1章
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またもやゼロのことを置いていって、仕事に行く。
昨日の夜、「明日の朝食は要らないから」と言ってあったせいか、ゼロは部屋から出てこなかった。
仕事を進めて、定時を迎えそうなとき。
上司に来い来いと手招きされて、着いていく。すると小声で今日の出来事について教えてくれた。
どうやら今日はクレーマーが来たらしい。
そのクレーマーは金髪の女の子だったとか。もしかして……ショッピングモールで会った時に私のことを睨みつけていた子だったりして。……なんてね。
「君に会わせろってしつこく言っていたから君は絶対にロビーに行くな。タクシーで帰りなさい」
上司に言われて首を縦に振る。
自分のデスクに戻ると友達のりっちゃんが寄ってきた。
そういえば、この前断ったお返しに居酒屋行こうって話、してたっけ。
「ハル! ねえ今日やめとかない? さっきの奴とか居るし、正直凄い心配なんだよね」
「……りっちゃん。私飲みたいや」
「ハルその顔……。分かった。飲みに行こう」
「りっちゃんありがとう」
お礼を言うと頭を撫でられた。
そこに同じ部署の男性が「百合なら俺は応援するぜ!!」とか何とか言ったので思わず本気で「は?」って言ってしまった。
♦
バーではなく居酒屋。
喧騒が鳴り止まないガヤガヤとした雰囲気が好きだ。
キンキンに冷えてるジョッキを片手に、りっちゃんのグラスと合わせて、乾杯!とカチャンと音を立てた。
「で?で? ハル、何か良い進展はあった?」
「ううん。さっぱり」
「それにしてもハル、いきなり凄い恋愛したよねぇ」
「自分でもそう思うよ。勘違いしちゃいそうになる態度もあるけれど、それで好きになったんじゃなくて……」
そう。
安室さんのハニトラでも、ゼロの大人になった姿を見て恋した訳でもない。いや後者については、ちょっぴりあるけれど。
「小さい頃から好きだったんだ」
「そっか。でも私もそんな態度、今の彼氏と付き合う前にやられたら勘違いしちゃうな」
ああそういえば、りっちゃん彼氏いるっけ。
りっちゃんと、りっちゃんの彼氏は超ラブラブである。多分この人たち絶対別れないだろうな、ってくらいラブラブ。なんせ高校生の時に付き合っていて、大人になったと同時に結婚と来たもんだ。
なのに夫とは呼ばずに彼氏扱いしてるらしい。(理由はいつまでもラブラブしてたいからだとか)
「ハル。いつでも相談乗るから」
「ありがとう、りっちゃん」
そのあと飲み過ぎたが、大人なので潰れる寸前でお酒をやめた。寸前だからまだまだだけど。
ちょっと眠たくなっていると電話が鳴った気がした。
ゼロ……?
いや、まさかね。
なんて考えているうちにも、コールが切れた。
「ごめん、トイレ行ってくる」
そう言うと、やけにニヤニヤとしたりっちゃんが「いってらーー」と言うのであった。
*
降谷零は困惑していた。
「君か。こんなイタズラメール送ったのは」
『ーーー』
「確かにお節介だな。……あんな風に。恋愛に思わせるつもりじゃなかったのは本当だよ」
『ーーーー!!』
「知らん」
『ーーっ!!ハルはアンタのこと諦めたんだからね!!!』
それを最後にガチャッと切られる。
ツーツーという音が聞こえてきた。
*
戻ってくると、何故かりっちゃんが私の電話を片手に泣いていたんだけど。
「ハルは良い女なんだよぉ!!」
「りっちゃんやめて」
こいつ酔ってるな。
はあ……電話に何もしてないだろうね???
と思ったら案の定やってた。りっちゃんは悪酔いするとこうなるのを知っている。
えっと……なになに??『ハルは世界一いい女』?
………………ゼロに、なんてものを送ってんだ。
思わず遠い目になった。
私……ゼロと喧嘩してるの馬鹿らしくなってきたかも。
ある意味、りっちゃんのおかげだった。