1章
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それは小学生の頃だった。
行く宛もない子供を家に連れ帰って親に頼み込んだ記憶はある。
まさかね……?
その時も降谷さんがトリップしてたとか言わないよね???
それにもしそうだとしても、あの頃は何をしても“その子供”に嫌がられたしなぁ。
今更なに?って言われそうで怖い。
自分の昔を知っている人は誰であっても怖い。
だって私……昔からイジメられることあったし。
イジメられる子供には原因がある……なんて言う人が居るけれど、海外では逆にイジメている側がメンタルケアに連れていかれる。何故なら他者をイジメてしまう(傷つけてしまう)子には、何かしら心に抱えていることがあるからだという。
だがしかし悲しいことに日本にはそういう風潮は無い。みんな真面目すぎて、どちらにも責任があると思い込みがちだ。
ちなみに拾ってきたその子供には本当に何しても嫌がられた。
家でその子供に構おうとしたら『うわぁ』って至極嫌そうな顔されたもん。
しかも『友達なんて要らない』と言われたもんだ。
だけど私は……その子を見捨ててはおけなかった。
『あ!じゃあ私友達第一号!!!』
と言って私が手をハイハイ!と上げると、目の前の金髪君は心底嫌そうな顔をする。
『うるさい。お前は信用してないし、友達になりたくもない』
『ひっどい!! けど諦めないから! こんな綺麗な友達、絶対大人になったら友達になりたいランキング1位になってそうだもん!!』
『それって結局顔じゃないか』
『それもそうだけど一番は頭の良さとか正義感が強いから!!なんか警察官になって守ってくれそう!あとカッコいい!』
『意味が分からない』
私、諦め酷かったなあ。私も小学生の時色んなことあったから、重ねちゃったのかも。イジメとかイジメとかね。
だからあの言葉にも反応してた。
私が拾った金髪君と公園で一緒に遊びに行ったとき、先に遊んでた子供たちが親の所に戻ってはヒソヒソとこちら側を見ながら喋ってたのだ。
……分かりやすく私たちと距離を取ってね。
その避けてくる子供たちの視線は私の隣の金髪君だった。金髪君の瞳は分かってるとでも言うかのようにショックを普通に受け止めてる____まるで子供じゃない目をしていた。いや、子供なんだけど子供がしちゃいけない目をしていた。
『……何で嫌われるのかな』
『!』
ポツリと呟かれた言葉。
その言葉に私はムキになったっけ。
_____嫌われてない!! あれは零くんと遊びたいなぁ!って言ってるんだよ!
なぁーんて言うと、金髪君は『明らかに嫌そうな顔して首振られてるぞ。』と少しだけ笑ってくれたっけ。
『あ、あれは蚊が近くに居たんだよ』
『なにそれ』
『ねえ。零くんは嫌われる人間って何だと思う?』
『は?』
『____私は全員が嫌われる人間だと思う』
『何を言って、___』
『____嫌われない人間なんて居ないんだよ。人気芸能人だって日夜嫌われるし、それを取り上げるマスコミも嫌われているし、クラスで人気の奴も足の引っ張り合いで嫌われてる。現に私もいま零くんから嫌われてる』
金髪君は黙ったままだった。
『だから全員に好かれなくてもよくない? 無理に好きになって貰おうとか考えなくていいし、元からかける望みも範囲が狭いからその分意識を注げられる。そのうえ無駄な不安にも襲われない』
『なんなら私とだけ友達になってもいいよ! 私零くんならウェルカム!』
『……。お前と友達になるくらいなら皆と仲良くなる』
『えーっ!? そこは「ハル! 俺はお前と仲良くなりたい! 俺と友達になってくれ!」みたいな展開にならない!? せっかく親友が出来るかもしれないって嬉しくなったのに!!』
『しん、!? っ、仲良くしないって言ってる! それなのに笑うの意味わかんない!』
『零くん、こっちに来ちゃって不安だったけど自分で解決したじゃん。だからこの現象もすぐ解決する! 嫌われても、私からは嫌いにならないよ! だって友達になりたいもん!! あ、今日からゼロね』
『何を言って……! は!? 勝手にあだ名作るな!』
そういえばこの頃はまだゼロって呼ばれてなかったのか。
ん?てことは……、待ってくれ。ゼロとか零とか、もう過去に会った子は安室さん……。いや、降谷さんだって確定してるじゃないか。頭が痛くなってきた
とりあえず青春ドラマを見すぎた過去の自分に正座させたい。
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「……ハル」
深い溜息と共に呟いかれたその名前は、本人には届いてなかった。