【FF14】メイドさんの夢旅行
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まぶたの裏に、まだ星が揺れている。
アトラはゆっくりと目を覚ました。
視界に広がるのは、現実の天井。低く、硬く、しっかりとした現世の天井だ。
肌に当たる風の質も違う。冷たい現実の空気。
あの夢のような海辺の風ではない。
それでも、胸の内にはあの声が残っていた。
星の名を交わし、未来を託された、静かで力強い声。
「……未来の私が立ち上げたって言うんなら、会って確かめてみなきゃ」
アトラは呟いた。
海辺で誓った言葉、記録として残すという使命。
魂で交わした約束が、指先に力を与える。
帝国の“新生”とともに、生まれた小さな役職。
それがきっかけで、アトラの中には決意が芽生えていた。
《光の指先》。
かつて古代世界の知と記憶がすべて失われたように。
きっと、葬られた方がいいものもあるだろう。
真実を語ったからといって、受け入れられるとも限らない。
それでも、できることがあるならば。
アトラは、書く。調べる。記す。見届けて。
かつて旅したすべての記録を──
そして、夢の中で交わしたすべての言葉を。
これからの旅を。
目が覚めたアリスは、現実の日常へと戻っていく。
「ディアナさん!」
久しぶりにその背中を見つけ、アトラは思わず声を上げた。
「アトラちゃん」
振り返ったディアナが、変わらぬ笑みとともに手を上げる。
ご対面早々、アトラは頭を下げる。
「スパイ容疑の騒ぎでは、ご迷惑を……」
「いやいや。むしろ得しちゃったよ。お咎めどころか――後援者がついたんだ」
「え? いったい誰がですか?」
「皇帝さ」
「ええ!?」
「師匠がね。うま~く交渉してくれてさ。今じゃ私は“知識提供者”って立場」
ディアナは肩をすくめ、当時の交渉をアトラにも見せてやりたかったと茶化した。
アトラはふと考え込んだ。
お咎めどころか、パトロンまで得ている。――話が出来すぎてはいないか?
ちらとディアナを見ると、彼女はさらりと話題をそらしてしまった。
(……もしかして、陛下は最初から私がここに来ることを知っていた?
文化記録局の職を与えてくれたのも、そのため……?
いや、それどころか、“新生させた”と言っていた。つまり、局を整理する前から――私が光の指先に現れる未来を、読んでいた?)
胸がざわつく。
夢で未来の自分から聞かされてはいた。
けれど、その動きは想像以上に手際がよすぎる。
すべては未来のアトラの計画の内だというのだろうか。
(牢屋に入れられても処刑はなく、こうして生き延びている……。
やっぱり未来のアトラはもっと前から皇帝と接触してたんじゃ?)
考えれば考えるほど絡まっていく。
(自由に過去と未来を行き来できるなら、説明はつく。
でも……じゃあなんで“今の私”が必要なの?
過去の私がいないと未来の私も成り立たない?
……いや、だとしたら、私は最初から手のひらの上?)
