【FF14】メイドさんの夢旅行
名前変換はこちら。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「突然消えちゃったから、心配していたわ
あなたはどこへでも行けてしまうみたいだから」
メーティオンは、うっすらと笑った。
その声はやさしくて、けれどどこか――空虚だった。
アトラは、久しぶりの再会に少しだけ気が緩む。
「でも、終わるなら同じことよね」
淡々とした言葉で、“死”が告げられる。
アトラは胸元のクリスタルを強く握り、静かに応じた。
「私が終わっても、この世界は終わらない。
あなたが望むような“終わり”には、ならないよ」
メーティオンの瞳が細められる。
「そう。それでも終われば、きっと楽になるわ。
でも……あなた、沈まないのね。もう少しなのに」
「え?」
「絶望に沈んでほしいの」
その言葉は、祈りのように響く。
「安らかな終わりをあげる。
そのうち、この星全体を絶望で覆い尽くしてあげる。
だから、ね? 今のうちに、終わりを迎えましょう? 魂も――消し去って……」
アトラは、思わず笑う。
「いやいや、一回死んでるし。
転生したあとだって、また死にかけたし」
肩をすくめて、向き直る。
「絶望が、私のお腹を満たすとは思えないな。
他の星とは違うんだよ。
私たちは、絶望も希望も……忘れたころに、それを手に入れてる。
何を取るかは、私が決める」
メーティオンはまばたきもせず、アトラを見つめた。
「……そう。いいわ」
メーティオンの声は、まるで深海の底から響くように静かだった。
「ちゃんと、ゆっくりでも……終わらせてあげる。
ぜったいに、最後まで」
メーティオンはゆったりとあたりを見渡す。
「ちょうどよかったから、ここに入ってみたの」
メーティオンは無垢な声で、まるで空き家にでも入ったかのように言う。
「誰かの絶望が、ここでずっと育ってるの……」
「誰かって?」
「アゼムって人よ。
でも結界を張って、アーテリスに満ちるのを防いでいるみたい」
「どこにいるの!?」
「さあ。絶望と溶け合って、わからなくなったみたい……」
アトラは、胸元のクリスタルを両手で包み込む。
強く、強く――祈る。
ここまで来て、祈ることしかできないなんて。
情けなくて、やるせなくて……けれど、知っている。
弱く生きてきたからこそ、最後に残るのが祈りだけだということも。
アゼムの絶望したデュナミスも、
メーティオンが感じた、世界を埋め尽くす絶望のデュナミスも――
この祈りでは、到底かなわないかもしれない。
けれど。
デュナミスは、デュナミス。
想いの力なら、まだ届くかもしれない。
この命が終わるというなら、命を燃やし尽くしてでも、思いを届ける。
「お願い……生きていて、アゼム様。どうか……答えて……」
けれど――どんな祈りも、どれほどの願いも、欠片ひとつとして返ってこない。
アトラは、震える息を吐き、ふつふつと怒りを湧かせた。
「あーーもう! 運命、手繰り寄せてくれよ!
稀なるツワモノたちよ!」
ヤケクソだ。断片的に、ゲームのセリフを叫ぶ。
しん……と、むなしい虚空は何の反応も見せない。
「こういうときは……原作既知チートで、なんとかなる展開ってやつ……えーと」
アトラは自分に言い聞かせるように、あれこれと思考を巡らせる。
「そうだ! 私も“エンテレケイア”ってことは、ポジティブな思いや希望がヒントになるはず……!
