【FF14】メイドさんの夢旅行
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翌朝。
アトラが目を覚ますと、他の三人はすでに起きていて、出発の準備を進めていた。
仮面とフードも元通り、みな当たり前として身に着けている。
アトラはそれが古代らしく好きではあるのだが、昨日のキャンプを思うと寂しくも感じていた。
寝ぼけまなこをこすりながら、アトラも慌ただしく支度を整え、簡単に朝食を済ませる。
「起きたか、アティウス」
歩み寄ったところで、エメトセルクが当然のように手を伸ばしてきた。
「あ、おはようござ――」
挨拶の途中で、彼はアトラの身体をひょいと抱き上げる。
驚く間もなく、アトラはエメトセルクの使い魔の背に乗せられていた。
「え、ちょちょちょ、何ですか、これ……!」
ちょっと目を見開いたものの、結局は素直に身を預ける。
「おい、何驚いてる。昨日の話を聞いてなかったのか」
――あっ。
アトラはその瞬間、昨夜の話し合いで、わざわざエメトセルクがもう一度説明した内容を思い出した。
広大な『星見の頂』――明日は快晴だろうと予想をつけ、使い魔で移動することに決まったのだった。
「そういえば、そうでした」
自分の失態をごまかすかのように、アトラは頭の後ろをかいた。
「お前な……」
(とはいえ、寝起きに子どものように抱えあげられるのはさすがにびっくりするよ……)
ちょうどそのとき、夜明けの光が空を満たし始め、『星見の頂』の広大な景色が露わになる。
この山のどこかに、アゼム――もしくはその痕跡があるのかもしれない。
「行きましょうか」
テントをすっかり片付け終えたヴェーネスが、自身の使い魔・アルゴスに乗って合図を送る。
気づけば、カロンもすでに自分の使い魔に乗っていた。
アトラはてっきりカロンと相乗りになるかと思っていたが――話し合いの結果、エメトセルクと組むことに決まっていたらしい。
今の戦力バランスを踏まえた布陣として、カロンは斥候として自由に動けるように単独行動。
ヴェーネスは盾役として前線を支え、エメトセルクは後方支援の遠距離魔術師として控える。
そして、後方で幻術を扱うアトラがエメトセルクと行動を共にする――それが、彼らの決定だった。
しばらく、風に揺れる草原を進むと、一枚の注意書きが目に入った。
“山の異変調査
燃える森の対処”
「どうやら、森の方に異変が出ているようですね」
ヴェーネスが呟くと、他の者たちも静かに頷いた。
「ここだな」
エメトセルクは地図を広げ、赤い印をつける。
彼のすぐ前に座っていたアトラは、その手元を遠慮なくのぞき込んだ。
アゼムが向かったと思しき場所。
全員の視線が、地図のその一点に集まる。
「……入ってみましょう」
ヴェーネスが静かに言い、一行は『星見の頂』にある森の中へと向かい始めた。
キャンプ場の看板と似た文体の注意書き――それが、アゼムがここで調査をしている痕跡かもしれない。
もちろん、すでに去っている可能性もある。
だが、今のところ頼れる情報はこれしかない。
木々が重なる森の入り口に差しかかったとき、先頭を行くヴェーネスがふと足を止める。
「……おや?」
「どうした?」
「もしかして、これは――」
ヴェーネスが言いかけたその瞬間、一行は何かに“吸い込まれた”。
空間がねじれ、まるで吐き出されるように地面へと叩きつけられる。
どん、と鈍い衝撃。
重力が狂ったような感覚に、全身の平衡感覚が失われる。
カロンは地面に手をつきながら、ぐらぐらと揺れる視界に歯を食いしばった。
船酔いに似た吐き気が喉元までこみ上げてくる。
「ぐぇ……い、今のは……いったい……」
ヴェーネスもふらつきながら立ち上がり、エメトセルクは一段と眉間にシワを寄せ、まずはアトラの様子を確かめるように視線を向けた。
