【FF14】メイドさんの夢旅行
名前変換はこちら。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「アトラアティウス……特に変わった響きではないな。ということは、誰かの使い魔だろうか」
お互い自己紹介も終わり、アトラは自分の意志でここに来たわけではないことを、ヘルメスとメーティオンに説明した。
とりあえず、ヘルメスが詰めている仕事場で身柄を預かり……もとい、保護することになった。
アトラはご機嫌なメーティオンの胸に抱えられ、まるでぬいぐるみのように揺られながら仕事場へと運ばれていった。
「使い魔……ではありません。もっと別の存在と言いますか、説明すると長くなります」
「そうか。ならばすまない。
君がどんな存在であるか判明しない限り、自由にさせるわけにはいかない。
せめて、危険ではないことがわかるまで、現状のままでいよう。
一緒に来てもらうことになるだろう」
「はい。こちらこそ、お世話になってすみません」
「いいや」
ヘルメスは冷静に現状をアトラに伝えた。
「エルピスで保護するのもひとつの方法だが、対話のできる知的生物であるなら、いったんさる機関に預けることにもなるだろう。
報告と申請を済ませ、身元確認のために引き渡すことになれば、また移動することになる。
不安だろうが、心配はいらない。配慮されるよう、自分から申請しておこう」
「ご丁寧にありがとうございます。知らない土地で身を寄せる場所があるだけでもありがたいです。
確認のためにむしろお手間を取らせてしまって、すみません」
一行は無事に仕事場に到着した。
その部屋は書斎のようで、仕事用の机とヘルメスが座る椅子が置かれていた。
来客用には長椅子と長机が一組あり、どれもエルピスに住む者には馴染みのある内装だった。
しかしアトラには新鮮な風景で、思わず部屋をじっくりと見回した。
天球儀や望遠鏡など、研究者らしい調度品が飾られている。
なかには粘土で捏ねたナマズのようなものもあり、調度品の中ではひときわ異彩を放っていた。
アトラはその粘土作品を、ついじっくりと見つめてしまう。
メーティオンに抱えられたまま、アトラは一緒に長椅子に座った。
「あれ、気になる? 私が作ったの! アンビストマ、平べったいの。ヘルメスが最近、気になってるの」
メーティオンは、アトラが気にしていた粘土作品について教えてくれた。
「アティウス、私たちと、あそび、ましょ? おはなし、聞きたい!」
「そうだな。自分が見ているとこでなら大丈夫だから、メーティオン。この部屋にいて彼女の相手をしてもらえるだろうか」
「うん! ヘルメス、了解した!」
ヘルメスは自分の席に座った。ヘルメスは水晶球を軽く振ると、球の中で文字が浮かび上がる。
球を通じて、離れた報告先に文字が映し出された。
一方、メーティオンは机の上にクッションを置き、アトラにはそこに座るよう促した。
この世界で生まれたての子供ほどの大きさのアトラは、大きな古代人のティーカップに入るほど小さくはないが、椅子に座るほどの大きさもなかった。
そのためのメーティオンの気遣いだった。
「あのね、あのね。あなたがいた世界の話、聞かせて?」
こてり、と小首をかしげて、手は胸の前に組むメーティオン。
とても断ることはできないお願いに、アトラはもちろんと答える。
「でも、きっとまたヘルメスに聞かれるだろうから、そのときにしますね」
「あ、そっか……じゃあ、好きな、食べ物! ヘルメスの好き、は、砂糖どばどばの、りんごだよ」
メーティオン自身は食事を必要としないことも、アトラに説明してくれた。
ヘルメスの好物について話すメーティオンは、本当に自分の好物を語るかのように嬉しそうで、アトラは『本当にメーティオンだな』としみじみ思った。
「? ホントに、メーティオン、だよ」
「あ……」
メーティオンは「デュナミス」で人の心を感じ取れる。
アトラは伝わってしまったことに戸惑いつつ、少し笑った。
「私が好きな食べ物は……」
絵理沙としての記憶を持つアトラは、雪国出身の体に変わったことで味覚も変わったことを自覚していた。
以前は洋ナシが好きだったが、今ではすっかり変わっている。
「母の、作ったシチューが……」
アトラがそう言うと、メーティオンはほっこりとした顔をした。
「不思議で、あったかい。……あ!」
突然、メーティオンが大きな声でハッとする。アトラは少し驚いた。
「あの、あのね。私、想いを、伝える、できるの。あなたの思いも、伝わる。だから、それは、ええと……」
