【FF14】メイドさんの夢旅行
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アトラはクリスタルをそっと首に戻す。
「私は……古代の人々が暮らす世界に行ってきました。その時代で、ディアナさんとよく似た人と会って――」
アトラは言葉を選びながら、首元の小さなクリスタルに触れる。
それをテーブルの上にそっと置くと、淡い光が周囲を照らした。
「……お手伝いします、と約束したんです。その人に」
それを見つめながら、ディアナが小さく息をのむ。
「……どうやって、そんな時代に?」
「眠ると、どこか別の場所に意識が飛ぶんです。気づいたら、そこにいました。
私は“夢見の力”と呼んでいます」
「……突拍子もないけど、すごい力。工作員の仕事に欲しいくらい
それにしても、移動に、夢見、かあ……」
ディアナの声に、思わず感嘆がにじむ。
遠い場所へ、誰にも知られずに到達できる力。
情報を集め、何も残さず去る――そんな能力の価値は計り知れない。
もし自分がこの力を持っていたら。
アトラがどれほど意図的に操れるかはわからない。
それでも、戦略的な価値としては十分に“脅威”だった。
「えっ、工作員って……」
「うん。私は工作員」
「ってことは……」
「そう。二重スパイってこと」
アトラは一瞬、ぽかんとし――次の瞬間、目を輝かせた。
「か、かっこいい……!」
「んふ。ありがとう。アトラちゃんには、本当のことを知っておいてほしかったの」
ディアナは苦笑しつつ、グラスを軽く傾けた。
「私も、この星の未来のためなら、なんだって構わないの。
世界統合を止める方法も、終末に抗う手段も……何年もかけて準備してきたのよ」
アトラは、ディアナがただ者ではないと感じていた。
だが、まさかアシエンとハイデリン、相反する二つの陣営を行き来するスパイだったとは。
――まるで、両翼を持つ鳥。
言葉を飲み込むようにして、アトラは問いかけた。
「……どうして、それを私に?」
ディアナはふっと笑みを浮かべ、揺れるグラス越しに視線を寄せる。
「んふ。勘は昔から、ちょっといいのよ。
あなたが、信じていい人かどうか。
もちろん、根拠はそれだけじゃないけどね。
今はまだ秘密」
その目がまっすぐに、アトラを見つめていた。
酒の色を映したオレンジの瞳――夕暮れの星空のように、深くて温かい光がそこにあった。
ややあって、ディアナが静かに口を開く。
「アトラちゃん。あなた……アシエンのことも、知ってるの?」
「はい。――夢の中で、見ました」
正確には、前世で見たこと。
「夢……?」
その響きに、ディアナが興味深そうに身を乗り出す――と思った次の瞬間、
――わしっ!
「おしえてええええええ!!」
アトラの手をがっしりと握りしめ、ディアナが絶叫した。
潤んだ目で縋るように見つめてくる。
「あたし、光の使徒じゃないからハイデリンと直接話せないし!
“師匠”は何にも教えてくれないし!
もう、超・苦労してんのよぉ〜〜〜!!」
不満と嘆きが、堰を切ったようにあふれ出す。
アトラは目をぱちぱちさせながら、ただ圧倒されていた。
「私は“光の指先”っていうサポートチームの一員なの。
“光の戦士”じゃなくて、“補佐官”って感じ!
師匠はハイデリンと対話できる“超える力”の持ち主なんだけど――それも夢みたいなもんよね?
それで師匠は『未来が変わるのが怖いから』って、何も教えてくれないのよ!!」
ディアナは息をつく間もなくまくし立てる。
彼女が所属する「光の指先」は、星の意志・ハイデリンを支える補助組織。
そのリーダー――ディアナが「師匠」と呼ぶ存在――は、“超える力”でハイデリンの言葉を受け取れる唯一の人物だ。
だが、その力には制約がある。
未来を変えてしまう危険を避けるため、師匠は重要な情報を決して明かさない。
さらに「光の指先」は、アシエンの監視任務も担っていた。
中でも、ディアナの役割は――エメトセルクの監視と記録。
光の加護を受けた存在では、アシエンはそれを見抜いてしまうため、アシエンとの接触に支障が出てしまう。
だからこそ、中立に近い立場であるディアナが任務に抜擢されたのだった。
……とはいえ、ハイデリンからは念を押されている。
「アシエンがいなくなるのも困るから、あくまで監視と記録だけ」と。
「……って感じで!! こっちもいろいろ大変なのよッ!」
ひとしきりまくし立てたあと、ディアナは人差し指をピッと立てた。
「つまり、仕事っていっても“監視と報告”だけなのよ!」
アトラは驚いて、ぱちくりと瞬きをした。
(ゲーム本編にそんな組織、あったっけ……?)