アトラは小さく唇を噛んだ。
(……うう、なんかモヤモヤする……
全部、決められた運命だったってことなんじゃ……)
「この奥だよ」
ディアナはアトラを、寒々しい国の崖に口を開ける、暗い岩の隙間へと導く。
さらにその隙間を進んでいくと、暖かな空気が肌に感じられた。
行き止まりにたどり着いたところで、ディアナが小さく呟く。
その瞬間、岩壁が淡く光を放ち、魔法で隠された扉が姿を現した。
「ようこそ――『光の指先』へ。
ようやく、ここに君を連れてこられた」
扉の先に広がっていたのは、高くそびえる本棚……ではない。
書物の代わりに、記憶媒体として加工されたクリスタルが、壁から天井にかけてびっしりと並び、静かに輝いていた。
人々が、それに触れて情報を確認していく。
情報を確認し終えた者たちは、それをそっと抱えて地下へと運んでいく。
クリスタルは運びやすく、重ねやすいよう、書物に似せた形に加工されていた。
それとは反対に、ディアナは上の階へ続く階段を上る。
アトラもディアナのあとに続き、壁沿いに並ぶクリスタルをちらりと見やる。
一つひとつが淡い光を灯し、まるで内に秘めた記憶が語りかけてくるようだった。
最上階の扉を開くと、そこには満天の星空を映したような天井ドームが広がっていた。
片隅には天体望遠鏡が静かに佇み、
中央には、淡い光を放ちながら宙に浮かぶ大きな鏡が存在していた。
ディアナに手を引かれ、アトラは鏡の前に立つ。
初めは自分の顔が映っていたが、ふいに鏡の奥が暗く沈み――光が途切れた。
闇の中から、ぼんやりと影が浮かび上がる。
やがて、それはもう一人のアトラの姿を形作っていった――年を重ねた「影の案内人」の顔だ。
「ああ、来たんだね。
驚いた? ふふっ」
昨日も会ったかのように、影の案内人――未来のアトラが浮かび上がって言葉を発する。
「この鏡ね、何度も現地に通うのが面倒でさ、ここに設置したんだ。
古代人のイデアってのは便利だね~。
古代遺跡からいくつか拝借したんだよ。
誰も使わないなら、私が活かしてやろうと思ってね」
「なんでもありじゃん……
てか魔力量とかどうしたのさ」
「それを解決するのが『光の指先』さ。
ディアナ、ありがとね〜。今度飲もう〜」
「いえーい、了解」
叡智が集まる厳かな施設で、未来のアトラとディアナの気の抜けたやりとりが響く。
ディアナは鏡の前にあるソファへどさっと腰を下ろし、アトラは立ったまま鏡に映る人物――未来の自分を見つめた。
「私も『光の指先』に入れてください」
「……そもそも、今のところ私の後続はあんたにしか務まらないよ。
探してみたけれど、同じ力を持つ者なんて見つからなかった。異界と異界の魂が偶然に混ざり合って――その結果として“夢見の力”が生まれたのかもしれないね」
そこで、ふっと笑みをにじませる。
「だから、あんたが決心してくれた瞬間に……私は、やっと“まっくろくろすけ”を卒業できわけだ」
アトラの脳裏に、黒い影の案内人の姿がよぎる。
かつてははっきりした形も名もなく、ただ背後にまとわりついていた存在。
けれど今は、自分とひとつながりの道を歩く相棒なのだと、はっきり感じられた。
「そうそう。
私、師匠の顔知ったの一週間前とかだからね。
アトラちゃん、どおりで師匠と共通点多いと思った~」
ディアナがソファ横の机にあるリンゴをひとつとってかじる。
実は数週間前、アトラはディアナにリンクパールで『光の指先』への参加を願い出ていた。
今日という日は、その「約束の日」だった。
そしてその日を迎える前に、未来のアトラ――影の案内人は、既にディアナ含めた『光の指先』に所属する人々に顔を公開していたのだった。
「一応あんた、ハイデリンと意思疎通できることになってるから。
今後はこういう引継ぎとかバンバンやっていくからね。よろしく~」
未来のアトラは、アトラにしか聞こえないように耳打ちする。
「ホラ吹きじゃん……」
「こういう“政治的なお飾り”が、知識の保持には肝心なのさ。
慣れておきな」
鏡の中の未来のアトラも、同じようにリンゴを手に取った。
それを一口かじる。