「メーティオンは、想いで会話ができる」
ヘルメスは報告を終えると、アトラたちに近い席へ座った。
「もちろん、むやみに想いを覗き見ることはしないと保証する。
だが、特別強い想いや、君のようにエーテルが薄い存在からの想いは、相性がいいから、特別感じ取ってしまうようだ。すまない」
「ああ、ああ。いえいえ。問題ありません」
アトラは気の利いた返事をしたかった。しかし、自分の知らないことまで話してしまいそうで、この会話がさらに混乱するのではと思い、無難な返事にとどめた。それでも、メーティオンの力で鏡写しのようにアトラの気持ちが表現され、あの時のシチューが嬉しかったことを改めて自覚できた。
「さっそくだが、君の話を聞かせてもらってもいいだろうか」
「あの。私も、ここに来た理由はわからないです」
アトラは現代や過去の話には触れず、「別の世界から来た」という程度で話をした。
「……なるほど。この世界の存在ではない、ということだったのか。
発見したのも自分だから、君のことも安全に取り扱うことも約束しよう。
それで、元の世界の話を聞いてもいいだろうか」
「ありがとうございます。それでですね」
自分と同じ大きさの人たちが、寒い雪国で過ごしていたこと。
降り積もる雪の中で生活していたこと。
一国一城の主が統治する国で、その城で働いていたこと。
厳しい世界を生き抜いてきたこと。
「なるほど。そこで過ごす君たちや、ほかの生物たちのことも気になるな。
環境適応の仕組みや文化も、この世界とは大きく異なるのだろう」
ヘルメスは、この惑星ではないと思い至ったのか、すこし興味深そうにアトラを見つめた。
メーティオンは夢見るように目を上げてつぶやいた。
「雪、知ってる。冷たくて……おいしい!」
「おいしい?」
ヘルメスが苦笑しつつ、丁寧に説明する。
「ああ、エルピスで職員が作った新しい間食のことだな。みな、自分の好みに合わせて気分転換できる食事を用意している。雪原を担当している者が、綺麗に精製した雪は自然環境に不向きだとわかって、大量に余った雪に砂糖水をかけて食べ始めた。それが始まりで生まれた料理……おそらく、メーティオンはそのことを言っているのだろう」
「そう! ヘルメスも好き!」
「そうだな。息抜きにとてもすっきりする、いい感触だと思う」
アトラこと絵理沙は「つまりかき氷かぁ……」と内心で納得した。
しばらく談笑と元の世界の説明が続いた。
お互い自己紹介も終わり、アトラは自分の意志でここに来たわけではないことを、ヘルメスとメーティオンに説明した。
とりあえず、ヘルメスが詰めている仕事場で身柄を預かり……もとい、保護することになった。
アトラはご機嫌なメーティオンの胸に抱えられ、まるでぬいぐるみのように揺られながら仕事場へと運ばれていった。
「使い魔……ではありません。もっと別の存在と言いますか、説明すると長くなります」
「そうか。ならばすまない。
君がどんな存在であるか判明しない限り、自由にさせるわけにはいかない。
せめて、危険ではないことがわかるまで、現状のままでいよう。
一緒に来てもらうことになるだろう」
「はい。こちらこそ、お世話になってすみません」
「いいや」
ヘルメスは冷静に現状をアトラに伝えた。
「エルピスで保護するのもひとつの方法だが、対話のできる知的生物であるなら、いったんさる機関に預けることにもなるだろう。
報告と申請を済ませ、身元確認のために引き渡すことになれば、また移動することになる。
不安だろうが、心配はいらない。配慮されるよう、自分から申請しておこう」
「ご丁寧にありがとうございます。知らない土地で身を寄せる場所があるだけでもありがたいです。
確認のためにむしろお手間を取らせてしまって、すみません」
一行は無事に仕事場に到着した。
その部屋は書斎のようで、仕事用の机とヘルメスが座る椅子が置かれていた。
来客用には長椅子と長机が一組あり、どれもエルピスに住む者には馴染みのある内装だった。
しかしアトラには新鮮な風景で、思わず部屋をじっくりと見回した。
天球儀や望遠鏡など、研究者らしい調度品が飾られている。
なかには粘土で捏ねたナマズのようなものもあり、調度品の中ではひときわ異彩を放っていた。
アトラはその粘土作品を、ついじっくりと見つめてしまう。
メーティオンに抱えられたまま、アトラは一緒に長椅子に座った。
「あれ、気になる? 私が作ったの! アンビストマ、平べったいの。ヘルメスが最近、気になってるの」
メーティオンは、アトラが気にしていた粘土作品について教えてくれた。