まさか、そんな存在が裏で動いていたとは。
そしてディアナ本人は――
「できることが少ないのっ! 私は、もっと仕事で結果を出したいのー!」
野心家だった。思った以上に。
ディアナはワイングラスをぐいっと飲み干し、ぽんとテーブルに置く。
「そんなときに、アトラちゃんが現れたの。夢とか超える力とか関係なく、私には“救世主”なのよ!」
両手を広げ、大げさな嘆き。
「お願い、助けて! あたしもう27よ!? このまま何も成せずに老いるなんて、絶対イヤ!」
アトラは思わず、くすりと笑った。
「なんというか……ディアナさんっぽいです」
身振り手振りの大きさ、きらきら光る瞳。
アトラの記憶の中で、どこか懐かしい面影が重なる。
アトラが初めて会ったときのディアナは、どこか謎めいた雰囲気をまとった明るいス人だった。
しかし――かつて、ハイデリンを助けると言っていた彼女。
その情熱と、今のディアナの熱気は、どこか似ていた。
期待に満ちた瞳が、まっすぐアトラを見つめていた。
「そお? ま、とにかく、どう? アトラちゃん、どう!?」
「いや、ハイデリンが話さなかったことを私が言ったら、ダメでしょ」
「でも、なんでダメなのかも知りたい!」
「……過去を語れば、未来が変わるかもしれない。だから、かも」
「……それも師匠から聞いた言葉ね」
二人はそのまま、ああでもないこうでもないと情報を出し合い、終末の原因や“光の戦士”の可能性について語った。
アトラは思う。
自分はメタ的な視点でこの世界を見ている。
ハイデリンが曖昧なのは、ゲームのシナリオが未完成だったから。
けれど、曖昧だからこそ、世界は広がる余地があり、今も続いている。
矛盾があってもいい。大事なのは、「楽しい物語」であること。
それこそがこの世界の作られた方向性。
そうして、語り明かした二人はそれぞれの場所へ戻った。
アトラは牢のベッドに、ディアナはどこか秘密の寝床に。
手帳に今日の出来事を記し、寝台に横たわり、アトラは天井を見つめながら思う。
——たとえディアナさんが裏切っても、それも彼女らしいなら、いい。
私は、彼女の情熱を信じたい。
そのとき、不意にアゼムの背中が脳裏をよぎる。
それが何を意味するのか考える間もなく、静かな眠りが訪れた。
「私は……古代の人々が暮らす世界に行ってきました。その時代で、ディアナさんとよく似た人と会って――」
アトラは言葉を選びながら、首元の小さなクリスタルに触れる。
それをテーブルの上にそっと置くと、淡い光が周囲を照らした。
「……お手伝いします、と約束したんです。その人に」
それを見つめながら、ディアナが小さく息をのむ。
「……どうやって、そんな時代に?」
「眠ると、どこか別の場所に意識が飛ぶんです。気づいたら、そこにいました。
私は“夢見の力”と呼んでいます」
「……突拍子もないけど、すごい力。工作員の仕事に欲しいくらい
それにしても、移動に、夢見、かあ……」
ディアナの声に、思わず感嘆がにじむ。
遠い場所へ、誰にも知られずに到達できる力。
情報を集め、何も残さず去る――そんな能力の価値は計り知れない。
もし自分がこの力を持っていたら。
アトラがどれほど意図的に操れるかはわからない。
それでも、戦略的な価値としては十分に“脅威”だった。
「えっ、工作員って……」
「うん。私は工作員」
「ってことは……」
「そう。二重スパイってこと」
アトラは一瞬、ぽかんとし――次の瞬間、目を輝かせた。
「か、かっこいい……!」
「んふ。ありがとう。アトラちゃんには、本当のことを知っておいてほしかったの」
ディアナは苦笑しつつ、グラスを軽く傾けた。
「私も、この星の未来のためなら、なんだって構わないの。
世界統合を止める方法も、終末に抗う手段も……何年もかけて準備してきたのよ」
アトラは、ディアナがただ者ではないと感じていた。
だが、まさかアシエンとハイデリン、相反する二つの陣営を行き来するスパイだったとは。
――まるで、両翼を持つ鳥。
言葉を飲み込むようにして、アトラは問いかけた。
「……どうして、それを私に?」
ディアナはふっと笑みを浮かべ、揺れるグラス越しに視線を寄せる。
「んふ。勘は昔から、ちょっといいのよ。
あなたが、信じていい人かどうか。
もちろん、根拠はそれだけじゃないけどね。
今はまだ秘密」
その目がまっすぐに、アトラを見つめていた。
酒の色を映したオレンジの瞳――夕暮れの星空のように、深くて温かい光がそこにあった。
ややあって、ディアナが静かに口を開く。
「アトラちゃん。あなた……アシエンのことも、知ってるの?」
「はい。――夢の中で、見ました」
正確には、前世で見たこと。
「夢……?」
その響きに、ディアナが興味深そうに身を乗り出す――と思った次の瞬間、
――わしっ!
