【FF14】メイドさんの夢旅行
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アトラはハッとした。花火はもう消えていた。
劇場の周囲には人が押し寄せ、満席を超えて立ち見客まで溢れている。
「今のはすごかったな!」
「あの幻光装置はどこから持ち込まれた?」
「派手すぎるが……まあ開演には間に合ったな」
劇場員たちは質問攻めに遭い、対応に追われていた。
アトラは青ざめ、両手で口元を押さえる。
――やっちまった。夢幻の力を、この世界の目がある場所で無意識に……。
低い声が背後から落ちる。
「……お前か?」
肩がびくりと震えた。振り返れば、冷ややかな視線が射抜いてくる。
「なにをした」
「す、すみません……ぼーっとしてたら……つい。説明には少し時間がかかりますが……その、今日お聞きになっていかれます?」
オレンジに染まっていた空は、もうすっかり暗い。
エメトセルクが休日だったのなら、明日にはまた座に戻るはず――普通なら時間がない。
だが彼は、迷いなく言った。
「ならば少し早いが、同行してもらうとしよう」
「え?」
ハルーメナ・ポダラキアは夜でも賑やかに営業している。
魔法生物の世話やエーテル補給のため、夜遅くに訪れる客も少なくない。店内は楽しげな声や笑い声が飛び交い、時折魔法生物が天井近くまで跳ね回る。
ハルーメナ・ポダラキアおすすめのバナナと穀物の焼き物が気に入ったアトラは、今回も注文した。
ようやくまともな食事にありついた。だが、まぶしく鋭い視線を浴びながらでは、味もよくわからなくなる。
「詰め寄られているというのに、よくのんきに食えるものだな」
「今日、まともに食べてなかったので……すみません。」
自分と話し込んだからか、とエメトセルクは察し、少しだけ目をそらした。
だが、すぐに鋭い視線をアトラへと戻す。眉をぴくりと動かすだけで圧を放つ。
「それで、あの力はなんなんだ?」
「それがですね……」
その瞬間、明るく軽快な声が店内に響いた。
「おや? 特別なお客さんがいるね」
振り返ると、ヒュトロダエウスが笑顔で駆け寄ってきた。
エメトセルクはため息混じりにつぶやく。「……やっぱり来たか、面倒だな」
ヒュトロダエウスは同じテーブルに着席し、にこやかにアトラを見つめる。
店内の賑やかさとヒュトロダエウスの笑顔は、緊張する二人を完全に無視している。
まるで、世界全体がアトラの焦りを茶化しているかのような空気が漂った。
「たまたま席が近かった……というわけではなさそうだね?」
「ええ、まあ、事情聴取です」
アトラが苦笑いを浮かべると、ヒュトロダエウスはにっこり笑いながら首をかしげた。
「大きくなってるね? これは……エメトセルクの構成した魔力かな?」
ヒュトロダエウスの明るい笑顔に、思わず視線がエメトセルクへ向く。
エメトセルクは、友人の面倒くささがさらに増すのを感じ、ため息混じりに口を開く。
「続けろ。あれはなんだったんだ」
無表情のまま、しかし鋭く追及する。
アトラは、思わず食べかけのバナナの焼き物を器に置く。
その様子に、ヒュトロダエウスは笑いながらアトラのバナナの焼き物に目をやる。
「食べかけのまま置いちゃったの? それも異邦の習慣?」
エメトセルクはただ黙って腕を組み、二人のやり取りを見下ろす。
冷静なツッコミと明るい無邪気さ、そしてアトラの焦り。
三者のコントラストが、店内の賑やかさと重なり、なんともコミカルな光景になった。
アトラが食べていいのか、それともやっぱりやめておいたほうがいいのかと、ヒュトロダエウスとエメトセルクを交互に見る。
「遠慮はいらないよ。エメトセルクは君のエーテル摂取を止めるつもりはないようだからね」
多少、圧をかけるようにヒュトロダエウスがそういうと、エメトセルクはきょとんと瞬きをした後、ため息をついて目をそらし、肯定を表現した。
「では、遠慮なく……」
アトラはバナナの焼き物をまた手に取って食べ始め、話を続けた。
「私は夢幻と呼んでいます」
「夢幻?」
アトラはどこへでも行ける夢見の力から派生した、夢幻の力について説明した。
「夢見の力の一種であり、物理的影響のない幻影を生み出す能力なんです」
それはただの幻影で、実体はなく、現実に影響を及ぼさない。
しかし、音やにおいを再現し、目にも見えるように錯覚させることができる。
アトラは花火の幻影を出現させ、それが誰の目にも見えたと説明した。
「本当に、肉体的影響や、エーテル干渉がある力ではないのだな?」
「肉体への影響はありません。エメトセルク様が視た通り、エーテルを使っていないので干渉もない……はずです。最近開発した力なので、まだ検証段階なんです」
アトラはグラスを手にちびちびと飲みながら、ふと隣を見ると、ヒュトロダエウスが妙な色の飲み物を口にしていた。
