【FF14】メイドさんの夢旅行
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絵理沙は実家を出て、一人暮らしをしている。
広い公園と駅から近いアパートでの生活に、彼女は満足していた。
絵理沙の家庭は裕福ではなかったが、ひどい家庭でもなかった。
そして、平凡とも言えなかった。
家族全員がエンタメやコンテンツ好きで、絵理沙もその一人だった。
絵理沙が遊んでいるのはオンラインゲーム『ファイナルファンタジーXIV』。
充実したコンテンツ、クエストに参加してのんびりとした冒険を楽しんでいた。
『よろしくおねがいします』
『よろしくです~』
あいさつを交わして、プレイヤーたちとダンジョン攻略する。
最新ストーリー「暁月の終焉」も終えて、新大陸のストーリーを楽しみにしている絵理沙。
――アゼムって人は、結局世界が分かたれたとき、どこで何をしていたんだろう。
アゼムとはプレイヤーのことを指しているので、そこはプレイヤーごとに違う。
ただのんびり釣りをしていたかもしれないし、最強の敵と接戦の中だったかもしれない。
それでも十四人委員会やヴェーネス派に合流せず、プレイヤーと同じく自由に世界を旅していた。
絵理沙はゲームクリア後も考えていた。
……というより、ずっと引っかかっている、と言うほうが正しい。
もし自分が本人に会えたのなら、なんと聞いたのだろう。
「ハプニングでもあったんでしょ。そこはさ。絵理沙は変なところが気になるよね~」
数少ない友人に言われた言葉だった。
友人が普段から何事も気にしない性格だから、ということもあるだろう。
確かに、友人の言う通り、深く気にするところではないのかもしれない。
それでも。
――エメトセルクは、アゼムと別れたままでよかったのかな。
ビルやアパートの隙間隙間から覗く摩天楼を見ていると、あの水底の摩天楼を思い出す。
次の日もいつものように仕事が終わり、わが家へ帰る。
突然、急激な眠気が、絵理沙を襲った。
「う、眠い。ちょっと寝よう……」
絵理沙はあまりの眠気にベッドに倒れ込む。服も着替えていない。
しかしもう、何もできないくらいに眠かった。
――目が覚めたら、お風呂入って、着替えて、それから――
ゲームしよう。
心を決めると、絵理沙の意識は落ちた。
***
――たすけて。
絵理沙はおぼろげな声に反応する。
真っ暗な空間。白い靄が漂って、歩きだせば足が常に浮いている感覚がした。
絵理沙は見渡すと、膝を抱えて座る少女を見つけた。
その少女は嗚咽を漏らしていた。
「どうしたの?」
絵理沙は静かに寄り添う。
少女は顔をあげる。
栗毛にウェーブの髪がかかっていてはっきりと顔は見えない。
少女がかき上げた髪の間から、深い海のような瞳が絵理沙を見返した。
涙が頬を伝っていく。
――お父さんがいなくなったの。
その言葉に絵理沙は言葉を失い、少女の絶望を肌で感じ取る。
「お父さん? お父さんと一緒にいたの?」
――お父さんがいないのに、私とお母さんはどうやって生きていくの?
「お父さんがいないと、生きていけないのか……」
すると、闇の中から黒い人影が現れた。
まさしく全身が黒一色で、表情もわからない。
「うわっ!? あっ……気付かなかった……ていうか黒過ぎない?」
絵理沙が驚くと、影が話しかけてきた。
「ねえ、あんたがその子になってあげたら?」
「へ? というかあんた誰?」
「その子の代わりみたいなもんかな。この子はもう自分の力で生きていくつもりがないみたい」
「なってあげるって……そんなことできるの?」
影は顎に手を当てて考え込む。
黒ずくめなので、どう動いているのかがわかりづらい。
「私もサポートはするからさ。それともこのまま目を覚ます?」
少女が絵理沙を見つめた。
絵理沙はどう決断していいかわからなかった。
いまこの場で決めるには、あまりにもわからないことが多すぎたから。
「ていうか私も来てもらわないと困るんだよね」
「え?」
「この子の人生、私も助けてもらいたいんだよね」
絵理沙はあまりにも問題が多きように思えた。
しかし、ここまで説得されて視線で懇願されては、拒否する気にもなれなかった。
「……私の生活の保障は?」
「そりゃもちろん……帰りたいときは言ってよ。
私が送り届けるからさ。
それにいいものも見れるよ?