「ああそうだ。私がどれくらい未来なのかって話だけどね。
次期皇帝様がお生まれになったころとだけ伝えておくよ」
つまり、46歳ごろのアトラということだ。
「ひとつの光 じゃ足りない。だから私は、何度も姿を変えて、誰かのそばにいた。
……アトラ。今度は、あんたが“過去のあんた”を導く番だよ」
エプロンドレスの少女は、こんどは不思議な鏡の世界へと、軽やかに飛び込んでいく。
「アトラちゃん」
声に振り向くと、ディアナがリンゴを軽く放ってきた。
アトラはそれを見事にキャッチする。
赤く艶やかな果実は、まるで“知恵の継承”そのもののようだった。
未来のアトラが、鏡の中でにやりと笑う。
「仕事の報酬は、“未来”ってわけ。
ま、これからもがんばってくれたまえ?」
アトラは瑞々しいそのリンゴを、一口かじる。
シャリ、と音が響いた瞬間、また新しい仕事の始まりを感じていた。
鏡の表面がさらさらと砂のように崩れ、未来の自分の姿を包んで消えていく。
その光が星のように、天井のドームを照らしていた。
未来の自分の声が消えたあと、アトラは空を仰いだ。
夢見の力を使って、交渉して、橋を渡す。
「これは、終わりじゃないってことか。
この指先が、これからを書き続ける――」
そう呟いたとき、胸の奥に熱いものが宿った。
アトラは自分でも気づかないほど、自然にその言葉を口にしていた。
かつての自分なら、未来の自分に怯えていたかもしれないのに。
鏡の前で、アトラが静かに振り返った。
ディアナがそっと微笑む。アトラの瞳に、もう迷いがないのを見て取ったからだった。
そしてぽつりと呟く。
「これで、ちゃんと引き継げるね……師匠。
アトラちゃん、案内するよ!」
それは、未来を託す者の言葉だった。
アトラは夢見の力を駆使して、数多の旅を辿り、記録を集めていく。
記憶の断片を拾い集め、思念の中に浮かぶ情景を紙の上に、あるいはクリスタルの中へと映し出す。
組織の記録係にその記録を伝達し、観測者とともに遠方の星見の地を訪れることもあった。
風の匂い、光の揺らぎ、誰かの声。
そこには確かに、かつて自分が歩いた道と重なるものがあった。
そうして紡がれた記録は、選別され、整理され、
帝国の記録保管局にて、未来の誰かのために保管される。
かつての絵理沙が誰かに触れてもらえたように――
アトラはゆっくりと目を覚ました。
視界に広がるのは、現実の天井。低く、硬く、しっかりとした現世の天井だ。
肌に当たる風の質も違う。冷たい現実の空気。
あの夢のような海辺の風ではない。
それでも、胸の内にはあの声が残っていた。
星の名を交わし、未来を託された、静かで力強い声。
「……未来の私が立ち上げたって言うんなら、会って確かめてみなきゃ」
アトラは呟いた。
海辺で誓った言葉、記録として残すという使命。
魂で交わした約束が、指先に力を与える。
帝国の“新生”とともに、生まれた小さな役職。
それがきっかけで、アトラの中には決意が芽生えていた。
《光の指先》。
かつて古代世界の知と記憶がすべて失われたように。
きっと、葬られた方がいいものもあるだろう。
真実を語ったからといって、受け入れられるとも限らない。
それでも、できることがあるならば。
アトラは、書く。調べる。記す。見届けて。
かつて旅したすべての記録を──
そして、夢の中で交わしたすべての言葉を。
これからの旅を。
目が覚めたアリスは、現実の日常へと戻っていく。
「ディアナさん!」
久しぶりにその背中を見つけ、アトラは思わず声を上げた。
「アトラちゃん」
振り返ったディアナが、変わらぬ笑みとともに手を上げる。
ご対面早々、アトラは頭を下げる。
「スパイ容疑の騒ぎでは、ご迷惑を……」
「いやいや。むしろ得しちゃったよ。お咎めどころか――後援者がついたんだ」
「え? いったい誰がですか?」
「皇帝さ」
「ええ!?」
「師匠がね。うま~く交渉してくれてさ。今じゃ私は“知識提供者”って立場」
ディアナは肩をすくめ、当時の交渉をアトラにも見せてやりたかったと茶化した。
アトラはふと考え込んだ。
お咎めどころか、パトロンまで得ている。――話が出来すぎてはいないか?