「おしえてええええええ!!」
アトラの手をがっしりと握りしめ、ディアナが絶叫した。
潤んだ目で縋るように見つめてくる。
「あたし、光の使徒じゃないからハイデリンと直接話せないし!
“師匠”は何にも教えてくれないし!
もう、超・苦労してんのよぉ〜〜〜!!」
不満と嘆きが、堰を切ったようにあふれ出す。
アトラは目をぱちぱちさせながら、ただ圧倒されていた。
「私は“光の指先”っていうサポートチームの一員なの。
“光の戦士”じゃなくて、“補佐官”って感じ!
師匠はハイデリンと対話できる“超える力”の持ち主なんだけど――それも夢みたいなもんよね?
それで師匠は『未来が変わるのが怖いから』って、何も教えてくれないのよ!!」
ディアナは息をつく間もなくまくし立てる。
彼女が所属する「光の指先」は、星の意志・ハイデリンを支える補助組織。
そのリーダー――ディアナが「師匠」と呼ぶ存在――は、“超える力”でハイデリンの言葉を受け取れる唯一の人物だ。
だが、その力には制約がある。
未来を変えてしまう危険を避けるため、師匠は重要な情報を決して明かさない。
さらに「光の指先」は、アシエンの監視任務も担っていた。
中でも、ディアナの役割は――エメトセルクの監視と記録。
光の加護を受けた存在では、アシエンはそれを見抜いてしまうため、アシエンとの接触に支障が出てしまう。
だからこそ、中立に近い立場であるディアナが任務に抜擢されたのだった。
……とはいえ、ハイデリンからは念を押されている。
「アシエンがいなくなるのも困るから、あくまで監視と記録だけ」と。
「……って感じで!! こっちもいろいろ大変なのよッ!」
ひとしきりまくし立てたあと、ディアナは人差し指をピッと立てた。
「つまり、仕事っていっても“監視と報告”だけなのよ!」
アトラは驚いて、ぱちくりと瞬きをした。
(ゲーム本編にそんな組織、あったっけ……?)
まさか、そんな存在が裏で動いていたとは。
そしてディアナ本人は――
「できることが少ないのっ! 私は、もっと仕事で結果を出したいのー!」
野心家だった。思った以上に。
ディアナはワイングラスをぐいっと飲み干し、ぽんとテーブルに置く。
「そんなときに、アトラちゃんが現れたの。夢とか超える力とか関係なく、私には“救世主”なのよ!」
両手を広げ、大げさな嘆き。
「お願い、助けて! あたしもう27よ!? このまま何も成せずに老いるなんて、絶対イヤ!」
アトラは思わず、くすりと笑った。
「なんというか……ディアナさんっぽいです」
身振り手振りの大きさ、きらきら光る瞳。
アトラの記憶の中で、どこか懐かしい面影が重なる。
アトラが初めて会ったときのディアナは、どこか謎めいた雰囲気をまとった明るいス人だった。
しかし――かつて、ハイデリンを助けると言っていた彼女。
その情熱と、今のディアナの熱気は、どこか似ていた。
期待に満ちた瞳が、まっすぐアトラを見つめていた。
「そお? ま、とにかく、どう? アトラちゃん、どう!?」
「いや、ハイデリンが話さなかったことを私が言ったら、ダメでしょ」
「でも、なんでダメなのかも知りたい!」
「……過去を語れば、未来が変わるかもしれない。だから、かも」
「……それも師匠から聞いた言葉ね」
二人はそのまま、ああでもないこうでもないと情報を出し合い、終末の原因や“光の戦士”の可能性について語った。
アトラは思う。
自分はメタ的な視点でこの世界を見ている。
ハイデリンが曖昧なのは、ゲームのシナリオが未完成だったから。
けれど、曖昧だからこそ、世界は広がる余地があり、今も続いている。
矛盾があってもいい。大事なのは、「楽しい物語」であること。
それこそがこの世界の作られた方向性。
そうして、語り明かした二人はそれぞれの場所へ戻った。
アトラは牢のベッドに、ディアナはどこか秘密の寝床に。
手帳に今日の出来事を記し、寝台に横たわり、アトラは天井を見つめながら思う。
——たとえディアナさんが裏切っても、それも彼女らしいなら、いい。
私は、彼女の情熱を信じたい。
そのとき、不意にアゼムの背中が脳裏をよぎる。
それが何を意味するのか考える間もなく、静かな眠りが訪れた。