「アティウス、私たちと、あそび、ましょ? おはなし、聞きたい!」
「そうだな。自分が見ているとこでなら大丈夫だから、メーティオン。この部屋にいて彼女の相手をしてもらえるだろうか」
「うん! ヘルメス、了解した!」
ヘルメスは自分の席に座った。ヘルメスは水晶球を軽く振ると、球の中で文字が浮かび上がる。
球を通じて、離れた報告先に文字が映し出された。
一方、メーティオンは机の上にクッションを置き、アトラにはそこに座るよう促した。
この世界で生まれたての子供ほどの大きさのアトラは、大きな古代人のティーカップに入るほど小さくはないが、椅子に座るほどの大きさもなかった。
そのためのメーティオンの気遣いだった。
「あのね、あのね。あなたがいた世界の話、聞かせて?」
こてり、と小首をかしげて、手は胸の前に組むメーティオン。
とても断ることはできないお願いに、アトラはもちろんと答える。
「でも、きっとまたヘルメスに聞かれるだろうから、そのときにしますね」
「あ、そっか……じゃあ、好きな、食べ物! ヘルメスの好き、は、砂糖どばどばの、りんごだよ」
メーティオン自身は食事を必要としないことも、アトラに説明してくれた。
ヘルメスの好物について話すメーティオンは、本当に自分の好物を語るかのように嬉しそうで、アトラは『本当にメーティオンだな』としみじみ思った。
「? ホントに、メーティオン、だよ」
「あ……」
メーティオンは「デュナミス」で人の心を感じ取れる。
アトラは伝わってしまったことに戸惑いつつ、少し笑った。
「私が好きな食べ物は……」
絵理沙としての記憶を持つアトラは、雪国出身の体に変わったことで味覚も変わったことを自覚していた。
以前は洋ナシが好きだったが、今ではすっかり変わっている。
「母の、作ったシチューが……」
アトラがそう言うと、メーティオンはほっこりとした顔をした。
「不思議で、あったかい。……あ!」
突然、メーティオンが大きな声でハッとする。アトラは少し驚いた。
「あの、あのね。私、想いを、伝える、できるの。あなたの思いも、伝わる。だから、それは、ええと……」
「メーティオンは、想いで会話ができる」
ヘルメスは報告を終えると、アトラたちに近い席へ座った。
「もちろん、むやみに想いを覗き見ることはしないと保証する。
だが、特別強い想いや、君のようにエーテルが薄い存在からの想いは、相性がいいから、特別感じ取ってしまうようだ。すまない」
「ああ、ああ。いえいえ。問題ありません」
アトラは気の利いた返事をしたかった。しかし、自分の知らないことまで話してしまいそうで、この会話がさらに混乱するのではと思い、無難な返事にとどめた。それでも、メーティオンの力で鏡写しのようにアトラの気持ちが表現され、あの時のシチューが嬉しかったことを改めて自覚できた。
「さっそくだが、君の話を聞かせてもらってもいいだろうか」
「あの。私も、ここに来た理由はわからないです」
アトラは現代や過去の話には触れず、「別の世界から来た」という程度で話をした。
「……なるほど。この世界の存在ではない、ということだったのか。
発見したのも自分だから、君のことも安全に取り扱うことも約束しよう。
それで、元の世界の話を聞いてもいいだろうか」
「ありがとうございます。それでですね」
自分と同じ大きさの人たちが、寒い雪国で過ごしていたこと。
降り積もる雪の中で生活していたこと。
一国一城の主が統治する国で、その城で働いていたこと。
厳しい世界を生き抜いてきたこと。
「なるほど。そこで過ごす君たちや、ほかの生物たちのことも気になるな。
環境適応の仕組みや文化も、この世界とは大きく異なるのだろう」
ヘルメスは、この惑星ではないと思い至ったのか、すこし興味深そうにアトラを見つめた。
メーティオンは夢見るように目を上げてつぶやいた。
「雪、知ってる。冷たくて……おいしい!」
「おいしい?」
ヘルメスが苦笑しつつ、丁寧に説明する。
「ああ、エルピスで職員が作った新しい間食のことだな。みな、自分の好みに合わせて気分転換できる食事を用意している。雪原を担当している者が、綺麗に精製した雪は自然環境に不向きだとわかって、大量に余った雪に砂糖水をかけて食べ始めた。それが始まりで生まれた料理……おそらく、メーティオンはそのことを言っているのだろう」
「そう! ヘルメスも好き!」
「そうだな。息抜きにとてもすっきりする、いい感触だと思う」
アトラこと絵理沙は「つまりかき氷かぁ……」と内心で納得した。
しばらく談笑と元の世界の説明が続いた。