ちらとディアナを見ると、彼女はさらりと話題をそらしてしまった。
(……もしかして、陛下は最初から私がここに来ることを知っていた?
文化記録局の職を与えてくれたのも、そのため……?
いや、それどころか、“新生させた”と言っていた。つまり、局を整理する前から――私が光の指先に現れる未来を、読んでいた?)
胸がざわつく。
夢で未来の自分から聞かされてはいた。
けれど、その動きは想像以上に手際がよすぎる。
すべては未来のアトラの計画の内だというのだろうか。
(牢屋に入れられても処刑はなく、こうして生き延びている……。
やっぱり未来のアトラはもっと前から皇帝と接触してたんじゃ?)
考えれば考えるほど絡まっていく。
(自由に過去と未来を行き来できるなら、説明はつく。
でも……じゃあなんで“今の私”が必要なの?
過去の私がいないと未来の私も成り立たない?
……いや、だとしたら、私は最初から手のひらの上?)
アトラは小さく唇を噛んだ。
(……うう、なんかモヤモヤする……
全部、決められた運命だったってことなんじゃ……)
「この奥だよ」
ディアナはアトラを、寒々しい国の崖に口を開ける、暗い岩の隙間へと導く。
さらにその隙間を進んでいくと、暖かな空気が肌に感じられた。
行き止まりにたどり着いたところで、ディアナが小さく呟く。
その瞬間、岩壁が淡く光を放ち、魔法で隠された扉が姿を現した。
「ようこそ――『光の指先』へ。
ようやく、ここに君を連れてこられた」
扉の先に広がっていたのは、高くそびえる本棚……ではない。
書物の代わりに、記憶媒体として加工されたクリスタルが、壁から天井にかけてびっしりと並び、静かに輝いていた。
人々が、それに触れて情報を確認していく。
情報を確認し終えた者たちは、それをそっと抱えて地下へと運んでいく。
クリスタルは運びやすく、重ねやすいよう、書物に似せた形に加工されていた。
それとは反対に、ディアナは上の階へ続く階段を上る。
アトラもディアナのあとに続き、壁沿いに並ぶクリスタルをちらりと見やる。
一つひとつが淡い光を灯し、まるで内に秘めた記憶が語りかけてくるようだった。
最上階の扉を開くと、そこには満天の星空を映したような天井ドームが広がっていた。
片隅には天体望遠鏡が静かに佇み、
中央には、淡い光を放ちながら宙に浮かぶ大きな鏡が存在していた。
ディアナに手を引かれ、アトラは鏡の前に立つ。
初めは自分の顔が映っていたが、ふいに鏡の奥が暗く沈み――光が途切れた。
闇の中から、ぼんやりと影が浮かび上がる。
やがて、それはもう一人のアトラの姿を形作っていった――年を重ねた「影の案内人」の顔だ。
「ああ、来たんだね。
驚いた? ふふっ」
昨日も会ったかのように、影の案内人――未来のアトラが浮かび上がって言葉を発する。
「この鏡ね、何度も現地に通うのが面倒でさ、ここに設置したんだ。
古代人のイデアってのは便利だね~。
古代遺跡からいくつか拝借したんだよ。
誰も使わないなら、私が活かしてやろうと思ってね」
「なんでもありじゃん……
てか魔力量とかどうしたのさ」
「それを解決するのが『光の指先』さ。
ディアナ、ありがとね〜。今度飲もう〜」
「いえーい、了解」
叡智が集まる厳かな施設で、未来のアトラとディアナの気の抜けたやりとりが響く。
ディアナは鏡の前にあるソファへどさっと腰を下ろし、アトラは立ったまま鏡に映る人物――未来の自分を見つめた。
「私も『光の指先』に入れてください」
「……そもそも、今のところ私の後続はあんたにしか務まらないよ。
探してみたけれど、同じ力を持つ者なんて見つからなかった。異界と異界の魂が偶然に混ざり合って――その結果として“夢見の力”が生まれたのかもしれないね」