君が知りたがってた、FF14の世界でもあるんだ」
「……え?」
絵理沙はまさかの言葉に影を見上げる。
しかし、首を振って考え直した。
「ちょっと待って。遠いとこなの?」
「行ってみてから決めれば?」
「だからどこなわけ?」
「こっちへおいでよ」
「ねえまだ私、決めてないからね?――」
影が絵理沙の手を掴む。
拒否する間もなく、白い靄が絵理沙を包み込んで、夢の幕を閉じた。
広い公園と駅から近いアパートでの生活に、彼女は満足していた。
絵理沙の家庭は裕福ではなかったが、ひどい家庭でもなかった。
そして、平凡とも言えなかった。
家族全員がエンタメやコンテンツ好きで、絵理沙もその一人だった。
絵理沙が遊んでいるのはオンラインゲーム『ファイナルファンタジーXIV』。
充実したコンテンツ、クエストに参加してのんびりとした冒険を楽しんでいた。
『よろしくおねがいします』
『よろしくです~』
あいさつを交わして、プレイヤーたちとダンジョン攻略する。
最新ストーリー「暁月の終焉」も終えて、新大陸のストーリーを楽しみにしている絵理沙。
――アゼムって人は、結局世界が分かたれたとき、どこで何をしていたんだろう。
アゼムとはプレイヤーのことを指しているので、そこはプレイヤーごとに違う。
ただのんびり釣りをしていたかもしれないし、最強の敵と接戦の中だったかもしれない。
それでも十四人委員会やヴェーネス派に合流せず、プレイヤーと同じく自由に世界を旅していた。
絵理沙はゲームクリア後も考えていた。
……というより、ずっと引っかかっている、と言うほうが正しい。
もし自分が本人に会えたのなら、なんと聞いたのだろう。
「ハプニングでもあったんでしょ。そこはさ。絵理沙は変なところが気になるよね~」
数少ない友人に言われた言葉だった。
友人が普段から何事も気にしない性格だから、ということもあるだろう。
確かに、友人の言う通り、深く気にするところではないのかもしれない。
それでも。
――エメトセルクは、アゼムと別れたままでよかったのかな。
ビルやアパートの隙間隙間から覗く摩天楼を見ていると、あの水底の摩天楼を思い出す。
次の日もいつものように仕事が終わり、わが家へ帰る。
突然、急激な眠気が、絵理沙を襲った。
「う、眠い。ちょっと寝よう……」
絵理沙はあまりの眠気にベッドに倒れ込む。服も着替えていない。
しかしもう、何もできないくらいに眠かった。
――目が覚めたら、お風呂入って、着替えて、それから――
ゲームしよう。
心を決めると、絵理沙の意識は落ちた。
***
――たすけて。
絵理沙はおぼろげな声に反応する。
真っ暗な空間。白い靄が漂って、歩きだせば足が常に浮いている感覚がした。
絵理沙は見渡すと、膝を抱えて座る少女を見つけた。
その少女は嗚咽を漏らしていた。
「どうしたの?」
絵理沙は静かに寄り添う。
少女は顔をあげる。
栗毛にウェーブの髪がかかっていてはっきりと顔は見えない。
少女がかき上げた髪の間から、深い海のような瞳が絵理沙を見返した。
涙が頬を伝っていく。
――お父さんがいなくなったの。
その言葉に絵理沙は言葉を失い、少女の絶望を肌で感じ取る。
「お父さん? お父さんと一緒にいたの?」
――お父さんがいないのに、私とお母さんはどうやって生きていくの?
「お父さんがいないと、生きていけないのか……」
すると、闇の中から黒い人影が現れた。
まさしく全身が黒一色で、表情もわからない。
「うわっ!? あっ……気付かなかった……ていうか黒過ぎない?」
絵理沙が驚くと、影が話しかけてきた。
「ねえ、あんたがその子になってあげたら?」
「へ? というかあんた誰?」
「その子の代わりみたいなもんかな。この子はもう自分の力で生きていくつもりがないみたい」
「なってあげるって……そんなことできるの?」
影は顎に手を当てて考え込む。
黒ずくめなので、どう動いているのかがわかりづらい。
「私もサポートはするからさ。それともこのまま目を覚ます?」
少女が絵理沙を見つめた。
絵理沙はどう決断していいかわからなかった。
いまこの場で決めるには、あまりにもわからないことが多すぎたから。
「ていうか私も来てもらわないと困るんだよね」
「え?」
「この子の人生、私も助けてもらいたいんだよね」
絵理沙はあまりにも問題が多きように思えた。
しかし、ここまで説得されて視線で懇願されては、拒否する気にもなれなかった。
「……私の生活の保障は?」
「そりゃもちろん……帰りたいときは言ってよ。
私が送り届けるからさ。
それにいいものも見れるよ?
君が知りたがってた、FF14の世界でもあるんだ」
「……え?」
絵理沙はまさかの言葉に影を見上げる。
しかし、首を振って考え直した。
「ちょっと待って。遠いとこなの?」
「行ってみてから決めれば?」
「だからどこなわけ?」
「こっちへおいでよ」
「ねえまだ私、決めてないからね?――」
影が絵理沙の手を掴む。
拒否する間もなく、白い靄が絵理沙を包み込んで、夢の幕を閉じた。
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