消えたいのだが探偵たちが許してくれない
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ポアロの隅っこの席を借りて、私は広田さんと向かい合う。
お金が現実世界と同じで良かった。入る前にこのお金は使えるか、こっそり梓さんに確認したのである。
……と、そんなことより今は私を殺ってくれるかもしれない依頼人が先だ。
「あ、あの……詳しくは毛利さんにしか話したくなくて」と言う広田さんに「大丈夫ですよ。私はあくまで、“広田さんの”味方ですから」とニッコリと伝えてみせた。
まずは安心を取ってから。
そして私は嘘をつく。
「私……実は占いもやってまして。貴方、妹さんが居ますね?」
「な、なんで……!? い、いえ……居ません」
「嘘はあまり付かない方がいいですよ」
____そして、最悪のカードはBLACK。
ぴらりとポケットから見せてあげた黒いハンカチ。
そう言うと、ビクリ!と広田さんは肩を震わせて固まってしまった。
実を言うと、広田雅美とは偽名である。
それを知ってるのは原作知識がある私と、黒の組織のみ。
妹とは……後の哀ちゃんとなる宮野志保のことである。
なぜ私が広田さんに声を掛けたかは、死にたがり屋の私にとって黒の組織に少しだけ顔を突っ込むのが手が早いと思ったからだ。
なんせ黒の組織は痕跡を残さず人を殺す。
そこがいいと思った。
まあ……楽に死ねるかと言ったら分からないけれども。
因みにいくら死にたがり屋の私でも、なるべく安楽死希望である。
「貴方……何者ですか?」と、声を震わせて警戒してくる広田さんに私はわざと悲しそうな演技をしてみせた。
「私は貴方と同じ身ですよ」
そう言うと「え!?」と驚く広田さん。
ええ、そうなんです。大事な家族を守るために黒の組織と懸命に戦うお姉ちゃん。同じ立場なんですよ。
……なんてね。嘘に決まっている。だが私はニッコリと嘘の笑みを貼ってみせた。
最低な奴だと罵ればいい。
「広田さん。私に提案があるんですけど、どうですか?」
そうとも。私は話してみせた。
私が私のための私が消えれる計画を。