そこで、ふっと笑みをにじませる。
「だから、あんたが決心してくれた瞬間に……私は、やっと“まっくろくろすけ”を卒業できわけだ」
アトラの脳裏に、黒い影の案内人の姿がよぎる。
かつてははっきりした形も名もなく、ただ背後にまとわりついていた存在。
けれど今は、自分とひとつながりの道を歩く相棒なのだと、はっきり感じられた。
「そうそう。
私、師匠の顔知ったの一週間前とかだからね。
アトラちゃん、どおりで師匠と共通点多いと思った~」
ディアナがソファ横の机にあるリンゴをひとつとってかじる。
実は数週間前、アトラはディアナにリンクパールで『光の指先』への参加を願い出ていた。
今日という日は、その「約束の日」だった。
そしてその日を迎える前に、未来のアトラ――影の案内人は、既にディアナ含めた『光の指先』に所属する人々に顔を公開していたのだった。
「一応あんた、ハイデリンと意思疎通できることになってるから。
今後はこういう引継ぎとかバンバンやっていくからね。よろしく~」
未来のアトラは、アトラにしか聞こえないように耳打ちする。
「ホラ吹きじゃん……」
「こういう“政治的なお飾り”が、知識の保持には肝心なのさ。
慣れておきな」
鏡の中の未来のアトラも、同じようにリンゴを手に取った。
それを一口かじる。
「ああそうだ。私がどれくらい未来なのかって話だけどね。
次期皇帝様がお生まれになったころとだけ伝えておくよ」
つまり、46歳ごろのアトラということだ。
「ひとつの
……アトラ。今度は、あんたが“過去のあんた”を導く番だよ」
エプロンドレスの少女は、こんどは不思議な鏡の世界へと、軽やかに飛び込んでいく。
「アトラちゃん」
声に振り向くと、ディアナがリンゴを軽く放ってきた。
アトラはそれを見事にキャッチする。
赤く艶やかな果実は、まるで“知恵の継承”そのもののようだった。
未来のアトラが、鏡の中でにやりと笑う。
「仕事の報酬は、“未来”ってわけ。
ま、これからもがんばってくれたまえ?」
アトラは瑞々しいそのリンゴを、一口かじる。
シャリ、と音が響いた瞬間、また新しい仕事の始まりを感じていた。
鏡の表面がさらさらと砂のように崩れ、未来の自分の姿を包んで消えていく。
その光が星のように、天井のドームを照らしていた。
未来の自分の声が消えたあと、アトラは空を仰いだ。
夢見の力を使って、交渉して、橋を渡す。
「これは、終わりじゃないってことか。
この指先が、これからを書き続ける――」
そう呟いたとき、胸の奥に熱いものが宿った。
アトラは自分でも気づかないほど、自然にその言葉を口にしていた。
かつての自分なら、未来の自分に怯えていたかもしれないのに。
鏡の前で、アトラが静かに振り返った。
ディアナがそっと微笑む。アトラの瞳に、もう迷いがないのを見て取ったからだった。
そしてぽつりと呟く。
「これで、ちゃんと引き継げるね……師匠。
アトラちゃん、案内するよ!」
それは、未来を託す者の言葉だった。
アトラは夢見の力を駆使して、数多の旅を辿り、記録を集めていく。
記憶の断片を拾い集め、思念の中に浮かぶ情景を紙の上に、あるいはクリスタルの中へと映し出す。
組織の記録係にその記録を伝達し、観測者とともに遠方の星見の地を訪れることもあった。
風の匂い、光の揺らぎ、誰かの声。
そこには確かに、かつて自分が歩いた道と重なるものがあった。
そうして紡がれた記録は、選別され、整理され、
帝国の記録保管局にて、未来の誰かのために保管される。
かつての絵理沙が誰かに触れてもらえたように――