まさか本物になるとは思わないじゃない
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「てん……りゅう、びと!?」
センゴクは焦った。本物の天竜人ならば、世界政府も絡んでくる。そして天竜人らしからぬその見た目。一体どこが人だと言うのだ!? 驚いている合間にも、その自称天竜人は話す。
《人間らしい反応だな。
ならば我がすることに異議は唱えないだろう?》
そのとき、バキン!と音を立てて粉々に壊れたものが1つ。エースを繋いでいた海楼石の鎖である。フッと力の感覚が戻ってきたことに驚きを隠せないエース。そして視線の矛先は無論、自称天竜人である。
もし、悪魔の実でドラゴンになっているのだとすれば火拳のエースを繋いでいた海楼石は壊せないはず。つまり、目の前のドラゴン……黒龍は本物の龍なのだと知らしめた。ここに居る火拳のエース、センゴクだけではなく、この放送を見てしまった全世界の民へと。
《人間など皮を剥いだら皆同じ。
我と戦うなら協力せい》
まさに正論。
その言葉を天竜人が言うか……?
皆の心はひとつだった。
《それとも我と戦うか?小僧》
その言葉に「いや……」と付け加えたのは火拳のエース。俯いて顔は見えないが、雰囲気からして先程とは違う。
「アンタと一緒に戦わせて貰うぜ。そして俺は、白ひげの……オヤジの元へと帰る!!!!」
《そうか。……その言葉を待っていた。 ならば我が助太刀致そう》
火拳のエースは、とんでもない助っ人に「おう!!!」と太陽のような笑顔を向ける。
しかし隣で聞いていたセンゴクが許すわけがなかった。プルプルと怒りで拳が震える。
そして唐突に手元に入ってきた電報。
_____あの黒龍は天竜人の中では確認されてないそうです!!!
「ふざけるなァ!!!!!」
そのセンゴクの言葉を皮切りに、三大将が動く。一気に間合いを詰めてきた三大将に対し______黒龍は火拳のエースを足元に引き寄せたかと思えば、空へと浮かんだ。そして胸の奥から込み上げる高鳴りと共に、龍の怒りの息吹を吹き出そうとする。
三大将は、同時に脳に鳴り響いた危険信号を無下には出来なかった。ボルサリーノは光の速さで安全地帯へと飛び、サカズキはマグマで溶かした地面に隠れ、クザンは咄嗟に20メートルにも近い氷の盾を作って身を隠す。
その反応は間違いではなかった。
普通の炎じゃリタイアしないだろうと踏んでの、第2形態の青白い炎を繰り出した黒龍。本来ならば怒りで出すつもりが、興味本位で出してしまった。そして逃げ遅れた海軍の大半は戦力を失うこととなる。
阿鼻叫喚の地獄絵図。それもそうで、即死級の龍の息吹を無防備な状態で受け取ったからだ。一瞬で燃え尽きた人間も居れば、灰となって消えた者もおり、そして見えるのは死屍累々の火の海。まさに獄炎。
「貴様ァ……!!!」と、怒りに震えるセンゴク。
《この程度か、人間……。想定よりも遥か下だな》
黒龍の、人間を虫程度にしか見ていない双眸がギョロりと辺りを見回す。そうして見つけたのは、大きな戦艦。そして白い髭が目立つ巨体。黒龍の(人間の数百倍もの性能がある)聴力を持ってして聞こえてくるのは「グラララ!!」という笑い声。
火拳のエースもカクテルパーティー効果なのだろう、その声にハッとして顔をあげる。「オヤジ!!!」と嬉しそうに……だけどバツが悪そうに顔を向けた。
《ほう……アレがお前の親か》
黒龍は、鉤爪がギラギラと鈍く光る黒い鱗で覆われた手のひらを広げると、火拳のエースに《乗れ》と言った。おずおずといった形で乗り込む火拳のエースを黒龍は見届けると、羽をバサりと瞬くように広げる。翼を広げると大きすぎて、海軍本部の両壁が壊れた。「本部がぁ!!」と、また唸り声を腹の底から出すセンゴク。
そうして飛ぼうとするが、やはり邪魔が入るものである。「そうはさせんぞ!!!」と大声で怒鳴ったセンゴクが居たのだが、既に上空へと飛んでいた黒龍と火拳のエースは『アリンコみたいだな』と意思が合致していた。
だがそれも束の間、いつの間にか悪魔の実の能力で仏となり、すぐに黒龍が飛んでいる所まで大きくなっていくセンゴク。
「私から逃げられると思うなよォ!!!」
そして衝撃波を繰り出そうとしたセンゴクだったが___、黒龍が尻尾を振るったかと思えばセンゴクの横腹に大打撃が襲ってくる。カハッとセンゴクの中にあった空気が吐き出される。
それでもセンゴクは力を出して黒龍の尻尾を捕まえた。だが……青白い炎が直後にセンゴクを襲った。当たったら即死級ブレス。それをモロに当たってしまったセンゴクは、超高威力の炎を浴びながら意識を失い後ろへと倒れていく……。
黒龍の手元にて、それを見ていた火拳のエースはいとも簡単に倒れてしまった海軍トップに驚きを隠せなかった。
《そのまま眠っておけ、強き虫よ》