最終章 翔べない天使
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梯子をつたって降りると、水路を見渡した。
「これが地下水路か・・」
「思ったより明るいわね。路が複雑でないことを祈るわ」
「まあ、広さも十分だし。これなら、万が一キメラと戦うことになっても、大丈夫そうだな」
水路は照明もあり、水も綺麗だ。
しかし、ここでも実験をしていたらしく、魚と動物を合成したキメラが闊歩していた。
時おり向かってくるキメラを倒しつつ、一路屋敷へ急いだ。
旧市街とノイエヒースガルドを繋ぐ水路なので、ただ真っ直ぐに進めば良かった。
「・・・・・」
歩きながら後ろを気にするエリスに、エドワードは立ち止まる。
「どうした、エリス」
「ーーあ、何でもないわ」
「そろそろ、街に着く頃かーー?」
教会を出て小一時間。最初にノイエヒースガルドに向かった時よりは、随分と楽だ。
「兄さん、待った!」
「え?何だよ」
アルフォンスがエドワードを呼び止めた。エリスも立ち止まる。
「まだ近くに何かいるよ。気配がする」
「誰だ!出て来やがれ!!」
身構えたエドワードの前に、おずおずと現れたのはーーー
「あは・・見つかっちゃった」
「アルモニ!」
「お前ーーついてきたのか」
「うん・・ごめん・・・」
「ばっきゃろ!なにかあったらどーすんだよ!危険だから、お前に残ってろって言ったのに!!」
「んもぅ・・大きな声、出さないでよ。黙って来たのは、悪かったと思ってる。だから、謝ってるじゃない」
「謝ってすむなら、国家憲兵はいらねーっての!」
「だって・・パパが心配なんだもんーー」
「だから、教授は俺たちが助けるって言っただろ。俺たちのこと、そんなに信用してねーのかよ」
エドワードはアルモニに近付き、腕を組む。
「そんなことない!そうじゃなくて、あたしもパパに訊きたいことがあるの。今、訊いておかないと、あたしーー」
エドワード勢いに押されて、アルモニは俯く。
「エド、いいじゃない。ここまで来たんだし、一緒に行きましょうよ」
「けどなぁーー」
引かないアルモニとエドワードの間にエリスが入り、声が途切れた。
すると、もうひとつバシャバシャと足音が聞こえた。
「ーーアルモニ・・良かった・・無事か」
走って来たらしく、ゼイゼイと息が切れる。
「わ、今度は神父さん!?」
「なんだよ、次から次へと」
「す、すまない・・ちょっと目を離した隙に、アルモニが消えてしまってなーーそれで、もしやと思って追いかけて来たんだが、やっぱり地下水路に来てたのか」
「結局、みんな来ちまってんじゃねえか。しょーがねえな」
やれやれと、頭を掻く。
「だったら、最初からみんなで来れば良かったね」
「ごめんね、エド」
「私のせいだな、すまない」
謝罪し合う2人に、思わず笑う。
「もういいよ。ここまで来ちまったもんは、しょーがないしな。だけど、これ限りだぞ。もう二度と、こんな危ないまねはするんじゃねーぞ、いいな」
「うん、ごめん。もう二度としないってば」
「ーーーんで、そろそろ地上に出られるのか、じーさん?」
「あぁ。この先に梯子がある。多分、広場辺りに出るはずだよ」
「そうか。よし、んじゃ、全員で教授を助けにいくぜ!」
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