アトラは気分が悪くなりながらも、ずっと使い魔の上にいたおかげで、遠慮なくぐったりしている。
「……おそらく、結界だろう。何らかの侵入制限が張られていた可能性がある」
「えっ……け、結界?」
アトラはあっという間に気分が悪くなった正体に驚く。
「だが結界の亀裂に、運悪く引きずり込まれたらしい。今はもう、痕跡も消えている」
エメトセルクはエーテルを操作して周囲を“視る”が、空間を乱した形跡はすでに掻き消えていた。
「……ハァ。仕方ない。こうなった以上、進むしかないか」
忌々しげに髪をかき上げながら、エメトセルクがぼやく。
「そうですね。このまま、突破してしまいましょう」
気乗りしないエメトセルクに対し、ヴェーネスは逆に頼もしげな表情を浮かべる。
カロンはしばらく唖然としていたが、「まあ、あの二人がいれば大丈夫か!」と、気楽そうに一歩を踏み出した。
山の空気は澄んでいて、吸い込むたびに肺が清められるようだった。
一行は静かに歩みを進める。
――まだ眠る森を、起こさないように。
「……おかしい。エーテルの流れが妙だ」
エメトセルクが低く呟く。
その一言がきっかけになったのか、空は赤く染まる。
暗雲が膨らみ、あたりは不気味なほどに暗くなる。
空が裂けるような、耳鳴りにも似た音。
やがて、重く鈍いものが空を裂いて落ちてくる。
隕石――いや、“何か”が、空から降っている
「報告で聞いていた、終末……? これが――」
逃げなくてはいけないのに、あまりの現状に理解を追いつかせようとエメトセルクは凝視する。
彼の特異なエーテルを視る目には……なにも映らなかった。
腐り堕ちるエーテル。エーテルの流れが、泥のように濁ってゆく。
色を失い、命の芯を腐らせながら沈む
手綱を握る力が強くなる。
「ああ……そんな……」
ヴェーネスは“とうとう”という顔をする。
彼女だけは知っていた。この世界に終末が下りることを。
その準備をずっとしてきた。
「まさか、こんなに早く届いていたなんて……あの子の封印が、押しとどめていたというの……?」
封印の気配から、古代人たちはわかっていた。誰が築いた結界なのか。
どんな理屈で築かれたものか、ここにいる者たちに知る由もない。
「“絶望”……」
アトラも、ゲームの世界だけの映像でしか知らないものだった。
ガレマール帝国も、荘厳なアーモロートも――この降り注ぐ絶望も。
ただわかるのは――
「みなさん! 異常の発生源、特定できました。――向かいますか?」
緊張を裂くように、カロンの声が響いた。
絶望に対抗するには、ただ、動くしかない。
すでにクリスタル状の測定器で異変の座標を割り出していたカロンは、即座に行動を促す。
エメトセルクとヴェーネスは、咄嗟にその声へと振り返った。
彼らの目に、僅かに熱が戻る。
凍てついていた心が、再び立ち上がる術を思い出す。
アトラはというと――ただ、希望を見失わないようにと胸元のクリスタルを握りしめていた。
カロンの測定器を囲み、四人が集まる。
「エーテル反応、ここだけが“沈黙”しています。
ごく狭い範囲ですが、反応は完全に途絶えています。
ほかの地点には、異常な乱れすら確認できない。
……この一点だけが、ぽっかりと“消えている”」
カロンの指が、地図の一点を示す。
ヴェーネスが静かに呟く。
「――これは、まだ“終末”ではない」
彼女の記憶が告げている。
メーティオンはもうこの星にはいない。
巣を築くとすれば、それはこのアーテリスのどこでもないはずだった。
それなのに、今、ここに“消失域”がある――この事実そのものが異常なのだ。
直感と理性の両方が告げていた。
これは、“誰かの意思によって再現された”何かだ。
「……行きましょう。私が、先陣を切ります」