さっきからなんか思い詰めてたから……」
縮こまり、膝を抱えて唸る。
立ち上がる。
うろうろする。
崩れたエメトセルクの前を、行ったり来たり。
「どうしよう、うまくいかない。私の……希望って……あたしの……」
脳みそをしぼりにしぼっても、満足のいく答えは出てこない。
夢幻の力は、まるで「それじゃない」と拒むように、働いてくれない。
――ぽつり。
音がした。
「こんなところで……終わるものか……」
「――え?」
アトラが振り返る。
焦点の合わない金の目をしたエメトセルクが、虚空に向かって言葉を紡いでいた。
アトラは息を飲み、耳を澄ます。
「……この星を……救う。善き人々の、希望を……
私たちの、願いを――」
寝言のような声。けれど、魂の奥底から絞り出すような声。
エメトセルク。
彼が十四人委員会に選ばれた理由。
冥界と呼ばれるエーテル界を視る力。
そして――星を思う、深い心があったからこそ。
(私……私、一人の希望ばかり考えてた。
あたし、バカだ……
そうじゃない――そうじゃなかったんだ
みんなの希望だ。ヴェーネス様、カロンさん、エメトセルク様……
それから――光の戦士になる、アゼム様)
「うんうん。そうだ、そうだそうだ。
すっかりそういう考え、抜けてた。
エメトセルク様の言う通りですね」
アトラは、ふっと笑った。
「終末を本当に退けて、星を救った人たちを――
私だけは、ちゃんと知ってるんだった。
星を助ける“希望”を、私は知ってた」
暁の血盟。そこからエオルゼア各国の人たち。
星の意思、ハイデリン。
たくさんの、光の戦士たち。
アトラは、もう一度、星――アーテリスを想って目を閉じる。
古代人とエオルゼアの人々が共に住むという、自分の理想は関係ない。
ただ、この星の希望を――まっすぐに、思う。
アトラの夢幻の力とデュナミスが、その心を“希望”の色に染めていく。
「お願い。あなたの意思を継ぐ人を……救って……」
その瞬間、アトラの胸元のクリスタルが、小さく光を放つ。
「それは――」
メーティオンの言葉が終わる前に、アトラの身体が引っ張られる。
――ざぶん。
ひゅるりと、アトラは“そこ”へと沈んでいく。落ちるのではなく、ゆっくりと。
アリスはウサギの穴に落ちても、トマトみたいに弾けたりはしない。
ふわりふわりと、落ちていった。
不思議の国には、愉快な変な仲間たちが……いるわけもなく。
アトラはふわりと降り立つ。
ただ、寂しい空間に、ぽつんと――膝を抱えた、影がひとつ。
メーティオンも、エメトセルクも、もうそこにはいなかった。
胸元のクリスタルが、かすかに瞬いていた。
あなたはどこへでも行けてしまうみたいだから」
メーティオンは、うっすらと笑った。
その声はやさしくて、けれどどこか――空虚だった。
アトラは、久しぶりの再会に少しだけ気が緩む。
「でも、終わるなら同じことよね」
淡々とした言葉で、“死”が告げられる。
アトラは胸元のクリスタルを強く握り、静かに応じた。
「私が終わっても、この世界は終わらない。
あなたが望むような“終わり”には、ならないよ」
メーティオンの瞳が細められる。
「そう。それでも終われば、きっと楽になるわ。
でも……あなた、沈まないのね。もう少しなのに」
「え?」
「絶望に沈んでほしいの」
その言葉は、祈りのように響く。
「安らかな終わりをあげる。
そのうち、この星全体を絶望で覆い尽くしてあげる。
だから、ね? 今のうちに、終わりを迎えましょう? 魂も――消し去って……」
アトラは、思わず笑う。
「いやいや、一回死んでるし。
転生したあとだって、また死にかけたし」
肩をすくめて、向き直る。
「絶望が、私のお腹を満たすとは思えないな。
他の星とは違うんだよ。
私たちは、絶望も希望も……忘れたころに、それを手に入れてる。
何を取るかは、私が決める」
メーティオンはまばたきもせず、アトラを見つめた。
「……そう。いいわ」
メーティオンの声は、まるで深海の底から響くように静かだった。
「ちゃんと、ゆっくりでも……終わらせてあげる。
ぜったいに、最後まで」
メーティオンはゆったりとあたりを見渡す。
「ちょうどよかったから、ここに入ってみたの」
メーティオンは無垢な声で、まるで空き家にでも入ったかのように言う。
「誰かの絶望が、ここでずっと育ってるの……」
「誰かって?」
「アゼムって人よ。
でも結界を張って、アーテリスに満ちるのを防いでいるみたい」
「どこにいるの!?」
「さあ。絶望と溶け合って、わからなくなったみたい……」
アトラは、胸元のクリスタルを両手で包み込む。
強く、強く――祈る。
ここまで来て、祈ることしかできないなんて。
情けなくて、やるせなくて……けれど、知っている。
弱く生きてきたからこそ、最後に残るのが祈りだけだということも。
アゼムの絶望したデュナミスも、
メーティオンが感じた、世界を埋め尽くす絶望のデュナミスも――
この祈りでは、到底かなわないかもしれない。
けれど。
デュナミスは、デュナミス。
想いの力なら、まだ届くかもしれない。
この命が終わるというなら、命を燃やし尽くしてでも、思いを届ける。
「お願い……生きていて、アゼム様。どうか……答えて……」
けれど――どんな祈りも、どれほどの願いも、欠片ひとつとして返ってこない。
アトラは、震える息を吐き、ふつふつと怒りを湧かせた。
「あーーもう! 運命、手繰り寄せてくれよ!