「物理的影響なし? まるで夢の中みたいな能力だね。異邦の力って、本当におもしろいなあ」
「のんきに構えてる場合じゃない。人を驚かせるには十分すぎる。何かあったらどうする?」
「どうするもなにも、キミが一番わかってるじゃない? エメトセルク。じゃなきゃ、キミが彼女を大きくすることなんてないさ」
長い付き合いだけあって、ヒュトロダエウスは核心を突くのが上手い。
もちろん、エメトセルクは彼を信頼しているからこそ素直には同意しない──要するに、いけすかない。
「そんなに不安なら、キミが見極めたらいい。危険性がないかどうかね。名案だろう?」
エメトセルクは眉をひそめ、ため息混じりに睨みつける。
「それだけは聞きたくなかった」とうんざり顔で睨んだが、当の本人はどこ吹く風。
ため息まじりに飲み物を飲み干した。
沈黙が落ちた。なぜか気まずくなったアトラは、アゼムのことを聞くことにした。エメトセルクとヒュトロダエウスが揃うなら、そろそろ参加するだろうと。
「今日、アゼム様はいらっしゃるんですか?」
沈黙の後、空気が凍りついたかのように重くなった。
どうやら、選択肢の中でも最悪のものを引いたらしい。
ヒュトロダエウスは、肩をすくめる。
アトラは混乱して、「え? え?」と繰り返した。
「んー。アゼムとエメトセルクはねえ」
「言うなよ」
「実はねえ」
「言うな」
「ケンカしちゃったんだ」
まるで語尾に『☆』がついているかのように、ヒュトロダエウスは軽やかに言い切った。
エメトセルクは「いい加減にしろ……」と小さくつぶやき、組んだ拳を額に押し当てた。
エメトセルクとヒュトロダエウスは、ここまで言えばアトラに追及されないだろうと考えていた。
「しちゃった……の? 喧嘩別れ!」
そんな気遣いは、まるで意味がなかった。
使命に生きる古代人の常識など、ちっぽけな命には通じない。明日がある保証もないのだから。
アトラは驚きすぎて、つい口に出してしまった。
ヒュトロダエウスは吹き出してしまうのを抑えきれず。
「ンッ……フ。本人の前で言っちゃだめ……いや、むしろ言うべき……?」
「アトラアティウス……」
言ってはだめだったのか。
アトラは自分の発言を振り返る。わざわざ「喧嘩別れ」と言う必要はなかったと気づく。
「あっ……ああっ! すみません! ごめんなさい!」
エメトセルクは席を立ち、制裁を加える……ようなことはせず、しかめっ面のまま黙り込んだ。
劇場の周囲には人が押し寄せ、満席を超えて立ち見客まで溢れている。
「今のはすごかったな!」
「あの幻光装置はどこから持ち込まれた?」
「派手すぎるが……まあ開演には間に合ったな」
劇場員たちは質問攻めに遭い、対応に追われていた。
アトラは青ざめ、両手で口元を押さえる。
――やっちまった。夢幻の力を、この世界の目がある場所で無意識に……。
低い声が背後から落ちる。
「……お前か?」
肩がびくりと震えた。振り返れば、冷ややかな視線が射抜いてくる。
「なにをした」
「す、すみません……ぼーっとしてたら……つい。説明には少し時間がかかりますが……その、今日お聞きになっていかれます?」
オレンジに染まっていた空は、もうすっかり暗い。
エメトセルクが休日だったのなら、明日にはまた座に戻るはず――普通なら時間がない。
だが彼は、迷いなく言った。
「ならば少し早いが、同行してもらうとしよう」
「え?」
ハルーメナ・ポダラキアは夜でも賑やかに営業している。
魔法生物の世話やエーテル補給のため、夜遅くに訪れる客も少なくない。店内は楽しげな声や笑い声が飛び交い、時折魔法生物が天井近くまで跳ね回る。
ハルーメナ・ポダラキアおすすめのバナナと穀物の焼き物が気に入ったアトラは、今回も注文した。
ようやくまともな食事にありついた。だが、まぶしく鋭い視線を浴びながらでは、味もよくわからなくなる。
「詰め寄られているというのに、よくのんきに食えるものだな」
「今日、まともに食べてなかったので……すみません。」
自分と話し込んだからか、とエメトセルクは察し、少しだけ目をそらした。
だが、すぐに鋭い視線をアトラへと戻す。眉をぴくりと動かすだけで圧を放つ。
「それで、あの力はなんなんだ?」
「それがですね……」
その瞬間、明るく軽快な声が店内に響いた。
「おや? 特別なお客さんがいるね」
振り返ると、ヒュトロダエウスが笑顔で駆け寄ってきた。
エメトセルクはため息混じりにつぶやく。「……やっぱり来たか、面倒だな」
ヒュトロダエウスは同じテーブルに着席し、にこやかにアトラを見つめる。
店内の賑やかさとヒュトロダエウスの笑顔は、緊張する二人を完全に無視している。
まるで、世界全体がアトラの焦りを茶化しているかのような空気が漂った。
