【FF14】メイドさんの夢旅行
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アトラは影の案内人の爆弾発言を受けて以来、自分のやるべきことを考えていた。
過去を巡る旅も、皇帝エメトセルクとの対峙も、いったんの決着を見せた。
――ならば、次は何をすればいい?
気づけば、日々の仕事に身を任せていた。
文化記録局での仕事は地味だが、確かに“役目”だった。
最近では、職員の間で妙な噂が流れ始めている。
「アトラは皇帝のお気に入り」
「特例扱いされてるらしいよ」
そう囁かれるのも無理はない。
彼女だけは、皇帝の命で文化記録局の書庫――かつては禁書庫だった場所を自由に出入りできるようになった。
だが、アトラは気にしない素振りで仕事を続けていた。
むしろ、“力”を鍛えたり使っていた日々を、懐かしく思うことすらあった。
夢見の力と夢幻の力――あの曖昧で、しかし確かな、世界の狭間にいた時間。
それは、自分が世界のどこにもいないような感覚。
“自分が異世界の人間である”ということを強める証拠。
そして今日もまた、その時間が静かに割り込んでくる。
皇帝が文化記録局に現れる日だ。
「古都アムダプールの資料はあるか」
エメトセルクは、職員たちが固まるのも意に介さず、
記録局で一番良い席に当然のように腰を下ろした。
「お持ちします」
アトラは礼をして、資料棚から該当の巻物や書板を取り出す。
書類の重みが、なぜか心地よい。
資料を、皇帝の座る机の上に静かに並べた。
「帝国から近いエオルゼアの遺跡だからな……
調査することになりそうだ」
資料を斜めに見ながら、エメトセルクは気怠げに言った。
「お前も遠征の準備をしておけ」
「……はい。畏まりました」
アトラは静かに礼をする。
またグラニの世話になるだろうと考えて、アトラは午後に厩舎の様子を見てこようと考えた。
もしかしたら、もうどこかへ自由に飛び立っているかもしれない――そんな気もしていた。
そうであれば、また魔笛で呼び寄せなくてはいけない。
「次なる目標は決まったか?」
「え?」
皇帝は資料に目を落としたまま続けた。
「あんなにしつこいくらい私に話しかけていたというのに、事が終われば用なしか?」
言葉は軽く、冗談めいていた。
けれど、アトラにはその皮肉が、少しだけ本気のように聞こえた。
(あ……ほんとだ。最近、話しかけてない)
――というか、今は皇室付きじゃないし、記録係で部署も違うし……。
言い訳は頭に浮かぶものの、それを言うのも野暮な気がして、アトラは言葉を飲み込んだ。
行動がすべてだ。
もう目標を達成したのだから、あえて近づく理由もない――そう思っていた。
だが、それを決めたのは自分自身だったのだ。
アトラは少しの間を置いて、ためらいがちに口を開いた。
「私は……皇帝陛下への忠誠を――」
誓っています。だから、どこにいても、その気持ちは変わりません。
そう続けようとした瞬間、エメトセルクの言葉が、冷ややかに遮った。
「お前のそれは、忠誠ではない」
そのひとことで、アトラは息をのむ。
まるで、何かが音を立てて崩れ落ちたようだった。
(……ああ、たしかに)
忠誠という言葉に、意味を詰めようとしていた。
けれど、実際は違ったのだ。
思い返せば、アトラはいつも“流れに従って”動いてきた。
魔導城にて雇ってもらった。機会をくれた人に、義理を返すために与えられた役割をこなした。
家族だから、大切にした。
命じられたから、敵と戦った。
けれど、それらはすべて――受動的な選択だった。
花が風に揺れて咲き、やがて静かに散るように。
アトラは世界の流れに逆らうことなく、その場その場で「正しいと思える行動」を選んできただけだった。
忠誠というのは、本来もっと能動的な意志から生まれるものだ。
皇帝の傍にいたいから、誓うもの。
守りたいと望むから、戦うもの。
本質はもっと違う。
忠誠を誓うから、皇帝の傍で働くことが叶う。
大切にしているから、家族だと思える。
自分はそれを逆にしていた。
結果に言葉を貼っていたに過ぎなかったのだ。
「あっ……あ……」
口を開いても、うまく声にならなかった。
ただ呼気だけが、喉から洩れていく。
そして、ようやく言葉がこぼれる。
「……えっ? それなのに……なぜ、私を……信用してくださったのですか?」
アトラの問いに、エメトセルクは少し視線を逸らした。
「……それを、いまさら私に尋ねるのか?」
彼は椅子にもたれ、軽くため息をつく。
「さあな。走り回っているのが愉快だったのかもしれん。
おそらく私に取り入れと命じられただろうに、よりにもよって妙ちきりんな方法で近づいてきたではないか。
皇帝相手に傲慢にも、“ひとりの人間”として接してこようなど……そんな怖いもの知らず、お前くらいなものだろうな」
アトラは内心で「あちゃー。そんなフランクに振る舞ってたのか」と頭を抱える。
自分がどう動いているかなど、本人にはなかなか分からない。
「お前は未熟だ。だが、自分の意志だけは手放さなかった……それが、妙に気になったのだろうよ」
意志。
人が唯一、運命に対抗できる手段。
かつて太陽を象徴した座にいた人たちも、オリハルコン製のような意志の強さだった。
そう、エメトセルクが敬愛していた人たち。
いや、今でも敬愛している人というべきか。
「ともかく、お前の意思で記録をしたらどうだ?
