手だと言うと「やーい子供子供ォ!!」とロジャーに馬鹿にされたものである。ムカつくので「クソ親父ィ!!」と言うと無言で拳骨が帰ってきた。あ、愛が重い……。
そんなこんなで数ヶ月を過ごし、私もロジャー海賊団に慣れてきた頃。
ロジャーは巷で噂の伝説の海賊を倒すことになった。
何がどうしてそうなったのか。
レイリーに聞けば、「大人の事情だ……」と事実を聞くことを窘められた。
ロジャーは、その相手は決して侮れないと言った。
なのでガープとか言う海軍の人とも一緒に戦うらしい。そのガープっていう人は、話しかけたら意外にも気さくな人だった。私が子供で女なせいかもしれない。だからこそ向けてくる笑みが温かかった。
ロジャー……勝つかなあ。
1人だけ船で待機の私はロジャーの帰りを待った。
だけどね……何日かしてからロジャーは帰ってきたんだ。
ゴッドバレーの戦争には参加させて貰えなかったけど、代わりにロジャーは宝箱を大事そうに抱えて帰ってきた。
宝箱の中身は……小さな赤毛の赤子だった。
赤子と言っても、1歳くらいに見えるちょっぴり成長してる子供。
赤子は洋服を着ていたが、体の中心に小さな膨らみを見つけた時は「こら、女はジロジロ見るな」とロジャーに窘められたものである。
そこで男の子なんだと悟った。
赤毛の男の子はシャンクスと名付けるらしい。
そのあとに「赤太郎」と呼び始めたロジャーにはビックリしたが。
クリクリとした目に、つきたて餅のような頬っぺた。
可愛らしい、むちむちの手足。でもちょっと痩せてる。
私は母性本能を擽られた。
はわわ……!!となってる私の照れ具合に気づいたのだろうロジャーが、ビシッと私を指さす。
「今日からコイツを育てる。お前は世話係その1だ」
そこからは私はシャンクスのお世話係になった。