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夜の呼吸の少女

しばらく歩いていると不思議な男の子3人が藤が描いてある門の前に立っていた。中からおばあさんが出てきて、彼らを中に入れようって時に彼らに質問を投げかけた。
「もう一人いらっしゃると聞いていたのですが……」
三人は首を傾げ、互いに顔を見合わせていた。椛は呑気にあー、私かぁ…なんて呟いて、おばあさんのもとへ向かう。
「遅くなって申し訳ないです、おばあさん」
おばあさんはにこり、と笑い中へ通してくれる。彼らとは同室らしい。そんな事をあるんだ…と思うが今あるんだからあると自分に言い聞かせる。ご飯は天ぷら。箸の使い方を知らなそうな子が一人いる。

「少年達、私に名前を教えて頂戴な」

不思議な耳飾りの男の子が話そうとすると金髪の男の子がすごい速度で反応した。

「俺はk「俺、我妻善逸です!!結k「竈門炭治郎です!こっちは伊之助です」」

思わず口から仲良しねー…なんて漏れるが正食善逸に少し引いていた。

「私は藤代 椛。よろしくね、少年達」

ちょっと引いてしまったお詫びに善逸の頭を撫でる。かちん、と固まる善逸。どうしたものかと顔を覗き込めば、頬を染めている善逸。

「なんだ、君……こんなに可愛かったんだね」

くすり、と笑った椛と目が合い、更に真っ赤になる。楽しくなってきた椛はそのまま抱き寄せ、頬を撫でたりと好き放題。

「君、私のお気に入りだね。継子にしちゃおうかな。それとも食べちゃおうかな。あー…でもあの子に怒られちゃうなぁ…」

ぶつぶつと独り言を言いながら善逸で遊び続ける。善逸はというとすでに気絶していた。目を開けたまま。それに気づいた椛は布団に寝かせ、頭をもう一撫でするとにこり、と笑った。

「うぶなのかしら?彼、可愛いくて…」

もちろん、君たちも。そういうとくすくす笑う。伊之助は何で善逸が気絶したのかわかっていないようで、椛が何かをしたのかと問い詰めていた。

「あいつに何やったんだ?何であいつは倒れた?」

何か技でも使ったとでも思っているのだろう。教えろ教えろ、と椛を揺さぶる。止めようとした炭治郎に制止をかけ、揺さぶる手を掴みニタリ、と笑った。

「教えてあげようか?」

そのまま引っ張り、膝に座らせると頭を優しく撫でる。伊之助は最初は何事かと動き回っていたが、落ち着き始めたのかおとなしくなった。落ち着いたのは何も攻撃されない事に気づいたからなのか。それとも椛に撫でられる心地よさからなのか。こくん、こくんと舟を漕ぎ始めた伊之助を肩に顔を埋めるようにしてやるとそのまましがみついて普通に寝始めた。

「すいません、椛さん…」

自分のせいではないのに申し訳なさそうに眉を下げる炭治郎。伊之助を受け取ろうとしたのか、立ち上がろうとするがまたもや制止させられた。

「いいの、私が寝かせちゃったんだから。こっちもごめんね?まだ3人で話したかったでしょう?」

伊之助をそのまま抱き上げ、布団に寝かせる。炭治郎はすぐに寝る予定だったことを伝えると、そっか。と椛は優しく微笑んだ。

「次は炭治郎だね」

クスリ、と笑うと炭治郎は頬を染めて手をブンブンと振る。長男だからだとか慣れてないだとか、椛には理由をつけて断ろうとしているように見えた。

「長男長女はね、我慢すること、たくさんある。甘えたいな、見てほしいな…そんなこともたくさんある。だからね、甘えられるときに、頼れるときに甘えて、頼らなきゃ。疲れちゃうよ、ほら」

膝立ちをして両腕を広げる。ふわり、と笑い炭治郎においで、と言うと顔を染めた炭治郎が遠慮がちに両腕に収まる。

「し、失礼します…」
「そんな緊張しなくていいのに」

ガチガチの炭治郎を優しく撫でる。少しすると力が抜けてきたのか、体重を預けている。微睡み始めたらしい。瞬きもだんだん遅くなって、今にも寝そうだった。

「え!?炭治郎!?!?何やってんの!?!?」

善逸、復活。善逸の叫び声により、現実に引き戻された炭治郎はぐしぐしと目をこする。椛が大丈夫?と聞くとこくり、と頷く。その時、外からコツコツ、と何か突くような音が聞こえた。椛が戸を開けるとそこには椛の烏がいた。

「海、どうしたの」

そう聞けば、足に縛りつけてあった紙を足ごと差し出す。それを解いて読むと思わずため息が出た。

「椛さん、どうかしたんですか?」

炭治郎が心配してかけてくれた声に大丈夫、と返すと服と刀を持ち、部屋から出ようとする。

「もう行くんですか?」
「俺、もう少しでいいから椛さんといたい…」

小動物のように見つめてくる彼らを安心させる様に微笑む。

「大丈夫、明日君達が起きる頃には一緒に寝てるだろうから。私は強いからね、安心してお眠り」

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