「たまたま席が近かった……というわけではなさそうだね?」
「ええ、まあ、事情聴取です」
アトラが苦笑いを浮かべると、ヒュトロダエウスはにっこり笑いながら首をかしげた。
「大きくなってるね? これは……エメトセルクの構成した魔力かな?」
ヒュトロダエウスの明るい笑顔に、思わず視線がエメトセルクへ向く。
エメトセルクは、友人の面倒くささがさらに増すのを感じ、ため息混じりに口を開く。
「続けろ。あれはなんだったんだ」
無表情のまま、しかし鋭く追及する。
アトラは、思わず食べかけのバナナの焼き物を器に置く。
その様子に、ヒュトロダエウスは笑いながらアトラのバナナの焼き物に目をやる。
「食べかけのまま置いちゃったの? それも異邦の習慣?」
エメトセルクはただ黙って腕を組み、二人のやり取りを見下ろす。
冷静なツッコミと明るい無邪気さ、そしてアトラの焦り。
三者のコントラストが、店内の賑やかさと重なり、なんともコミカルな光景になった。
アトラが食べていいのか、それともやっぱりやめておいたほうがいいのかと、ヒュトロダエウスとエメトセルクを交互に見る。
「遠慮はいらないよ。エメトセルクは君のエーテル摂取を止めるつもりはないようだからね」
多少、圧をかけるようにヒュトロダエウスがそういうと、エメトセルクはきょとんと瞬きをした後、ため息をついて目をそらし、肯定を表現した。
「では、遠慮なく……」
アトラはバナナの焼き物をまた手に取って食べ始め、話を続けた。
「私は夢幻と呼んでいます」
「夢幻?」
アトラはどこへでも行ける夢見の力から派生した、夢幻の力について説明した。
「夢見の力の一種であり、物理的影響のない幻影を生み出す能力なんです」
それはただの幻影で、実体はなく、現実に影響を及ぼさない。
しかし、音やにおいを再現し、目にも見えるように錯覚させることができる。
アトラは花火の幻影を出現させ、それが誰の目にも見えたと説明した。
「本当に、肉体的影響や、エーテル干渉がある力ではないのだな?」
「肉体への影響はありません。エメトセルク様が視た通り、エーテルを使っていないので干渉もない……はずです。最近開発した力なので、まだ検証段階なんです」
アトラはグラスを手にちびちびと飲みながら、ふと隣を見ると、ヒュトロダエウスが妙な色の飲み物を口にしていた。
「物理的影響なし? まるで夢の中みたいな能力だね。異邦の力って、本当におもしろいなあ」
「のんきに構えてる場合じゃない。人を驚かせるには十分すぎる。何かあったらどうする?」
「どうするもなにも、キミが一番わかってるじゃない? エメトセルク。じゃなきゃ、キミが彼女を大きくすることなんてないさ」
長い付き合いだけあって、ヒュトロダエウスは核心を突くのが上手い。
もちろん、エメトセルクは彼を信頼しているからこそ素直には同意しない──要するに、いけすかない。
「そんなに不安なら、キミが見極めたらいい。危険性がないかどうかね。名案だろう?」
エメトセルクは眉をひそめ、ため息混じりに睨みつける。
「それだけは聞きたくなかった」とうんざり顔で睨んだが、当の本人はどこ吹く風。
ため息まじりに飲み物を飲み干した。
沈黙が落ちた。なぜか気まずくなったアトラは、アゼムのことを聞くことにした。エメトセルクとヒュトロダエウスが揃うなら、そろそろ参加するだろうと。
「今日、アゼム様はいらっしゃるんですか?」
沈黙の後、空気が凍りついたかのように重くなった。
どうやら、選択肢の中でも最悪のものを引いたらしい。
ヒュトロダエウスは、肩をすくめる。
アトラは混乱して、「え? え?」と繰り返した。
「んー。アゼムとエメトセルクはねえ」
「言うなよ」
「実はねえ」
「言うな」
「ケンカしちゃったんだ」
まるで語尾に『☆』がついているかのように、ヒュトロダエウスは軽やかに言い切った。
エメトセルクは「いい加減にしろ……」と小さくつぶやき、組んだ拳を額に押し当てた。
エメトセルクとヒュトロダエウスは、ここまで言えばアトラに追及されないだろうと考えていた。
「しちゃった……の? 喧嘩別れ!」
そんな気遣いは、まるで意味がなかった。
使命に生きる古代人の常識など、ちっぽけな命には通じない。明日がある保証もないのだから。
アトラは驚きすぎて、つい口に出してしまった。
ヒュトロダエウスは吹き出してしまうのを抑えきれず。
「ンッ……フ。本人の前で言っちゃだめ……いや、むしろ言うべき……?」
「アトラアティウス……」
言ってはだめだったのか。
アトラは自分の発言を振り返る。わざわざ「喧嘩別れ」と言う必要はなかったと気づく。
「あっ……ああっ! すみません! ごめんなさい!」
エメトセルクは席を立ち、制裁を加える……ようなことはせず、しかめっ面のまま黙り込んだ。