そう言って、ヴェーネスはすでにアルゴスと進み始めた。
アトラが目を覚ますと、他の三人はすでに起きていて、出発の準備を進めていた。
仮面とフードも元通り、みな当たり前として身に着けている。
アトラはそれが古代らしく好きではあるのだが、昨日のキャンプを思うと寂しくも感じていた。
寝ぼけまなこをこすりながら、アトラも慌ただしく支度を整え、簡単に朝食を済ませる。
「起きたか、アティウス」
歩み寄ったところで、エメトセルクが当然のように手を伸ばしてきた。
「あ、おはようござ――」
挨拶の途中で、彼はアトラの身体をひょいと抱き上げる。
驚く間もなく、アトラはエメトセルクの使い魔の背に乗せられていた。
「え、ちょちょちょ、何ですか、これ……!」
ちょっと目を見開いたものの、結局は素直に身を預ける。
「おい、何驚いてる。昨日の話を聞いてなかったのか」
――あっ。
アトラはその瞬間、昨夜の話し合いで、わざわざエメトセルクがもう一度説明した内容を思い出した。
広大な『星見の頂』――明日は快晴だろうと予想をつけ、使い魔で移動することに決まったのだった。
「そういえば、そうでした」
自分の失態をごまかすかのように、アトラは頭の後ろをかいた。
「お前な……」
(とはいえ、寝起きに子どものように抱えあげられるのはさすがにびっくりするよ……)
ちょうどそのとき、夜明けの光が空を満たし始め、『星見の頂』の広大な景色が露わになる。
この山のどこかに、アゼム――もしくはその痕跡があるのかもしれない。
「行きましょうか」
テントをすっかり片付け終えたヴェーネスが、自身の使い魔・アルゴスに乗って合図を送る。
気づけば、カロンもすでに自分の使い魔に乗っていた。
アトラはてっきりカロンと相乗りになるかと思っていたが――話し合いの結果、エメトセルクと組むことに決まっていたらしい。
今の戦力バランスを踏まえた布陣として、カロンは斥候として自由に動けるように単独行動。
ヴェーネスは盾役として前線を支え、エメトセルクは後方支援の遠距離魔術師として控える。
そして、後方で幻術を扱うアトラがエメトセルクと行動を共にする――それが、彼らの決定だった。
しばらく、風に揺れる草原を進むと、一枚の注意書きが目に入った。
“山の異変調査
燃える森の対処”
「どうやら、森の方に異変が出ているようですね」
ヴェーネスが呟くと、他の者たちも静かに頷いた。
「ここだな」
エメトセルクは地図を広げ、赤い印をつける。
彼のすぐ前に座っていたアトラは、その手元を遠慮なくのぞき込んだ。
アゼムが向かったと思しき場所。
全員の視線が、地図のその一点に集まる。
「……入ってみましょう」
ヴェーネスが静かに言い、一行は『星見の頂』にある森の中へと向かい始めた。
キャンプ場の看板と似た文体の注意書き――それが、アゼムがここで調査をしている痕跡かもしれない。
もちろん、すでに去っている可能性もある。
だが、今のところ頼れる情報はこれしかない。
木々が重なる森の入り口に差しかかったとき、先頭を行くヴェーネスがふと足を止める。
「……おや?」
「どうした?」
「もしかして、これは――」
ヴェーネスが言いかけたその瞬間、一行は何かに“吸い込まれた”。
空間がねじれ、まるで吐き出されるように地面へと叩きつけられる。
どん、と鈍い衝撃。
重力が狂ったような感覚に、全身の平衡感覚が失われる。
カロンは地面に手をつきながら、ぐらぐらと揺れる視界に歯を食いしばった。
船酔いに似た吐き気が喉元までこみ上げてくる。
「ぐぇ……い、今のは……いったい……」
ヴェーネスもふらつきながら立ち上がり、エメトセルクは一段と眉間にシワを寄せ、まずはアトラの様子を確かめるように視線を向けた。
