【FF14】メイドさんの夢旅行
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エメトセルクは劇が終わるや否や、用は済んだとばかりに腰を上げた。
「あの、首飾り……」
去ろうとする背に、アトラは咄嗟に声をかけた。
「ありがとうございます。おかげで生活も買い物もできます。こうして何度もアーモロートに来てしまうくらい、嬉しいです」
「……ああ。まったく、大げさな」
仮面の奥で目を細めた気配を残しながら、彼は歩き出す──が、ふと立ち止まり、腕を組み直した。
「あの入れ物」
「入れ物?」
「飲み物を入れていたものだ」
「ああ、水筒ですね」
「ふむ……あれは異邦から持ち込んだものか?」
アトラは最初に警戒された時のことを思い出し、咎められるのではと一瞬身構えた。だが、エメトセルクはただ思案顔で問いを重ねる。
「お前は……異邦の存在だったな」
「はい」
「……時に、演劇は観るほうなのか?」
さっきまで立ち去る気満々だったのに、今は明らかに興味を抑えきれない様子だ。アトラは少し戸惑いながら答えた。
「いえ、劇はまったくご縁がなくて……こんなに楽しいのは初めてです」
アトラがふわりと余韻に浸る間、エメトセルクは「そうか……」とわずかに声を落とした。
――あ、劇とか冒険譚とか好きなんだったっけ、ソル皇帝。
ようやく点と点が繋がり、アトラは膝を打つように顔を上げた。
「お時間があれば、異邦の話を聞いていただけませんか?」
仮面の奥で視線がぴくりと揺れる。アトラはもう一押しだと悟り、にこりと笑った。
「私が危険人物でないか、確認もできるかもしれませんし」
仕事熱心な彼にとって、大義名分は効く。
* * *
ポレス市場の青空劇場の奥には休憩所があった。
創造魔法で整えられた長椅子と卓が並び、周囲では香り高い飲み物や軽食を片手に議論を交わす古代人たちの声が響いている。
アトラは、創造魔法で作られた器に盛られた切り分けリンゴを買い、エメトセルクの待つ席へ戻った。
「劇は詳しくありませんが、神話なら私の国にいくつかあります」
「神話?」
アトラはイザナギとイザナミの国造り、天岩戸、そしてヤマタノオロチ討伐の話を語った。
案の定、エメトセルクはヤマタノオロチ討伐に強く反応した。
「……まったく、あの誰かにそっくりだな」
呆れたように言いながらも、薄く笑みを浮かべる。その“誰か”が誰か、察しはつく。
「あいつは考えなしというわけではないが、私が星を善くするために動くのに対し、あいつは混沌と挑戦を求めるところがある」
「あはは。アゼム様、自ら巻き込まれに行ってるように見えますね」
「まったくだ。巻き込まれることも、こちらを巻き込むことも得意としている」
――そういえば、とエメトセルクは小さく吐息を漏らす。
「ひとつ思い出した。あいつのせいで遺跡の封印が解けてな……当然、私は収拾に奔走させられたものだ」
苦笑いしか返せないアトラ。しかし、エメトセルク自身はまんざらでもなさそうだ。
* * *
澄んだ笛のような音がひゅるる……と響き、控えめな破裂音が続いた。
次の演劇が始まる合図だ。くるくると舞い落ちる幻影の花びらが空を彩う。
「もうそんな時間か」
エメトセルクはわずかに目を細め、日が傾いているのに気づく。
「花火みたい。いや……フラワーシャワー?」
アトラは透けて消えていく花を見つめながらつぶやく。
「派手な行為は、我々の世界では好まれぬ。知らせの音も控えめなものが選ばれる。だが……」
エメトセルクは淡々と説明しつつも、市場全体へ視線を走らせていた。
アトラは花の落下を見つめているうちに、次第に意識が遠のいていく。
――これ、瞑想のときと同じ……ふわふわする……
世界に溶け込むような感覚が続いた。
――最後に見た花火、どんなだったっけ……
その瞬間だった。空に一筋の光が走った。
異変に気づいたエメトセルクが、静かに立ち上がる。
「……なんだ、あれは」
小さな破裂音が市場全域に響き、人々が一斉に空を見上げる。
光の線は瞬く間に花の形に弾け、昼の太陽のような輝きを放った。
