1章
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会社帰りにスーパーに寄り、大量の酒缶をカゴの中に入れていく。……ほろ酔い多めにしとこ。
あとは____と、周りを見渡した時に隣にあったウイスキーコーナーが目に入る。
半ばイタズラ心でスコッチとバーボンを買った。
ライは買わない。
「ただいま!!」
帰宅すると、ゼロが至極驚いた顔をした。
「!……ハル」
「ごめんね。そんな顔させちゃって。それに告白したのはこっち! 傷付く必要なんて無いんだよ」
「……」
そうは言ってもゼロには思うところがあるのだろう。
でもシリアスムードになんてさせないぞ。
「ばーかばーか」
「ハル……。疑うぞ」
「ちょ、それは勘弁」
告白を疑われるのは勘弁してくれ。
あ〜、でもね。
「私が告白したこと無かったことにしてもいい。けどさ、1つ思って欲しいことがあるの。小さい頃ゼロがゼロ自身のこと嫌われてる云々の話をしてたでしょ? ゼロはさ……。今は素敵な大人になってるから色んな好意を向けられていると思う。私もその1人だと思って欲しいんだ。ゼロは沢山の人に愛されてるって」
「……ああ」
「今も好きだけど、ゼロには幸せになって欲しいんだ。てことで宅飲みしよう!!」
「ああ………………………ん?」
と。そこまで来てゼロは頭を捻る。
「ふふふふふ」
そこで私はニヤリと笑った。
「飲み比べだよ。優秀警察官殿は酔い潰れないかな?」
私がそう言うとゼロは一瞬何を言われたのか分からない顔をしたが、すぐにニヤリと笑った。
「ほー? 絶対に勝ってやる」
そう言うと思ったよ、ゼロ。
♦
「バーボン美味し~い」
「お前…………絶対知ってるだろ」
「知りますぇ~ん」
「……はぁ。ギリギリ、勝ったな……」
ゼロが安室さんでバーボンだなんて知りませぇーん。
本当に接戦だった。意外にも私は酒に強い。
それはゼロも同じだった。さすが日本男児。
よっ!色男!!
あっ、これはなんか違う気がする。
ふと、ゼロから「ーーハルは……。俺のどこが好きになったんだ?」と言われた。
それ……本人に聞いちゃう?
溜め息付いた。
公式で恋愛面はアレと書かれていたが……。
本当にアレだな。
ハニトラ要員の潜入捜査官の肩書きはどこ行った。
ふわふわとした頭の中で文字をかき集める。
「まずね、最初会った時に分かったことなんだけどね」
あのときは酷く言葉をぶつけられたけど。
「どんな言葉でも根は優しかったことかな。ああ、自分なりのポリシーを守って、自分なりの正義と信念で言葉を作ってる人なんだ。って思って」
あとはね、私と一緒に迷子になったとき。
「今持ってる知識をフルに使って大人に聞く姿がカッコよくて。同じ年齢なのに背中が大きく見えたの」
それに、それで、それが、……。
ゼロは全部聞いてくれた。
「聞いてくれてありがとう」と私が微笑むと、バツが悪い顔をする。
けどそれ以外はゼロは終始真顔だった。
その代わり抱き締められた。
……心の中で「これは慰め、これは慰め、これは慰め、これは慰め」と何回も唱えた。
私は告白した側なのに、なんて理性を試されるポーズなんだろう。まじやめて。
これは慰め、これは慰め、これは慰め。
もはやお経である。