アトラは気分が悪くなりながらも、ずっと使い魔の上にいたおかげで、遠慮なくぐったりしている。
「……おそらく、結界だろう。何らかの侵入制限が張られていた可能性がある」
「えっ……け、結界?」
アトラはあっという間に気分が悪くなった正体に驚く。
「だが結界の亀裂に、運悪く引きずり込まれたらしい。今はもう、痕跡も消えている」
エメトセルクはエーテルを操作して周囲を“視る”が、空間を乱した形跡はすでに掻き消えていた。
「……ハァ。仕方ない。こうなった以上、進むしかないか」
忌々しげに髪をかき上げながら、エメトセルクがぼやく。
「そうですね。このまま、突破してしまいましょう」
気乗りしないエメトセルクに対し、ヴェーネスは逆に頼もしげな表情を浮かべる。
カロンはしばらく唖然としていたが、「まあ、あの二人がいれば大丈夫か!」と、気楽そうに一歩を踏み出した。
山の空気は澄んでいて、吸い込むたびに肺が清められるようだった。
一行は静かに歩みを進める。
――まだ眠る森を、起こさないように。
「……おかしい。エーテルの流れが妙だ」
エメトセルクが低く呟く。
その一言がきっかけになったのか、空は赤く染まる。
暗雲が膨らみ、あたりは不気味なほどに暗くなる。
空が裂けるような、耳鳴りにも似た音。
やがて、重く鈍いものが空を裂いて落ちてくる。
隕石――いや、“何か”が、空から降っている
「報告で聞いていた、終末……? これが――」
逃げなくてはいけないのに、あまりの現状に理解を追いつかせようとエメトセルクは凝視する。
彼の特異なエーテルを視る目には……なにも映らなかった。
腐り堕ちるエーテル。エーテルの流れが、泥のように濁ってゆく。
色を失い、命の芯を腐らせながら沈む
手綱を握る力が強くなる。
「ああ……そんな……」
ヴェーネスは“とうとう”という顔をする。
彼女だけは知っていた。この世界に終末が下りることを。
その準備をずっとしてきた。
「まさか、こんなに早く届いていたなんて……あの子の封印が、押しとどめていたというの……?」
封印の気配から、古代人たちはわかっていた。誰が築いた結界なのか。
どんな理屈で築かれたものか、ここにいる者たちに知る由もない。
「“絶望”……」
アトラも、ゲームの世界だけの映像でしか知らないものだった。
ガレマール帝国も、荘厳なアーモロートも――この降り注ぐ絶望も。
ただわかるのは――
「みなさん! 異常の発生源、特定できました。――向かいますか?」
緊張を裂くように、カロンの声が響いた。
絶望に対抗するには、ただ、動くしかない。
すでにクリスタル状の測定器で異変の座標を割り出していたカロンは、即座に行動を促す。
エメトセルクとヴェーネスは、咄嗟にその声へと振り返った。
彼らの目に、僅かに熱が戻る。
凍てついていた心が、再び立ち上がる術を思い出す。
アトラはというと――ただ、希望を見失わないようにと胸元のクリスタルを握りしめていた。
カロンの測定器を囲み、四人が集まる。
「エーテル反応、ここだけが“沈黙”しています。
ごく狭い範囲ですが、反応は完全に途絶えています。
ほかの地点には、異常な乱れすら確認できない。
……この一点だけが、ぽっかりと“消えている”」
カロンの指が、地図の一点を示す。
ヴェーネスが静かに呟く。
「――これは、まだ“終末”ではない」
彼女の記憶が告げている。
メーティオンはもうこの星にはいない。
巣を築くとすれば、それはこのアーテリスのどこでもないはずだった。
それなのに、今、ここに“消失域”がある――この事実そのものが異常なのだ。
直感と理性の両方が告げていた。
これは、“誰かの意思によって再現された”何かだ。
「……行きましょう。私が、先陣を切ります」
そう言って、ヴェーネスはすでにアルゴスと進み始めた。