稀なるツワモノたちよ!」
ヤケクソだ。断片的に、ゲームのセリフを叫ぶ。
しん……と、むなしい虚空は何の反応も見せない。
「こういうときは……原作既知チートで、なんとかなる展開ってやつ……えーと」
アトラは自分に言い聞かせるように、あれこれと思考を巡らせる。
「そうだ! 私も“エンテレケイア”ってことは、ポジティブな思いや希望がヒントになるはず……!
さっきからなんか思い詰めてたから……」
縮こまり、膝を抱えて唸る。
立ち上がる。
うろうろする。
崩れたエメトセルクの前を、行ったり来たり。
「どうしよう、うまくいかない。私の……希望って……あたしの……」
脳みそをしぼりにしぼっても、満足のいく答えは出てこない。
夢幻の力は、まるで「それじゃない」と拒むように、働いてくれない。
――ぽつり。
音がした。
「こんなところで……終わるものか……」
「――え?」
アトラが振り返る。
焦点の合わない金の目をしたエメトセルクが、虚空に向かって言葉を紡いでいた。
アトラは息を飲み、耳を澄ます。
「……この星を……救う。善き人々の、希望を……
私たちの、願いを――」
寝言のような声。けれど、魂の奥底から絞り出すような声。
エメトセルク。
彼が十四人委員会に選ばれた理由。
冥界と呼ばれるエーテル界を視る力。
そして――星を思う、深い心があったからこそ。
(私……私、一人の希望ばかり考えてた。
あたし、バカだ……
そうじゃない――そうじゃなかったんだ
みんなの希望だ。ヴェーネス様、カロンさん、エメトセルク様……
それから――光の戦士になる、アゼム様)
「うんうん。そうだ、そうだそうだ。
すっかりそういう考え、抜けてた。
エメトセルク様の言う通りですね」
アトラは、ふっと笑った。
「終末を本当に退けて、星を救った人たちを――
私だけは、ちゃんと知ってるんだった。
星を助ける“希望”を、私は知ってた」
暁の血盟。そこからエオルゼア各国の人たち。
星の意思、ハイデリン。
たくさんの、光の戦士たち。
アトラは、もう一度、星――アーテリスを想って目を閉じる。
古代人とエオルゼアの人々が共に住むという、自分の理想は関係ない。
ただ、この星の希望を――まっすぐに、思う。
アトラの夢幻の力とデュナミスが、その心を“希望”の色に染めていく。
「お願い。あなたの意思を継ぐ人を……救って……」
その瞬間、アトラの胸元のクリスタルが、小さく光を放つ。
「それは――」
メーティオンの言葉が終わる前に、アトラの身体が引っ張られる。
――ざぶん。
ひゅるりと、アトラは“そこ”へと沈んでいく。落ちるのではなく、ゆっくりと。
アリスはウサギの穴に落ちても、トマトみたいに弾けたりはしない。
ふわりふわりと、落ちていった。
不思議の国には、愉快な変な仲間たちが……いるわけもなく。
アトラはふわりと降り立つ。
ただ、寂しい空間に、ぽつんと――膝を抱えた、影がひとつ。
メーティオンも、エメトセルクも、もうそこにはいなかった。
胸元のクリスタルが、かすかに瞬いていた。