1章
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その夜、仕事帰りに友人から電話が来て、bar行こうぜbar!との誘いが。
いいねぇー最近コナンというか、もろ降谷さん居たからウイスキー飲みたーいってなってokと電話で伝える。
うへへへウイスキートリオ呑んでやるんだぁ。
___と、そんな時である。
電話が終わったあと、どこからか言い争う声が聞こえてきた。
そこで忘れもしない、夜には必ず安眠用として聞く声……つまり古谷ボイスが聞こえてきて「へ!?」と焦る。
もしかして……。と考えている内に足が勝手に動いていた。裏路地をこっそり覗き見る。
すると案の定帽子は被っているものの金髪が見えてびっくり。
さらに近くには、ゼロを除いた男と女が口喧嘩していた。
どうやらあの男はゼロをヒモ扱いした女の本命らしく、付き合っている内にすれ違いが起こって今みたいになることが多々あるので一旦距離を置いていたとのこと。
男は男で女を愛しているのに別の男……ゼロのことですね。男を家に連れていたのでムカ着火ファイアー。さらには悪口まで。
男が「なんでこんな外人と!!」と言い始め、女の方も『付き合うわけないでしょ!?こんな私の言うこと聞かない男に!!』的なことから悪口が。
おいおいおいおい。痴話喧嘩も身内ネタ程度にしときなさいよ。なんでそこでゼロが貶されなければならないんだコンチキショウ。
そこでゼロがふとこちらを向いて、目が合った。
ゼロは私がいるとは思ってなかったらしく、目を見開いた。
そして悲しいとでも言うような微笑みをしたので、気付けば自分も口を出していた。たぶん二次創作の読みすぎだったからあんな行動を取ったんだろう。
嗚呼……私は二次創作の夢主のように特段強いものを持っている訳じゃないのに。
気づいたら足が向かっていた。
「あの~、2人はラブラブなんですよね? このイケメンを侮辱するまで愛してるだの付き合ってないだの言ってるんですから一度話し合ってはどうですか? あとこの人は私が頂くんで。じゃ!」
そう言うと、いきなり私が現れたことに驚いたのか、はたまた私が言った言葉に驚いたのか、それとも私がゼロの腕に絡みついたのに驚いたのか。
「っ、はあ!? って、ちょ!!」と男と女が声を張り上げたが知らない知らない。
そのままゼロをぐいぐいと引っ張って、男と女から離れていく。私を追いかけてくるか?……と思ったが、そうでもないみたい。
ちらっと後ろを見てみたけど、私の言葉でお互いに想っていることを気づいたのだろう。
私を追っかけるよりも頬を染めながら「そうなのか!?」と嬉々として確認しあう二人を背に、イケメンことゼロの手を引っ張る。
引っ張ったあとでちょっと後悔した。
逆トリップとか金持ちの道楽だよ……。
ウチはさっきの女の人と同じマンションだとは言え、貯金が大量にある訳じゃない。
まあ1人増えても大丈夫なくらいは貯めておいてあるけど。これがいつまで続くかも分からない。せいぜい1週間程度か……?いや、もっと少ないかもしれない。
はぁ、と溜め息が出そうになる。
でも引っ張っておいてそれはナイから考えるのをやめた。
腕を引っ張っていたが、触るなとでもばかりに引っ込められる。
それにプッツンと私の何かが切れた。
伴って湧き上がってくるのは、ゼロへの怒り。
「大体、貴方も貴方ですよ。なんで何も言い返さないんですか」
「……貴方には関係のない事です」
まるで関わって欲しくないように言ってるみたい。
けど、それはさっきの男と女のことでしょ?
「そうじゃない」
そうじゃないよ、ゼロ。
「え?」
「なんで助けて、って何で言わないんですか?」
そこでゼロが驚いたように見開く。
「嫌なものは嫌だって言わないと分かりません。やりたい事をやりたい時にやらないと後悔しかありません。遠慮と我慢は違う。それに貴方を助けられるから助けたいって言ってるの。私、無根拠なことは言わないんで。……たぶん。安心していいですよ」
「……はは。負けだ」
ゼロは申し訳なさそうに眉を下げた。
私はゼロの手が震えていることに気付く。
もしかして寒かったかな?……と思ったけど、あの震え方は私は知っている。
子供の頃、よく私が学校のイジメで疎外感を感じてたときに、不甲斐ない自分にムカついてよく拳を力強く握ってた。
でもその時、私にもエレーナ先生みたいな人が居たのだ。
そのとき隣に立っていた先生がしてくれたことを思い出す。その先生は……手を繋いでくれたのだった。
だから私もゼロにしてあげたい。
男らしいゴツゴツとした手だ。それに指を絡ませるように手を入れ込んで、ぎゅっと、恋人繋ぎにしてあげる。
びっくりするくらいの馬鹿力で離れられそうになったが、「寒くないですか?」と言うとピタリと止まった。ちょっぴり痛かったことは黙っていよう。
震えが止まっていることに気付いて笑う。
あ、そういえば私を救ってくれた先生は女同士だったけど、いまのゼロと私は男女だった。
思い出して「すみません。誤解されますよね」と手を引っ込めようとする。
が、石のように相手の手が動かない。
おかしいな??? 外せないぞ??
あれれ〜〜???とコナンCVで言ってみる。
なんかもう諦めた。