1章
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あれから1週間。
近くに住んでいるとばかり思っていたが、意外にもレイヤーさんと会えなくてガッカリしていた頃___。
そういえば今日ゴミ出しでは??
で、急いでゴミを捨ててきた。
ちなみに最近、美容の方を意識して足腰を鍛えるようにしている。なので、エレベーターではなく階段。
____そんな時だった。自分の階についたとき、唐突に女性のキンキン声が聞こえてきた。
なんてことだ。
女の人がレイヤーさんに暴言吐いてた。
「アンタを泊めてやってんの私なのよ!?」と聞こえてくる。
泊めてやってる……?
レイヤーさんもしかしてヒモタイプ?
私が色んな大妄想をしている時だった。
そこで女の人が手を振りそうだったので、気づいたら自分が叩かれてた。
やっべぇ、頬っぺた痛い。
驚き顔の2人の間に挟まれながら「手を、あげたらいけないですよ。えっと、暴行罪?ってやつ」と言う。
そこで顔を怒りと羞恥で真っ赤にした女は「仕事あるから、勝手にヒモやってろ!!」と言ってエレベーターの所に駆け足で行った。とんでもない捨て台詞である。
叩かれた頬っぺを擦りながら、やっぱりヒモだったかぁ……と思っていると手を引かれ、肩をグイッと掴まれた。
おっとー?
安室さんのレイヤーなだけに力が強いんだね。
「大丈夫ですか! 頬が腫れてる!?」
……安室さんにしては必死な声だったけれども。
それにしても古谷ボイス。……そして怪力。
「肩……痛いです」
やばいです。レイヤーさんに掴まれたところがギシギシ言ってた。
レイヤーさんは、私の言葉にハッとしたのか、手をパッと離してくれた。
「えっ、あ、すみません」
古谷ボイスで「…………すみません。こちらの問題で女性に怪我をさせてしまいました」と付け加えて。
「えっ、あ、いえいえ。見たところ怪我が無くて良かったです」
「それは貴方でしょう」
言われたあとにヒリヒリしてきて結構な力で叩かれたことに気付く。
「ああ、大丈夫ですよ」とヘラッと笑ったら「っ、大丈夫な訳あるか」とボソッと聞こえてきた。おいおい敬語が行方不明になったぞ。
「ここで待っていて下さい」と言われたので大人しく待っていることにした。なんとあのレイヤー、この私を睨んで行きやがった。
思わず萎縮する私である。
すると走って戻ってくる安室さんのレイヤーさん。ものの数分で、的確な処置のようにハンカチで包んだ保冷剤をグイグイと当てられた。
考え方が烏滸がましいけど、もうちょっと優しくても良くない??若干怒ってるような……?
あと幼稚園児じゃないんだから自分で当てられるし。それに睨まれながら手当てされるのは正直嬉しくない。
なんで初対面の人から怒られつつお世話されるんだろ。……しかも、こんな安室さんコスのイケメンに。
ついてないなぁ私。
と落ち込む。またじっと見られてた。
でも……私も下心が無かった訳じゃない。レイヤーさんと関わってみたくて話しかけたっていう気持ちも無くはないのだ。
という訳で、安室さんのレイヤーと知り合いになりたくて名前を聞いてみた。
「あの、自分は篠崎ハルって言います。貴方の名前を聞いてもいいですか?」と言って。
その瞬間、目を見開かれた。
初対面なはずなのに、酷く悲しむような瞳をして。
何故だろう。そんな顔をされたら、もしかしたら昔に会ってたかもしれないって思うじゃないか。
「………僕の名前は安室透です」
一瞬、私の方が固まった。
あ、安室、透……?安室って……あの???
「あの、本当の名前なんですけど」
なんて言うと、「……本当の名前、ですか? これが本名なんですが」と最後の方を声低くして言われた。
ヒェッ。
「そうなんですか!? 名前まで本当に安室さんにそっくりですね!」
「そっくりも何も安室さんは僕のことですが」
あんれ?????
「僕、ハルさんともっと話してみたいです」とはにかんで言われる。ハニトラ???ハニトラなの???今どきのレイヤーさんはハニトラを持ってるの???
そこから、なんやかんやで連絡先を交換した。
レイヤーと友達になれたことで嬉しくなった。
けどハニトラかと思うと怖いんですけども。
……で、そこから何か始まるかと思ったかい?
残念。何も起こらず、そのまま別れた。
あ、やっっばい。ハンカチと保冷剤返すの忘れた。