1章
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次の日、コンビニに行ったら万引きしていたお婆さんを見つけてしまった。
人間というのは驚くことがあると真顔で固まってしまうものである。私も例外ではなく、少し固まってしまった。
……という感じで声をかけるか迷っていたら、さっきのレイヤーがいつの間にかお婆さんの腕をがっちり掴んでいた。
レイヤーさんがイケメンだからか、万引きしてたお婆さんはポッと一瞬頬を赤くするが、自分がそのイケメンに止められてることに気付いてからサァーッと顔を青くした。
面白いほどに顔が信号機である。
途端にお婆さんはわめきだした。
あろうことか、「私が万引きしたって言うの!? 年寄りを老害扱いするな!!」とか言い出した。
もちろん安室レイヤーさんは、老害どころか何も言ってない。『ただ止めただけ』である。
にしてもあのレイヤーさん、何故なにも言い返さないのだろうか?
私はあのレイヤーさんがどんどん悪く言われていくのが耐えられなくなってきた。
なので1歩ずつ勇気を出して地を踏み込む。「あの、そこの位置は監視カメラに写ってると思いますし、私も見ました」と口出ししてみた。
そう言うと、ぐるん!といきなり振り返ってきたレイヤーさんに目を見開かれた。
いきなり振り返ってきたものだから、私の肩はビクッと跳ねる。
何に驚いたのか分からないけど、とりあえず私が証言したことでレイヤーさんは冤罪にならなそうだし、お婆さんはこれでタダでは済まないだろう。良かったと安心する。
心の中は、いやあ〜貴重なレイヤーさんを助けられて良かったですわ〜という楽観的思考で満ち溢れていた。
すると、レジに居た店員さんがきっと店長さんに連絡したのだろう。すぐに店長がこの場に飛び込んで来て、お婆さんとレイヤーさんと私たち3人をスタッフオンリーの裏に呼ぶ。
なぜ私たちまで……と思ってたら「証言が必要ですから……」と言われた。
スタッフオンリー室は、縦に長くて狭い部屋だった。なので必然とレイヤーさんの近くになった。
うわぁ……いい匂いが…………って、変態になる所だったので息を止めて気を引き締める。
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結論から言うと、レイヤーさんと私が言った証言がばっちり合ってたようで、警察に通報することになった。
そして監視カメラを確認した警察により、お婆さんは警察に連れていかれた。バイバイお婆さんである。
それにしても証言を話してた時のレイヤーさんは相変わらず古谷さんボイスだった……良きかな。
長居するのもアレなので、コンビニから出るとレイヤーが隣にいつの間にか居た。
目が合うと、ぺこりとお辞儀された。
「先程はありがとうございました」
「いえいえ。とても正義感の強い人でカッコよかったですよ!」
「……そうですか」
それだけ言って顔を伏せられたかと思えばすぐに帰られた。
あれ??
なんか素っ気なくないですか……?
もしかして……変なこと言ったかな?
いや言ったな!!
何がカッコ良かっただよ!上から目線かな!???
反省してその日は帰った。