やがて紺とオレンジの夕暮れ色へ変わり、きらめく火花が電気のように散る。
――それは、劇場の真上だった。
「あの、首飾り……」
去ろうとする背に、アトラは咄嗟に声をかけた。
「ありがとうございます。おかげで生活も買い物もできます。こうして何度もアーモロートに来てしまうくらい、嬉しいです」
「……ああ。まったく、大げさな」
仮面の奥で目を細めた気配を残しながら、彼は歩き出す──が、ふと立ち止まり、腕を組み直した。
「あの入れ物」
「入れ物?」
「飲み物を入れていたものだ」
「ああ、水筒ですね」
「ふむ……あれは異邦から持ち込んだものか?」
アトラは最初に警戒された時のことを思い出し、咎められるのではと一瞬身構えた。だが、エメトセルクはただ思案顔で問いを重ねる。
「お前は……異邦の存在だったな」
「はい」
「……時に、演劇は観るほうなのか?」
さっきまで立ち去る気満々だったのに、今は明らかに興味を抑えきれない様子だ。アトラは少し戸惑いながら答えた。
「いえ、劇はまったくご縁がなくて……こんなに楽しいのは初めてです」
アトラがふわりと余韻に浸る間、エメトセルクは「そうか……」とわずかに声を落とした。
――あ、劇とか冒険譚とか好きなんだったっけ、ソル皇帝。
ようやく点と点が繋がり、アトラは膝を打つように顔を上げた。
「お時間があれば、異邦の話を聞いていただけませんか?」
仮面の奥で視線がぴくりと揺れる。アトラはもう一押しだと悟り、にこりと笑った。
「私が危険人物でないか、確認もできるかもしれませんし」
仕事熱心な彼にとって、大義名分は効く。
* * *
ポレス市場の青空劇場の奥には休憩所があった。
創造魔法で整えられた長椅子と卓が並び、周囲では香り高い飲み物や軽食を片手に議論を交わす古代人たちの声が響いている。
アトラは、創造魔法で作られた器に盛られた切り分けリンゴを買い、エメトセルクの待つ席へ戻った。
「劇は詳しくありませんが、神話なら私の国にいくつかあります」
「神話?」
アトラはイザナギとイザナミの国造り、天岩戸、そしてヤマタノオロチ討伐の話を語った。
案の定、エメトセルクはヤマタノオロチ討伐に強く反応した。
「……まったく、あの誰かにそっくりだな」
呆れたように言いながらも、薄く笑みを浮かべる。その“誰か”が誰か、察しはつく。
「あいつは考えなしというわけではないが、私が星を善くするために動くのに対し、あいつは混沌と挑戦を求めるところがある」
「あはは。アゼム様、自ら巻き込まれに行ってるように見えますね」
「まったくだ。巻き込まれることも、こちらを巻き込むことも得意としている」
――そういえば、とエメトセルクは小さく吐息を漏らす。
「ひとつ思い出した。あいつのせいで遺跡の封印が解けてな……当然、私は収拾に奔走させられたものだ」
苦笑いしか返せないアトラ。しかし、エメトセルク自身はまんざらでもなさそうだ。
* * *
澄んだ笛のような音がひゅるる……と響き、控えめな破裂音が続いた。
次の演劇が始まる合図だ。くるくると舞い落ちる幻影の花びらが空を彩う。
「もうそんな時間か」
エメトセルクはわずかに目を細め、日が傾いているのに気づく。
「花火みたい。いや……フラワーシャワー?」
アトラは透けて消えていく花を見つめながらつぶやく。
「派手な行為は、我々の世界では好まれぬ。知らせの音も控えめなものが選ばれる。だが……」
エメトセルクは淡々と説明しつつも、市場全体へ視線を走らせていた。
アトラは花の落下を見つめているうちに、次第に意識が遠のいていく。
――これ、瞑想のときと同じ……ふわふわする……
世界に溶け込むような感覚が続いた。
――最後に見た花火、どんなだったっけ……
その瞬間だった。空に一筋の光が走った。
異変に気づいたエメトセルクが、静かに立ち上がる。
「……なんだ、あれは」
小さな破裂音が市場全域に響き、人々が一斉に空を見上げる。
光の線は瞬く間に花の形に弾け、昼の太陽のような輝きを放った。
やがて紺とオレンジの夕暮れ色へ変わり、きらめく火花が電気のように散る。
――それは、劇場の真上だった。