最近のお前は腑抜けているからな
小難しいことは考えず、お前はお前にしかできないことをすればいいだけの話だ」
見届けるのだろう。お前はこれからも。
さっさと自覚して行ってこい。
そう言いたげに、皇帝は資料の観覧を終える。
自らの意思。
記録や情報。
「私にしか、できないこと……」
アトラは夢で会った、未来の自分を思い出す。
「ご助言、感謝いたします。
今一度、考えてみます」
アトラはそれから、記録と情報を精査する。
間違っているとメタ視点で分かるからこその箇所は、それもまた歴史らしくていいとも思った。
しかし、自分だけの記録が欲しくなってしまったのだ。
膨大なFF14と言う世界の情報の記録が。
「でも世界設定本、読みこんだわけじゃないし……
その知識を補完しようと思ったら、一体どんだけ過去と未来を行き来しなきゃいけないんだろう」
アトラは厩舎にて、グラニの背を撫でながら皇帝の言葉を反芻していた。
『小難しいことは考えず、お前はお前にしかできないことをすればいいだけの話だ』
アトラはグッと体に力を入れて、天を仰いだ。
「あーだこーだ言う前に、やるしかないか……『光の指先』」
――「私」に導かれたなら、
今度は私が、誰かの夢に火を灯す番だ。
過去を巡る旅も、皇帝エメトセルクとの対峙も、いったんの決着を見せた。
――ならば、次は何をすればいい?
気づけば、日々の仕事に身を任せていた。
文化記録局での仕事は地味だが、確かに“役目”だった。
最近では、職員の間で妙な噂が流れ始めている。
「アトラは皇帝のお気に入り」
「特例扱いされてるらしいよ」
そう囁かれるのも無理はない。
彼女だけは、皇帝の命で文化記録局の書庫――かつては禁書庫だった場所を自由に出入りできるようになった。
だが、アトラは気にしない素振りで仕事を続けていた。
むしろ、“力”を鍛えたり使っていた日々を、懐かしく思うことすらあった。
夢見の力と夢幻の力――あの曖昧で、しかし確かな、世界の狭間にいた時間。
それは、自分が世界のどこにもいないような感覚。
“自分が異世界の人間である”ということを強める証拠。
そして今日もまた、その時間が静かに割り込んでくる。
皇帝が文化記録局に現れる日だ。
「古都アムダプールの資料はあるか」
エメトセルクは、職員たちが固まるのも意に介さず、
記録局で一番良い席に当然のように腰を下ろした。
「お持ちします」
アトラは礼をして、資料棚から該当の巻物や書板を取り出す。
書類の重みが、なぜか心地よい。
資料を、皇帝の座る机の上に静かに並べた。
「帝国から近いエオルゼアの遺跡だからな……
調査することになりそうだ」
資料を斜めに見ながら、エメトセルクは気怠げに言った。
「お前も遠征の準備をしておけ」
「……はい。畏まりました」
アトラは静かに礼をする。
またグラニの世話になるだろうと考えて、アトラは午後に厩舎の様子を見てこようと考えた。
もしかしたら、もうどこかへ自由に飛び立っているかもしれない――そんな気もしていた。
そうであれば、また魔笛で呼び寄せなくてはいけない。
「次なる目標は決まったか?」
「え?」
皇帝は資料に目を落としたまま続けた。
「あんなにしつこいくらい私に話しかけていたというのに、事が終われば用なしか?」
言葉は軽く、冗談めいていた。
けれど、アトラにはその皮肉が、少しだけ本気のように聞こえた。
(あ……ほんとだ。最近、話しかけてない)
――というか、今は皇室付きじゃないし、記録係で部署も違うし……。
言い訳は頭に浮かぶものの、それを言うのも野暮な気がして、アトラは言葉を飲み込んだ。
行動がすべてだ。
もう目標を達成したのだから、あえて近づく理由もない――そう思っていた。
だが、それを決めたのは自分自身だったのだ。
アトラは少しの間を置いて、ためらいがちに口を開いた。
「私は……皇帝陛下への忠誠を――」
誓っています。だから、どこにいても、その気持ちは変わりません。
そう続けようとした瞬間、エメトセルクの言葉が、冷ややかに遮った。
「お前のそれは、忠誠ではない」
そのひとことで、アトラは息をのむ。
まるで、何かが音を立てて崩れ落ちたようだった。
(……ああ、たしかに)
忠誠という言葉に、意味を詰めようとしていた。
けれど、実際は違ったのだ。
思い返せば、アトラはいつも“流れに従って”動いてきた。
魔導城にて雇ってもらった。機会をくれた人に、義理を返すために与えられた役割をこなした。
家族だから、大切にした。
命じられたから、敵と戦った。
けれど、それらはすべて――受動的な選択だった。
花が風に揺れて咲き、やがて静かに散るように。
アトラは世界の流れに逆らうことなく、その場その場で「正しいと思える行動」を選んできただけだった。
忠誠というのは、本来もっと能動的な意志から生まれるものだ。
皇帝の傍にいたいから、誓うもの。
守りたいと望むから、戦うもの。
本質はもっと違う。
忠誠を誓うから、皇帝の傍で働くことが叶う。
大切にしているから、家族だと思える。
自分はそれを逆にしていた。
結果に言葉を貼っていたに過ぎなかったのだ。
「あっ……あ……」
口を開いても、うまく声にならなかった。
ただ呼気だけが、喉から洩れていく。
そして、ようやく言葉がこぼれる。
「……えっ? それなのに……なぜ、私を……信用してくださったのですか?」
アトラの問いに、エメトセルクは少し視線を逸らした。
「……それを、いまさら私に尋ねるのか?」
彼は椅子にもたれ、軽くため息をつく。
「さあな。走り回っているのが愉快だったのかもしれん。
おそらく私に取り入れと命じられただろうに、よりにもよって妙ちきりんな方法で近づいてきたではないか。
皇帝相手に傲慢にも、“ひとりの人間”として接してこようなど……そんな怖いもの知らず、お前くらいなものだろうな」
アトラは内心で「あちゃー。そんなフランクに振る舞ってたのか」と頭を抱える。
自分がどう動いているかなど、本人にはなかなか分からない。
「お前は未熟だ。だが、自分の意志だけは手放さなかった……それが、妙に気になったのだろうよ」
意志。
人が唯一、運命に対抗できる手段。
かつて太陽を象徴した座にいた人たちも、オリハルコン製のような意志の強さだった。
そう、エメトセルクが敬愛していた人たち。
いや、今でも敬愛している人というべきか。
「ともかく、お前の意思で記録をしたらどうだ?
最近のお前は腑抜けているからな
小難しいことは考えず、お前はお前にしかできないことをすればいいだけの話だ」
見届けるのだろう。お前はこれからも。
さっさと自覚して行ってこい。
そう言いたげに、皇帝は資料の観覧を終える。
自らの意思。
記録や情報。
「私にしか、できないこと……」
アトラは夢で会った、未来の自分を思い出す。
「ご助言、感謝いたします。
今一度、考えてみます」
アトラはそれから、記録と情報を精査する。
間違っているとメタ視点で分かるからこその箇所は、それもまた歴史らしくていいとも思った。
しかし、自分だけの記録が欲しくなってしまったのだ。
膨大なFF14と言う世界の情報の記録が。
「でも世界設定本、読みこんだわけじゃないし……
その知識を補完しようと思ったら、一体どんだけ過去と未来を行き来しなきゃいけないんだろう」
アトラは厩舎にて、グラニの背を撫でながら皇帝の言葉を反芻していた。
『小難しいことは考えず、お前はお前にしかできないことをすればいいだけの話だ』
アトラはグッと体に力を入れて、天を仰いだ。
「あーだこーだ言う前に、やるしかないか……『光の指先』」
――「私」に導かれたなら、
今度は私が、誰かの夢に火を灯す番だ。